五木寛之 流されゆく日々
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連載10937回 コロナ時代の生活革命 <5>
(昨日のつづき) 生活が変ると何が変るか。 体のコンディションか。それとも内面的な思想が変るのか。 その人間の生活習慣は、どこかで精神的なものとつながっている。一般にそういわれているし、私…
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連載10936回 コロナ時代の生活革命 <4>
(昨日のつづき) そんなわけで、私は生涯、ずっと夜型人間で通すことになるだろうと思っていた。 ところが人生は、わからないものである。コロナのパンデミックが顕在化してきた頃から、突然変異がおこっ…
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連載10935回 コロナ時代の生活革命 <3>
(昨日のつづき) 1950年代後半から68年をはさんで、70年代までは、いわば深夜の黄金時代といってもいい季節だろう。新宿の『ぼたんぬ』では、阿佐田哲也さんとよく会った。『ナジャ』には渡辺晋さん、…
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連載10934回 コロナ時代の生活革命 <2>
(昨日のつづき) 考えてみれば私の深夜生活には、少年時代の影響が大きかったような気がする。 私が生まれた昭和7年(1932年)は、満州国建国の年であり、五・一五事件の時代でもあった。 軍国…
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連載10933回 コロナ時代の生活革命 <1>
世界がコロナウイルスの洗礼を受けて、ほぼ半年が過ぎた。 目下のところ、世界は防疫と経済の両面作戦におおわらわといった状況だ。ブレーキとアクセルを一緒に踏むという作戦らしい。 少しクルマで遊ん…
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連載10932回 自分のことは棚にあげて <5>
(昨日のつづき) 少し驚いた数字があった。 わが国の個人株主の数が過去最高になったというのだ。その人数、なんと5672万人という。(7月7日・日経) 2019年の統計だが、経済にうとい私に…
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連載10931回 自分のことは棚にあげて <4>
(昨日のつづき) 九州地方の豪雨の被害が連日大きく報じられている。 球磨川流域だけでなく、筑後川まで氾濫したらしい。私は筑後地方の出身なので、人ごとではない。テレビにかじりついて実況を一喜一憂…
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連載10930回 自分のことは棚にあげて <3>
(昨日のつづき) 恐れていたことが現実となった。 新型コロナウイルスの蔓延は、当初は欧米諸国が注目されていたが、実はウイルスの南進こそが問題だったのだ。 南進というのは戦時中、軍部の用語と…
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連載10929回 自分のことは棚にあげて <2>
(昨日のつづき) 私はこれまで積極的に人にアドバイスをしたことがない。 人はひとりひとりちがう。育ってきた環境もちがえば、性格も、能力もちがう。すべての人に共通する生き方などない。それぞれあた…
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連載10928回 自分のことは棚にあげて <1>
経済学の用語にビッグ・プッシュという言葉があるそうだ。予想もしなかった大きな力がはたらいて、それまでの物の考え方や手段が一挙に役に立たなくなることを言うらしい。 その一方で、未来への新しい展望が…
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連載10927回 人が歩くということ <5>
(昨日のつづき) コロナ感染者の数がふたたび増えつつある。以前は高齢者が目立ったのに、このところ若い世代の感染者が増えてきているのが気になることだ。 「高齢者のかたたちは感染をおそれて外へ出ない…
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連載10926回 人が歩くということ <4>
このところコロナ騒ぎで外出する機会がほとんどない。 不要不急の外出は控えなければ、という心理的プレッシャーで、つい部屋にこもりがちなのだ。結果として一日の歩行量がはなはだしく低下する。 ため…
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連載10925回 人が歩くということ <3>
(昨日のつづき) これまで何度も書いてきたことだが、私は本格的な扁平足である。いわゆるベタ足だ。 辞書を引くとこれが大変なことになっている。広辞苑によればこういう事らしい。 <運動などによる…
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連載10924回 人が歩くということ <2>
(昨日のつづき) ホモ・サピエンスと人間を規定したのは、スウェーデンの生物学者リンネだという。 これに対して、ホモ・モーベンスという言葉が出てきたのは、いつ頃のことだろう。 ホモ・サピエン…
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連載10923回 人が歩くということ <1>
最近、杖をついて歩くようになった。 なんとなく気が引けるところがあるが、仕方がない。 数年前に変形性股関節症と診断されて、その後これという打つ手がないままに日が過ぎた。 「プールで歩行トレ…
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連載10922回 続・新聞記事落ち穂拾い <5>
(昨日のつづき) きょうは特別にこれといったニュースがない。見る人によっては重大ニュースが目白押しかもしれないが、私の個人的関心からは遠く離れた記事ばかりである。テレビでは知ることのできないような…
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連載10921回 続・新聞記事落ち穂拾い <4>
(昨日のつづき) 数日、ぐずついた天候が続いたが、きょうは梅雨どきにはめずらしい好天だ。青空に小学生が描いたような雲が浮かんで、なんとなく夏休み気分。 コロナ以後、じつにさまざまなカタカナ文字…
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連載10920回 続・新聞記事落ち穂拾い <3>
(昨日のつづき) きょうの新聞は、各紙とも特に目立ったニュースがない。そういう日があるものなのだ。 新型コロナのパンデミックは、予想どおりブラジルで爆発的に拡大している。ペルーその他の国々も目…
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連載10919回 続・新聞記事落ち穂拾い <2>
(昨日のつづき) 一種類の新聞を長く読み続けるのは問題があるのではないか、と思うようになった。 できればいろんな新聞を交互に読むのがいいと思う。もっといいのは、すべての新聞を同時に読むことだ。…
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連10918回 続・新聞の落穂拾い <1>
私は川柳のファンである。最近は「川柳」のことを「カワヤギ」と読むヤングメンもいるらしい。 <親鸞をオヤドリと読む若い人> というのは私の勝手な作品だが、最近出した『他力』(新書版)も、「タリョ…