「2020 狂騒の東京オリンピック」吉野次郎著
新国立競技場の建設をめぐる騒動があったが、これは、明治天皇をしのぶために造られた神宮外苑にある国立の施設ということで、思い入れが強いということが足かせになっている。
また、スポーツは心身を鍛えるためのものなので、金儲けは卑しいという価値観にとらわれて、テレビの放映権料も取らないため、選手の発掘や強化もままならない。日本に近代スポーツを伝えたイギリス人のストレンジが、スポーツは上流階級のものとして労働者階級を締め出したことも日本のアマチュアリズムに引き継がれたという。東京五輪までは補助金を増やしても、その後は? スポーツ界の病理を指摘する警告の書。
(日経BP社 1400円+税)