五木寛之 流されゆく日々
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連載10221回 一日一食は是か非か <4>
(昨日のつづき) 昨日は完全な一日一食だった。途中で何かを口にした記憶もない。 朝、というより午後に起床して、体重を計ってみたら、標準体重より1キロあまり減っていた。 1キロ体重が減ると、…
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連載10220回 一日一食は是か非か <3>
(昨日のつづき) 規則正しい生活。 ほとんどの健康本が、例外なくそれをすすめている。決まった時間の食事。決まった時間の就寝。そして早起き。 私の友人の一人に、絵に描いたような健康志向の作家…
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連載10219回 一日一食は是か非か <2>
(昨日のつづき) 食事のとり方については、永年いろんな説が錯綜している。 一般に多いのは、一日三食説だ。ことに朝食を重視する論者が多い。こういう人はほとんど早寝早起き説である。ある意味で道徳的…
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連載10218回 一日一食は是か非か <1>
最近、一日一食という人の話をよく聞く。 「ダレダレさんも、一日一食主義だそうですよ」 などと、有名人の名前なども、しばしば耳にするようになった。どうやら炭水化物制限法のあとは、一日一食問題が世…
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連載10217回 風邪は万病の元か <5>
(昨日のつづき) まだガラガラ声のまま、NHKのスタジオへ。FMラジオで藤圭子の特番をやるというので出演をOKしたのだが、アナウンサーの付きそいもなく、一人で2時間しゃべることになって大あわてであ…
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連載10216回 風邪は万病の元か <4>
(昨日のつづき) 鼻水が垂れはじめて今日で1週間目である。熱もさがったし、咳もおさまったのだが、いまひとつすっきりしない。やはり風邪のコントロールに失敗したらしい。 失敗といっても、対応を怠け…
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連載10215回 風邪は万病の元か <3>
(昨日のつづき) 先週からの風邪が、まだ抜けない。熱は下がったものの、痰が喉にからんでゴホン、ゴホンと咳が出る。 どうやら短期風邪パス作戦は失敗したかのようだ。1週間も続く風邪は、悪い風邪にき…
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連載10214回 風邪は万病の元か <2>
(昨日のつづき) あの親鸞でさえも、<ちょっと具合いが悪いと、このまま死ぬのではないかと不安だ>と言っている。 体調が悪くても、若いあいだはそれほど気にならないものだ。まだまだ先がある、と思い…
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連載10213回 風邪は万病の元か <1>
ひどい風邪を引いてしまった。喉風邪とでもいうのだろうか。声がガラガラになって、喉が痛む。咳がでる。念のために体温を計ってみたら38度5分以上ある。体がだるい。 数日前から喉の調子が変だった。それ…
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連載10212回 デラシネの世紀とは <9>
(昨日のつづき) 定住者と移動者を、かつて私は内臓と血液にたとえたことがある。この国もかつては流動する人びとが各地を漂流して、列島を活性化していた。「まれびと」がそうであり、遊芸の徒がそうであり、…
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連載10211回 デラシネの世紀とは<8>
(昨日のつづき) 私が思うところでは、現代のデラシネとは難民のことである。かつてジプシーと賤称された流浪の民だけがデラシネではない。世界はデラシネの坩堝である。U・S・Aに送られたアフリカ系アメリ…
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連載10210回 デラシネの世紀とは <7>
(昨日のつづき) 筑豊は近代日本のエネルギー源として北九州の一角に築かれた炭鉱地帯である。そこはかつて豊後百姓と呼ばれた農民たちの平和な田園地帯だった。明治以後、財閥や玄洋社などの開発によって巨大…
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連載10209回 デラシネの世紀とは <6>
(前週のつづき) 歴史をふり返ってみると、強制移住者、追放者、移民、引揚者、亡命者などの存在が無数に浮かびあがってくる。生活苦のために故国を捨てた人びとが新大陸をめざす。その地の先住民たちが追われ…
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連載10208回 デラシネの世紀とは <5>
(昨日のつづき) 私が『デラシネの旗』を別冊文芸春秋に発表したのは、1968年(昭43)の10月だった。単行本として刊行されたのは翌年の秋である。 その頃、私は熱にうかされたようにスペイン戦争…
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連載10207回 デラシネの世紀とは <4>
(昨日のつづき) モーリス・バレスの活躍したのは、第1次世界大戦の頃だろう。国民の栄光をうたいあげ、当時は<青年たちのプリンス>と称された存在だったらしい。ナショナリズムを鼓吹し、時代の寵児として…
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連載10206回 デラシネの世紀とは <3>
(昨日のつづき) ナショナリズムというのは、地下のマグマに似ている。地表に噴出する現象がおさまっても、それは一時的なものだ。地下ふかくに脈動して絶えることがない。そして周期的に噴火する状況をうかが…
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連載10205回 デラシネの世紀とは <2>
(昨日のつづき) どこで見た映像だったか。 あっというまに過去の事になってしまった感のあるパリのテロ事件の後日談である。ムハンマドを戯画化したことで、ある雑誌社の編集部がテロの被害にあった。そ…
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連載10204回 デラシネの世紀とは <1>
これまで50年あまりの作家生活のなかで、ずいぶん雑多な小説を書いてきた。自分でも呆れるほどの統一感の無さである。しかし、私自身そのことを負い目には感じてはいない。「雑であること」と「同時代的であるこ…
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連載10202回 今日は昨日の風が吹く <4>
(昨日のつづき) 今夕の日刊ゲンダイをめくっていたら、『流されゆく日々』のコラムと同じ面に宮内勝典さんの<著者インタビュー>が出ていた。『永遠の道は曲りくねる』という大長篇で、河出の『文芸』に連載…
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連載10201回 今日は昨日の風が吹く <3>
(昨日のつづき) サイモン・コンウェイの『スパイの忠義』(ALOYALSPY/熊谷千寿訳/ハヤカワ文庫)を読んでいたら、ロンドンという街についてこんな事が書いてあった。登場人物の会話の中にでてくる…