あいつらの末路
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(56)ハワースの丘で殺人事件!?
──Y県破輪洲市ハワースの丘3丁目21の住宅敷地内で18日午前7時20分ごろ、近隣住民の男性から「大量の血が流れている」と110番通報があった。破輪洲署によると、2階建て住宅の玄関付近で、血まみれの男…
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(55)やっぱり連載は断ろう
「いやだ、こんな時間!」 いつのまに寝てしまったのか、目を開けると、窓の外はすっかり明るかった。カーテン越しに強烈な西陽が差し込んでいる。 午後三時。昼まで寝ることはよくあるが、さすが…
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(54)紋ちゃんを全身で抱きしめる
「そう、気のせいだよ。……ね、紋ちゃん」 深夜になっていた。ようやく我が家に辿り着いた朝美は全身を使って愛猫との戯れに熱中していたが、やはり気になるのはあのとき見かけた人物のことだった。 …
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(53)母親がサイババに会いにいくと
「そうよ。あの人のわけがない」 新宿行きの快速に揺られながら、朝美は何度もそう自分に言い聞かせていた。時計を見ると午後十時になろうとしている。 しかし、今日はとんだ一日だった。目的は果…
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(52)あの人がここにいるわけない
万事休すと天を仰いでいると、音楽が聞こえてきた。聞き覚えのある曲だ。公共放送のニュース番組のオープニングではないだろうか? 見ると、テレビがついている。いつのまにか、管理人さんがつけたようだ。 …
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(51)さくらは素直に買えり支度
なにげに腕時計を見てみると、 「え? もう、六時!?」 朝美は、腰を浮かせた。 「おばさん、もしかして、まだ帰ろうとしてます?」 頷くと、 「往生際が悪いですね。今…
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(50)借金取りも大勢来ましたね
「今思えば、本当に夜逃げだったんでしょうね。家財道具、すべてそのままでしたから。それに、借金取りも大勢、来ましたからね。……本当に怖かった」 管理人さんが、当時を思い出したのか、目尻に涙を滲ま…
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(49)案内地図で指したのは景子さんの家
「そんなときです。防犯カメラに、決定的な証拠が残されていたという噂が立ったんです。そして、ある住民が、任意同行されるかもしれない……と。でも、実際には誰も任意同行はされていないんです。というのも、ある…
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(48)猫のように暖炉の前で体を丸め
「ちょっと寒くないですか?」 管理人さんは話を中断すると、やおら立ち上がった。そして、「暖炉をつけましょうか?」 「え? あの暖炉、使えるの?」 さくらちゃんが、暖炉を指さしなが…
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(47)警察手帳なんてはじめて見ました
「あの日のことは、昨日のことのようによく覚えていますよ」 管理人さんが、おとぎ話を聞かせるように語りはじめる。 ──二月の終わりの早朝でした。掃除をしていると、呼び鈴が鳴ったんです。窓…
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(46)30年前に家族が惨殺される事件が
「さくらちゃんち“も”というのは?」 さくらちゃんが、女子高生特有の懐疑の眼差しで訊いてきた。 「あー、ごめんなさい」とりあえず謝ってから、「私が今日訪ねる予定だった知人も、中古物件を破…
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(45)毎日の通学でもうへとへと
「両親が心配する? まさか」 さくらちゃんが、自嘲気味に言った。 「あたしを心配してるなら、こんなところに引っ越してこないって」 そして、少し冷めたルイボスティーをがぶ飲みすると…
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(44)11月半ばなのに窓の外は雪
「あ、雪!」 さくらちゃんが小さく叫んだ。 窓を見ると、……本当だ。雪だ。っていうか、雪!? まだ、十一月の半ばなのに? 「今年の初雪は遅かったですね」 管理人のおばあち…
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(43)美味しいお茶に心も解ける
多目的ホールのエントランスには、チケット売り場のような小さな窓があった。年老いた女性が座っている。管理人だろうか? 女子高生が窓をトントンと叩くと、老婆がおもむろに顔を上げた。 「もし…
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(42)なんで電波が入らないの?
「あら、エレベーター、もう一基あるじゃない!」 朝美は、嬉々として声を上げた。今まで気が付かなかったが、ホールにはもうひとつ扉がある。間違いない、あれは、エレベーターの扉だ! 「ああ、あ…
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(41)帰宅困難者は駅前のホテルに
雨足はますます強くなる。まるで、滝壺の中にいるようだ。四方八方から雨粒が飛んできて、これじゃ、仮に傘を用意していたとしても無駄だったろう。 「それで、おばさんはどうするんですか?」 女…
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(40)バレタインデーに起きた悲劇
【バレンタインの惨劇】 1996年2月14日、バレンタインデー。ベッドタウンH市の住宅街で、家族5人が惨殺されるという惨劇が起こる。 事件の現場になったのは、H駅からバスで15分ほどの…
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(39)突然の豪雨に「おばさん、傘は?」
「じゃ、あたし、行きますね。バイバイ」 女子高生の姿が見えなくなったことを確認すると、朝美は、インターホンを押してみた。反応はない。 うーん、どうしようか。電話でもしてみる?ってそうだ…
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(38)ここって磁場がおかしいんですよ
「あの角を曲がるとT字路なのでそこを右側に折れて、するとゴミ集積場が見えてきますので、その五軒先が目的の家です」 エレベーター前で出会った女性は、突然、歩みを止めた。 「あとは、お一人で…
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(37)なんなのよ!このポンコツが!
「なんなのよ! このポンコツが!」 初老の女性が吼えた。その上品な出で立ちとは裏腹のがらっぱちな物言いに唖然としていると、女性と目があった。 「あら、あなた。見ない顔ですね」 「あ…