今日の新刊
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「私たちはどこまで資本主義に従うのか」ヘンリー・ミンツバーグ著 池村千秋訳
1989年、東欧の共産主義体制が倒れ始めたとき、西側諸国の有識者は資本主義が勝利したと言ったが、そうではない。共産主義体制の国々は政府セクターに権力が過度に集中し、バランスを欠いていたが、西側諸国は…
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「ポンコツ探偵の名推理」滝田務雄著
八房文次郎は腕利きの刑事だったが、大物政治家・久丸の脱税事件捜査で3年前、警察を辞めさせられた。 すっかり落ち込んでいた八房に、皮肉にも久丸と再会する機会がめぐってきた。 元部下の鍋…
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「キッチン戦争」樋口直哉著
フレンチレストランで働く葉月は、ある日オーナーに呼ばれて、自分が料理コンクールの1次選考を通過したことを告げられる。葉月は応募していなかったが、シェフの荒木のアドバイスでつくった料理を、オーナーが葉…
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「チューリップ」ダシール・ハメット著、小鷹信光訳
いつものように目覚めたマーガレットは、階下に下りて黒ずくめの男が台所から出ようとしているのに気づいた。男は留守の夫ガイに、レオニダス・ドウカスがホテルで待っていると伝えろと言って去った。マーガレット…
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「謎の毒親」姫野カオルコ著
和治光世は母の法要を終えた後、学生時代に通った本屋、文容堂に行ってみた。文容堂には当時、「城北新報」という壁新聞が貼られていて、そこには「打ち明けてみませんか」という相談コーナーがあった。今はもうな…
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「蟲息山房から」車谷長吉著
おおつごもりの晩に、夢を見た。会社で私と背中合わせに座っている女が黒い靴下を私の机の上に脱ぎ捨てて、49階の窓から飛び降りたのだ。私は周囲の者からいわれのない追及をされた。飛び降りた女は「湿り顔の鼻…
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「九番目の雲」山岡ヒロアキ著
営業マンの高梨吾郎は37歳。同期の大江は3週間も欠勤していて、未回収の売掛金があるという噂が流れている。離婚した妻が再婚するので、娘の養育費はもう要らないと言ってきたと笑っていたのだが。 独…
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「ラオスにいったい何があるというんですか?」村上春樹著
ラオス行きの直行便がないのでハノイ経由にしたら、ベトナムの人に「どうしてまたラオスなんかに行くんですか?」と聞かれた。答えようがない。ラオスにある何かを探すために行くのだ。ルアンプラバンという街で、…
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「2時間で走る」エド・シーサ著 菅しおり訳
2011年4月のボストン・マラソンで、ケニアのランナー、ムタイは2時間3分2秒でゴールした。彼は人間の体には42.195キロを2時間未満、つまり〈サブ2〉で走る能力があると信じている。〈サブ2〉に挑…
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「明治・金色キタン」畠中恵著
明治21年の春、原田巡査と滝巡査は内務省の神職の護衛を命じられて甫峠寺跡に向かった。そこは明治の廃仏毀釈で廃寺となったのだが、たたりがあるという噂が立っていた。そこにこの寺にゆかりの赤手が探しものに…
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「サンタクロース物語」ョゼフ・A・マカラー著 ピーター・デニス絵 伊藤はるみ訳
世界的に有名人なのに、実はあまり実像が知られていないのがサンタクロースのモデルとなった聖ニコラス。 彼はトルコのクリスチャンの夫婦の子どもとして生まれた。家は裕福だったが、伝染病で両親を亡く…
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「此処にいる空海」岳真也著
弘法大師として親しまれている真言密教の開祖、空海の生涯には謎が多い。空海は18歳で大学に入るが2年で中退し、次に姿を現す32歳まで何をしていたか分からない。ひろさちや氏は中国に密航していたと考える。…
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「メンチカツの丸かじり」東海林さだお著
ワサビにも階級社会は存在すると著者は言う。チューブのワサビと本物のワサビ。チューブのときはほんのちょっと自嘲的な表情をする。「どーせ本物じゃないんだよね、これ」。小皿の醤油に溶かし、ちょっとかき混ぜ…
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「ザ・ブラックカンパニー」江上剛著
高校時代からロックバンドをやっていた水野剛太はデビューを夢見ていたが、25歳になっても芽が出ない。バイトしていたコンビニも閉店。通りに開店したばかりのヤンキーバーガーに入ったら、真っ赤なフェラーリで…
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「師走の扶持」澤田瞳子著
京にある鷹ケ峰御薬園で薬師をしている真葛のところに、医師から紹介されたという寺侍の娘、蓮がやってきた。16歳というが、13、14歳にしか見えないきゃしゃな娘だ。蛍狩りで知り合った男を好きになり、妊娠…
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「真犯人」翔田寛著
東名高速道路の裾野バス停近くで、高齢の男の刺殺死体が発見された。被害者の須藤勲の身元調査で、40年前の誘拐事件が浮上する。離婚した妻が引き取った須藤の息子、守が転居したばかりの三島の家から誘拐され、…
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「女と男の名作シネマ」立花珠樹著
マリリン・モンロー主演でヒットした「七年目の浮気」。出版社勤務のリチャードは妻子が避暑地に出かけたので羽を伸ばそうと思っていた。そこへやってきたのがブロンドの美女。上の階の住人が避暑で留守の間、部屋…
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恋する昆虫図鑑 篠原かをり著
悪女の代名詞のようにいわれているカマキリのメスは、交尾中にオスを食べてしまうことがある。それなのにオスは食べられながらも生殖器のある限り数時間にも及ぶ交尾を続けるという。しかも、頭を食べられることで…
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「[証言]日本のアングラ」西堂行人著
唐十郎が新宿の花園神社で紅テント公演をやっていたころ、彼らの演劇活動はアンダーグラウンド演劇(アングラ)と呼ばれた。彼らから見れば「新劇は老劇」で、文学座や民藝はオリジナルをやらず翻訳劇ばかり。そこ…
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「山の近くで愉快にくらす」北尾トロ著
3年前に長野県松本市に移住して狩猟免許や猟銃等所持許可を取ったものの、いまだに猟果ゼロの著者。地元のイベントで、害獣駆除された鹿の皮を利用した鹿太鼓づくりを体験したり、シシカバブならぬシカカバブをご…