映画からスポーツへ ワーナーブラザースが狙うゲームチェンジ
米エンタメ大手、ワーナーブラザース・ディスカバリーが、スポーツベッティング市場への、新たな一歩を踏み出す可能性が、高まっています。
この動きは、同社が放映権を持つNBA(米プロバスケットボールリーグ)の国民的人気を活用し、新しい市場に進出する、戦略的な可能性を含んでいることから、業界全体が注目しています。映画制作の他にHBOやCNNを運営し、既にハリウッドで成功を収めているワーナーブラザース・ディスカバリーが、なぜ今スポーツ市場への参入を検討しているのか、その背景には、スポーツベッティング市場の、急速な成長が関連しています。
近年、アメリカでは、多くの州でスポーツ賭博が合法化されたことにより、スポーツベッティング市場は、急速に拡大しています。
スポーツとエンターテイメントの融合が、この人気の理由の一つです。
試合中にどの選手がゴールを決めるか、どのチームが勝利するか、延長戦が発生するかなどの予想は、視聴者にとって、エンターテイメント性を高める、大きな要素です。
さらに、スポーツファンやサポーターにとっては、試合を見る楽しみが倍増し、アメリカでは身近なエンターテイメントとして、人々に受け入れられています。急成長するスポーツ市場に注目するのは、ワーナーブラザース・ディスカバリーだけではありません。ウォルト・ディズニー社傘下の、米有名スポーツ専門チャンネル、ESPNもその一例です。
ESPNもワーナーブラザース・ディスカバリーと同様に、NBAの放映権を持っていることから、本格運用が始まれば、市場の競争化は激しくなることが予想されます。このように、ワーナーブラザース・ディスカバリーは、発展市場の成長を見越して、自社の強みを活かした、新たなビジネスチャンスを模索しています。
NBA人気と、スポーツ放送の新時代
ワーナーブラザース・ディスカバリーは、1989年からNBAの放映権を保有し、スポーツ放送の新時代を、常にリードしてきました。
同社の看板番組「NBA on TNT」は、NBAの中でも、オールスターゲームや、有名選手が出場する人気の高い試合を放映し、熱狂的なファンの心を掴んでいます。この番組を通じて、ワーナーブラザース・ディスカバリーは、スポーツベッティング市場への参入に必要な、強固な視聴者ベースを、既に確立していると言えます。
NBAと言えば、メジャーリーグ、アメリカンフットボール、アイスホッケーに並ぶ、アメリカ四大スポーツの一つであり、世界中のスポーツファンを、魅了し続けています。また、NBAの人気には、スター選手の活躍だけでなく、ハーフタイムショーの実施など、視聴者を飽きさせない、番組構成も、大きく貢献しています。今年11月に開幕した、2023-24シーズンには、新たに「NBAインシーズン・トーナメント」が導入され、全30チームが参加するこのトーナメントは、12月にラスベガスで、決勝戦を迎えます。
このトーナメント制の導入は、NBAファンに、新たな興奮を与えると同時に、ワーナーブラザース・ディスカバリーにとって、広告戦略に、新しい機会をもたらしています。
ハリウッドのストライキの影響で、映画業界の広告収入が低迷している中、ワーナーブラザース・ディスカバリーは、スポーツ市場への参入により、新たな広告源を発掘するための、試行錯誤を続けています。これらの展開は、ハリウッドがスポーツ業界において、新たなビジネスの可能性を模索していることを、示唆しています。
日本でのNBAブーム再来と、デジタル新時代のエンタメ進化
近年、日本ではロサンゼルス・レイカーズの八村塁選手を筆頭に、日本人NBA選手の活躍が目覚ましく、国内でのNBAブームが、再び盛り上がりを見せています。このブームは、熱狂的なバスケットボールファンだけでなく、進化するストリーミング技術によって、さらに加速しています。いつでもどこでも、気軽に試合を視聴できる環境が整備されたことで、特に若年層を中心に、新たなNBAファン層が、形成されています。
中でも、スマートフォンやソーシャルメディアの普及は、スポーツ視聴の新たな可能性を、見出しています。
この流れを受けて、ワーナーブラザース・ディスカバリーが提供する「B/R Sports on Max」は、アメリカで高い人気を誇る、革新的なストリーミングサービスです。2023年からアメリカで開始されたこのサービスは、NBAを中心に多様なスポーツコンテンツを配信し、デジタル新時代の視聴者に合わせた、新しい視聴体験を創出しています。年間で300以上を超えるライブ試合に加え、過去試合のバックナンバー、選手のインタビューや裏話など、プレミアムなコンテンツが魅力です。
現在、日本でのNBA視聴は「NBA Rakuten」と「WOWOW」に限られていますが、今後ワーナーブラザース・ディスカバリーが、日本におけるNBAブームを背景に、日本市場でのサービス展開を検討することが期待されます。
スポーツ市場開拓で狙う、ゲームチェンジ
ワーナーブラザース・ディスカバリーのスポーツベッティング市場への進出は、エンターテイメント業界における、新たな可能性を示唆しています。そして、同社が誇るエンターテイメント力と、最新のストリーミング技術の融合により、視聴者に新しいスポーツ体験を提供することが、期待されています。
日本では、賭博法によりスポーツベッティングが禁止されているものの、アメリカではスポーツとエンターテイメントの新しい形態として、さらなる発展が予想されています。
このように、NBA人気とエンターテイメントの進化が、スポーツ視聴の新たな時代を切り開く中で、ワーナーブラザース・ディスカバリーの挑戦が、業界におけるゲームチェンジャーとなるかどうか、今後の展開から目が離せません。