「自炊の壁」佐々木典士、山口祐加著
「自炊の壁」佐々木典士、山口祐加著
料理教室で学ぶ人は、レシピを見て調理することが料理だと思っている。決められた手順をこなしているだけで、自分で作ったという実感がない。料理とレシピの関係は車の運転とカーナビの関係に似ていて、カーナビは正しい道のりを示してくれるが、最短距離ではなく、回り道でも目的地にたどり着くことはできる。
レシピ通りに作るのは料理するというより、労働している感覚になる。小林カツ代さんのレシピには、「(たらこに煮汁が)コテッとからまったら」とあるが、そういうあいまいなレシピは解釈の振れ幅があるからこそ作り手は料理を観察するという。
献立の決め方など、料理が面倒だと感じなくさせてくれる一冊。
(ダイヤモンド社 1760円)