早期・希望退職の募集人員は前年の3倍に急増…人材不足というけれど、余剰人員の肩叩きが始まっている
人手不足が続くなか、大手企業の人員削減が待ったなしで広がっている。2024年度に「早期・希望退職」を募集した上場企業は51社(前年度47社)、募集人数は8326人(同6247人)となった(東京商工リサーチ4月24日発表)。なお24年1~12月では募集企業57社(前年比39%増)、募集人数は1万9人と前年(3161人)に比べ3倍に急増している。同社の情報本部長・友田信男氏が大手企業に広がる人員削減の特徴をこう指摘する。
「10年ほど前までは早期希望退職者募集は業績不振、赤字企業が大半でした。しかしここにきて黒字企業が構造改革に向けた新規事業部門の設立で、間接部門などのリストラを一気に加速させている。新規部門で必要とされない、力のない余剰人材の肩叩きが始まっているのです」
業種別ではルネサスエレクトロニクス、シャープ、富士通、パナソニックなど電気機器が18社で前年度(7社)から2.5倍と最多、非上場の東芝も早期退職に応募した3000人超えに配置転換を加え3500人を適正人員としている。自動車業界ではマツダが500人を募集、日産は昨年11月に9000人の人員削減を発表している。