if ~もしもあの名馬と名将が出会っていたら…
有馬の想い出はオグリキャップとオルフェーヴル
立川志らく 有馬記念で一番印象に残っているのはやはりオグリキャップ。私の競馬歴はオグリからスタートしているので。ラストランは思わず涙が出ましたよ。馬券も含めてものすごく興奮したし感動しました。競馬で感動したのはその時が初めてかな。
伊沢拓司 僕はディープインパクト。小学5・6年のころに競馬というスポーツを初めて知りました。オルフェーヴルが2回目の優勝を飾った13年有馬記念は大学1年生だったのでよく覚えています。自分が競馬を知って見てきた中で一番強い馬がオルフェーヴルでした。
■もし、オルフェーヴルとディープインパクトがあの名将と出会っていたら
志らく 競馬ファンの中でディープインパクトとオルフェーヴル、どっちが強いんだとよく言われています。僕はどちらかといえばディープインパクト派なんですが、オルフェーヴルも三冠馬でとにかく強い。もし、ディープインパクトとオルフェーヴル、最強馬と称される2頭が戦国武将と出会っていたら、どんな風になっていたのでしょうか。
伊沢 オルフェーヴルといえば私の中では織田信長しかいません。栗毛で派手な馬体のオルフェーヴルに乗った信長が戦場にいると想像すると、まあ、すさまじいことになったんじゃないかな。暴れん坊な感じは、織田信長の生まれ変わりなのではと思えるくらい。もしかしたら本能寺の変なんて、起こる間もなく四国、九州、東北へと攻め入って天下統一を実現。徳川政権すらもなかったかもしれません。さらに、天下統一した信長が世界に爪痕を残すなにかをしていたんじゃないかと思うとワクワクしてきます。
ディープインパクトはあまりに強すぎてどの武将が相応しいのか色々考えましたけれど、考えれば考えるほど、どの武将がタッグを組んでいたとしても天下を獲れていたような気がしますね。ディープと出会った武将が天下人となるって図式は一番しっくりきませんか。
■徳川家康はテイエムオペラオー、豊臣秀吉はオグリキャップ!?
志らく オルフェーヴル、ディープインパクトも凄いけれど2000年のテイエムオペラオーもすごい。重賞7連勝で有馬記念に出走。不利がありながらも勝利した姿はまさに世紀末覇者。
伊沢 テイエムオペラオーといえば徳川家康。海道一の馬乗りと言われた家康がテイエムオペラオーに乗り、信長がオルフェーヴルに乗っていたらどうなるだろうと妄想します。これは相当ヤバい(笑)世紀末覇者は信長とどう相対していったのでしょうか?信長VS.家康の関ケ原の戦いなんてのもあったかもしれませんね。
オグリキャップと秀吉のイメージが重なったのは、地方から中央に出て勝ち上がっていく姿は秀吉が好むのではないかと感じたからです。また、オグリキャップは最後の最後にラストランを飾る訳です。もしも秀吉の生まれ変わりが、奇跡の復活を遂げるオグリキャップだとするならば、きっと秀吉は日本中にみんなに愛されるアイドルであり怪物、そんな人生を歩みたかったのかもしれませんね。
■もし徳川の世が無かったら…
志らく 名馬と名将の出会いで歴史は大きく変わっていたかと思うとドキドキワクワクする半面、江戸時代が無かったら落語は誕生していなかったかもしれないから歴史が変わっていたら自分は今ここにいないかもしれないのは困りますね。やはり、徳川の世で良かったかな。
伊沢 徳川の時代の中では徳川吉宗は日本の馬産にすごく貢献しました。日本の馬は小さいので牡馬を中心に外国から良血馬を輸入しました。もし吉宗がタイムトリップしてきて今の状況を見たら、涙が出るくらいうれしいんじゃないでしょうか。日本の血統が世界に広がっていく様子にも興奮するでしょうし、何より本人も乗りたがるんじゃないですかね。
名将と名馬が出会っていたら、自分が武将で名馬と出会っていたら・・って夢や妄想が広がって、とても楽しいですよね。馬と人の歴史はとても長く、きっとたくさんのドラマがあったのだと思います。さて、今年の有馬記念はどんなドラマが生まれるのでしょうか。
志らく 一瞬の出来事や判断、選択で運命が変わったりする。それは、人生も競馬も同じですよね。今からワクワクしながら、妄想というか予想を楽しみますよ。
◇ ◇ ◇
▽伊沢 拓司(いざわ たくし)
クイズプレーヤー。全国高等学校クイズ選手権史上初の個人2連覇を達成。Webメディア『QuizKnock』で編集長を務め、登録者数195万人を超える同YouTubeチャンネルの企画・出演を行う。
▽立川 志らく(たてかわ しらく)
落語家、映画監督(日本映画監督協会所属)、映画評論家、エッセイ ス ト、昭和歌謡曲博士、劇団主宰と幅広く活動している。
■外部リンク JRA 第67回「有馬記念」