天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
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「リードレス」が実現したペースメーカーは今後さらに進化する
今年4月、米国で「リードレスペースメーカー」が初めて薬事承認されました。 ペースメーカーは、脈が遅くなったときに作動して心筋に電気刺激を送り、心臓が正常に収縮するようにサポートする装置です。…
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デメリットを克服すれば外科医は絶滅しない
かつては医師の“花形”といわれた外科医ですが、近年はその数が減少傾向にあります。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(2014年)によると、医療施設に従事する医師数は約29万7000人で、そのうち…
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外科医がロボットに逆転される未来も
前回お話ししたように、手術支援ロボット「ダヴィンチ」による心臓手術は着々と進歩しています。ただ現状では、心臓の回復具合やトータルの医療サービスという点において、人間が行う通常の手術の方が確実性は高い…
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いまは「ダヴィンチ」手術に飛び付くべきではない
近年、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った手術が広がり始めています。ロボットといっても、いわゆる「人型」をしているわけではなく、内視鏡などの手術道具を扱う3本のアームと操作ボックスからなる装置で、…
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ゆとり世代 高齢者とは異なるリスクを抱える
心臓病は65歳以上の高齢者に多い病気です。しかし、20~30代のいわゆる「ゆとり世代」といわれる若い世代でも、心筋梗塞や致死性の不整脈で命を落とすケースは少なくありません。突然死まではいかなくても、…
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患者が“勉強”すればリスクをより減らせる
信頼できない医師による、リスクの高いむちゃな治療から身を守るためには、患者さんが自分の病気の状態と、治療を選択する際のリスクをしっかり把握することが重要です。前々回から2回にわたり、そのための判断材…
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予定日の前日でも患者には手術を断る権利がある
「当院ではその手術はできません」 最初に訪れたA病院で治療を断られた患者さんが他の病院を探し回り、B病院で「ウチならできます」と言われ、藁にもすがる思いで手術を受ける――。決して珍しいケースで…
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「リスクコア」を提示して丁寧に説明する医師は信頼できる
4月から順天堂医院の院長に就任いたしました。これまで以上に、安心、安全で皆さまに満足いただける医療を提供していくよう尽力しなければと気持ちを新たにしています。 昨年、各地の大学病院や総合病院…
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殺しのライセンスが与えられているから許されないことがある
「わかりました! 死んでも離しません!」 心臓手術の最中に想定外の出血が起こったとき、私は「しっかり押さえて出血を止めておけ! いま押さえているところは絶対に離すな!」とゲキを飛ばします。する…
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院内に「安全対策部門」があるかを確認
しっかりした「医療安全対策」が実践されている病院かどうかを見極めることは、患者さんにとって非常に重要です。最悪の場合、それが自分の命に関わるケースもあるからです。 医療安全対策についての教育…
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医療安全対策は患者の命に直結する
昨年10月からスタートした「医療事故調査制度」によって、すべての病院は患者が死亡するような医療事故が起こったとき、第三者機関の医療事故調査・支援センターへ報告しなければならなくなりました。同制度が開…
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1回目の手術が再手術の難易度を左右する
心臓の手術に“賞味期限”があるとしたら、患者さんはどのくらいならば受け入れられるでしょうか? これまでの歴史を振り返ると、「約10年」というのが専門家側の見解でした。 この数字は、冠動脈バイ…
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降圧剤は自己血圧測定をセットで考える
心臓病予防のためには、血圧をしっかり下げておくことも大切です。 血圧が高いまま放置していると、動脈硬化が進んだり、心臓の負担が増えてトラブルを起こしやすくなっていきます。最近ニュースでよく耳…
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薬とうまく付き合ってコレステロールを下げる
心臓病を予防するためには、薬とうまく付き合っていくことも重要です。 薬を飲むに当たって前提になるのは、まず「症状がある」ということです。そして、血液検査の結果に症状を裏付けるデータが出ている…
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予防のため血縁に心臓疾患がいるかを確認
厚労省の「人口動態統計」によると、2014年の死因別死亡総数で、心臓疾患(高血圧性を除く)は19万6925人。これは、死因別死亡数全体の15.5%にあたり、がんに次いで2番目に多い数字です。1985…
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高額な心臓手術 過剰な治療を避けるには“見積もり”を取る
前回、紹介したように、心臓の手術はそれなりに高額です。病状などによっても変わりますが、2週間弱の入院を含めておよそ300万~500万円(3割負担で約100万~150万円)ほどかかります。トータルで8…
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心臓手術は「3割負担」で100万~150万円
心臓の手術には莫大な費用がかかるんじゃないか……。こんなイメージを抱いている人が多いのではないでしょうか。日本はこれからますます高齢化が進み、心臓にトラブルを抱えた患者さんが増えるのは間違いありませ…
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目に見えない機器の進歩が治療を発展させる
前回、前々回と「外科手術の進歩と発展」についてお話ししてきました。近年は、負担が少ない「低侵襲手術」がクローズアップされていますが、これまで外科手術は「より速く、より確実に、より安全に」という方向性…
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体にやさしい手術に惑わされてはダメ
いま、日本の外科治療は「低侵襲」という方向に進む流れが強くなってきていることを前回お話ししました。患者さんの負担を軽減した、体にやさしい手術法がクローズアップされています。 心臓手術では、「…
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低侵襲手術は本当に体にやさしいのか
前回まで、読者の皆さんからいただいた質問に答えてきましたが、またしばらくは、心臓病と治療にまつわるお話をしていきたいと思います。 今、日本の外科治療=手術は、今後の進歩に向けて大きな分岐点に…