「剣術修行の廻国旅日記」永井義男著
「剣術修行の廻国旅日記」永井義男著
佐賀藩鍋島家の家臣・牟田文之助が書き残した日記「諸国廻歴日録」を読み解きながら、当時の諸国武者修行の実際を紹介する歴史読み物。
天保元(1830)年生まれの文之助は、藩の剣術師範だった父から二刀流の鉄人流の手ほどきを受け、23歳で免許皆伝。翌嘉永6年、藩の許可を得て諸国武者修行の旅に出る。まずは、久留米藩の修行人宿(修行人が泊まる指定の旅籠)に逗留。宿の主人を介して城下の道場に立ち会いを申し込み、4泊して3道場で他流試合を行う。
現代人のイメージとは異なり、どこの藩校道場も他流試合を快く受け入れ、夜になれば宿泊先に道場で立ち会った藩士たちが次々と訪ねてきて酒盛り。地元の名所旧跡や温泉に案内されることも多かった。
そんな2年間に及ぶ修行の旅を詳述。
(朝日新聞出版 1100円)