慶大グループは注目の研究結果を報告 気になる「水素の可能性」
医療分野で、人間の健康維持にも水素が役立つ
水素は、燃やしても二酸化炭素を出さないことから、次世代エネルギーとして注目される。身近な実用例では、水素エンジン車が有名だろう。東京や神戸などで運行されているバスは、一部が水素エンジンだ。さまざまな分野で水素の活用が広がる中、いま注目されているのが医療分野で、人間の健康維持にも水素が役立つという。
さまざまな水素の効果を紹介する前に、今年3月に報じられたビッグニュースを見てみよう。慶応大医学部と東京歯科大のグループが行った研究がそれだ。
全国15の病院に心肺停止状態で搬送され意識が回復しない人を、従来の体温管理療法に加えて水素吸入療法を行うグループ39人と、従来の体温管理療法のみのグループ34人に分けて、90日後の生存率や症状・後遺症がない状態の割合を比較。
その結果、水素吸入療法の生存率は、従来治療を24ポイント上回る85%。症状・後遺症がなく回復した割合は同じく25ポイント高い46%だった。
水素吸入療法では、人工呼吸器で酸素と一緒に2%の水素を18時間投与している。水素は無毒の気体で可燃性だが、濃度2%なら爆発せず安全に利用できるという。それにしても水素吸入の成果はスゴイ。
悪玉の活性酸素を選択的に取り除く
水素療法に詳しい東京予防医療クリニック総院長の森吉臣氏が言う。
「たとえば、心臓や脳の血管に血栓ができると、血流が途絶えるため、その周りの細胞が壊死し、虚血状態が長引くほど壊死エリアが広がります。ですから、心筋梗塞などはいかに早く血栓を溶かして血流を再開するかが勝負です。ところが、虚血状態から血流が再開したとき、活性酸素をはじめとする毒性物質が生まれて、重篤な障害が引き起こされることもあります。医学的に虚血再灌流障害と呼ばれますが、水素は活性酸素を無毒化する抗酸化力が強い。慶大などの研究成果は、水素の抗酸化力のたまものでしょう」
水素が(活性)酸素と結びつくと、水になる。水素エンジン車が環境に優しいように、体にも優しい。いろいろな病気の背景には、活性酸素も絡んでいるとされるから、水素の抗酸化力は見逃せないだろう。水素の健康パワーについて、森氏に詳しく聞いた。
「病気は、いろいろな原因が複雑に絡み合って発症しますが、その原因の一つが活性酸素で、病気の9割に活性酸素が何らかの形で影響していると考えられています。炎症や老化などの一端も、活性酸素の影響です。その点に着目し、獨協医大に在籍していた40年前から活性酸素の研究を始め、その悪影響をなくす可能性がありそうなものを数多く試してきました。その結果、たどり着いたのが水素です」
実は、活性酸素にも善玉と悪玉があり、善玉は人体に悪影響を及ぼさないどころか、うまく活用されている。悪さをするのは悪玉で、こちらにターゲットを絞って排除することができればいいが……。
「うれしいことに、水素はスーパーオキサイドをはじめとする善玉の活性酸素には結びつかず、ヒドロキシルラジカルをはじめ悪玉の活性酸素に選択的に結合して、無毒化してくれるのです」
加齢で減少した抗酸化 酵素の働きをサポート
なるほど、水素は活性酸素の悪影響を取り除くことで、健康維持に役立つのだろう。
活性酸素が9割の病気に関係しているとはいえ、そのすべてと水素との関係に触れるのは難しい。細胞などの酸化と動脈硬化との兼ね合いについて解説してもらおう。まず細胞などの酸化だ。
「ヒトは、細胞内のミトコンドリアに酸素を取り込んで、ATPというエネルギーに変換します。その過程で酸素の2%は活性酸素になり、細胞やDNAなどを酸化させるのです。しかし、ヒトの体はうまくできていて、活性酸素を無毒化するSODという抗酸化酵素も備えています。若いうちはSODが十分あるのですが、加齢によってSODが減少するため、細胞やDNAが傷ついて病気になりやすい。つまり、SODが減少しても水素があれば、活性酸素を無毒化でき、細胞やDNAの酸化を防ぐことができるのです」
水素で細胞を保護するという意味では、特に脳細胞の保護が重要で、認知症予防が期待される。また、がんはDNAの損傷で発生するため、水素でDNAを守ることができれば、がん予防の可能性もあるそうだ。
※ATP=生物に存在するエネルギー物質のアデノシン三リン酸。
※SOD=スーパーオキシドディスミュターゼ。スーパーオキサイド消去酵素。
水素の抗酸化力で動脈硬化の進行を防ぐ
もう一つの動脈硬化については、コレステロールがよくないのはご存じだろう。
そのコレステロールも、酸化の有無で体への影響が異なる。
「動脈硬化の始まりは、コレステロールの中でも悪玉と呼ばれるLDLコレステロールの酸化の影響が強いですから、LDLの酸化を食い止めることができれば動脈硬化の進行を防ぐことができるのです。その意味でも、水素の抗酸化力は見逃せません。たとえば糖尿病で目の動脈硬化が進むと、網膜症になって失明のリスクがあるし、腎臓の動脈で生じると腎不全から人工透析を余儀なくされます。そして最悪の結末が、心臓の冠動脈を詰まらせる心筋梗塞です。たとえ糖尿病になっても、水素があれば、こうした動脈硬化による合併症の予防になります」
吸入、注射、点滴……。手軽さならカプセルを
こうしてみると、水素は加齢によってSODが減少した中高年にとってはいいことずくめ。“救世主”ともいえるかもしれない。どうやって水素を体に取り込むか。
「水素ガスの吸入や注射、点滴などさまざまですが、効率的に取り込むなら水素カプセルです。当院でも水素吸入機器を使用し65%濃度で30分~60分実施しておりますが、機器は持ち運ぶことが出来ず、少し時間がかかるリスクがあります。その分効果は高いのですが、手軽に摂取することは出来ません。サプリは自宅で簡単に服用でき、朝晩に1~2つずつ飲むだけですから」
前述したように活性酸素は常に生まれていて悪さをする。悪さをさせずに除去するには、血中の水素濃度を一定にキープしておくことが必要だ。その点でも水素カプセルの服用は、理にかなっている。
エゴマ油に含まれる水素を用いたカプセルなら、水素の発生時間が長く、毎日朝晩の服用で十分な水素量を維持できるという。体内に常に水素を発生させて予防していくのが大事な要素だろう。
冒頭の慶大グループをはじめ、水素研究は幅広く進むが、水素が薬になっているわけではない。それでも、水素に備わる抗酸化予防というベースとなる事実から期待される効果は、見逃せない。今後も要注目だ。
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