感染症別 正しいクスリの使い方
-
【インフルエンザ】3年ぶりの流行に備えワクチンで重症化を防ぐ
つい先日、「インフルエンザの抗体保有率が低くなってきている」という報道があったように、3年ぶりにインフルエンザが流行する気配があります。 インフルエンザの感染状況は、定点医療機関(全国約50…
-
【とびひ】感染力が強いので浴槽・タオル・衣類の共有は避ける
「とびひ」とは細菌による皮膚の感染症の俗名で、正式な病名は「伝染性膿痂疹」といいます。健康な皮膚は肌のバリアー機能によって細菌から守られていますが、虫刺され、引っかき傷、アトピー性皮膚炎などで肌のバリ…
-
【水虫】ステロイドの塗り薬を使って悪化するケースがある
先日、誤った治療によって症状が悪化してしまった水虫の患者さんを見かけました。水虫は、白癬菌という真菌(カビ)に感染することにより発症する皮膚疾患です。以前にもお話ししたように、抗真菌薬の軟膏や飲み薬…
-
【エキノコックス症】幼虫を完全に死滅させる駆虫薬はなく予防が重要
「エキノコックス症」はエキノコックス属条虫の幼虫(包虫)に起因する疾患です。日本では北海道のキタキツネが主な感染源で、糞中にエキノコックスの虫卵が排出され、ヒトにはその虫卵が手指、食物、水などを介して…
-
【便の着色】黒色便の原因は薬なのか出血なのか 慎重な判断が必要
前回は尿の着色について取り上げました。では、「便」はどうなのでしょうか? 小児のロタウイルス感染における特徴として白色便が出ることがありますが、医薬品によって便が着色するケースもあります。 …
-
【尿着色】薬だけではなく病気が原因で色が変化するケースも
前回、抗生物質(抗菌薬)の使用によって尿が着色するケースがあるというお話をしました。 尿への着色が知られている医薬品には、前回取り上げた抗菌薬のセフォゾプラン(赤色~濃青色尿)やミノサイクリ…
-
【紫色尿バッグ症候群】増殖した腸内細菌が原因で尿が紫色に変色
「紫色尿バッグ症候群」という名称を耳にしたことがあるでしょうか。文字通り、採尿バッグ(蓄尿バッグ)内の尿が紫色に染まる現象です。私も20年ほど前、初めて見た時は「いったい何の病気なんだ?」と、かなりび…
-
【褥瘡(床ずれ)】薬で解熱しても発熱を繰り返していた原因は腰にあった
以前もお話ししたように、感染症、悪性腫瘍、膠原病は3大不明熱疾患と呼ばれ、感染症では結核や感染性心内膜炎などが不明熱の原因として知られています。 以前に、こんな患者さんがいらっしゃいました。…
-
【薬剤熱】抗菌薬が原因で起こるケースが約3分の1を占める
前回、原因不明の発熱が起こる感染性心内膜炎についてお話ししました。ただ薬剤師としては、不明熱というとまず頭に思い浮かぶのが「薬剤熱」です。 薬剤熱はその名の通り、薬剤が原因で引き起こされる発…
-
【感染性心内膜炎】心臓の弁に感染した細菌を除菌するため抗菌薬を1カ月以上継続投与
原因不明の発熱が数週間から数カ月続いているとき、さまざまな病気の可能性が疑われます。感染症、悪性腫瘍、膠原病が3大不明熱疾患と呼ばれ、その感染症のひとつとして「感染性心内膜炎」も挙げられます。 …
-
【腸炎ビブリオ】増殖スピードが速く調理器具を介した2次感染も多い
魚介が原因で起こる食中毒といえば、アニサキスが頭に浮かぶ方は多いと思いますが、個人的には魚介で起こる食中毒といえば「腸炎ビブリオ」です。 腸炎ビブリオは、主に海水中に生息する細菌で、水温が1…
-
【伝染性単核球症/キス病】一部の抗菌薬を使うと高確率で皮膚にボツボツが…
「伝染性単核球症」という病気をご存じでしょうか? 主にエプスタイン・バー・ウイルス(EBウイルス)と呼ばれるウイルスが原因で起こる感染症です。まれに、サイトメガロウイルスやアデノウイルスなどが原因で発…
-
【結膜炎】キノロン点眼薬が繁用され耐性菌の出現が懸念されている
前回は麦粒腫についてお話ししましたが、目の感染症といえば「結膜炎」のほうが断然知られているのではないでしょうか。結膜炎はまぶたの裏と眼球前方を結び覆っている結膜が炎症を起こす疾患で、罹患すると目が赤…
-
【麦粒腫】点眼薬と眼軟膏は清潔に使う 悪化すると切開が必要に
「麦粒腫」とは、まぶたにあるマイボーム腺やまつげの根元の脂腺の急性化膿性炎症を指します。一般的には「ものもらい」と呼ばれていますが、これは主に東日本で使われている俗称で、近畿地方で多い呼び名は「めばち…
-
【突発性発疹】乳幼児が生まれて初めて経験する高熱で座薬が使われる
「突発性発疹」は乳幼児期に発症する発熱発疹性疾患で、生まれてから数カ月以上たった頃の乳児に38度以上の高熱が突然出現し、3日間ほど発熱が続いた後に発疹が見られる疾患です。通常4~12カ月の間の子供がよ…
-
【疥癬】ダニが皮膚にトンネルを掘り増殖…かゆみで不眠に陥る人も
広島県・宮島の弥山という山に「疥癬岩」(かいせんいわ)という大きな岩があります。不心得な人がこの岩のそばを通ると皮膚病の疥癬になり、疥癬に悩む信心深い人がこの岩に触ると病が岩に移り治る──と言い伝え…
-
【アカントアメーバ角膜炎】コンタクトレンズは正しく使わないと原虫に感染するケースも
「アカントアメーバ角膜炎」とは、アカントアメーバと呼ばれる原虫に感染することで発症する角膜感染症で、ソフトコンタクトレンズの扱い方が悪いことが原因になり発症するケースがほとんどです。 アカント…
-
【寄生虫による食中毒】アニサキスに正露丸が効くは本当か?
食中毒は、冬場はノロウイルスなどのウイルス性によるものが多く、湿度や気温が高い夏場は細菌性の発生件数が増加する傾向にあります。ただ、食中毒にはそれら以外が原因になるケースも多くあります。その中でも代…
-
【寄生虫による食中毒】「謎の食中毒」の原因はヒラメの刺し身だった
これまで取り上げてきたように、食中毒の原因になるウイルスや細菌はたくさんあります。今回は最近話題になった「謎の食中毒」についてお話しします。 2000年以降、西日本を中心に食後数時間で嘔吐や…
-
【細菌性食中毒】生卵に潜むサルモネラ菌はペットのカメからも感染する
日本は世界中でも珍しい生卵を食べる食文化があります。私も卵かけごはんは大好きなのですが、卵が原因で起こる食中毒の原因菌として「サルモネラ属菌」が知られています。 ヒトに対して病原性を持つサル…