大高宏雄の「日本映画界」最前線
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福島が舞台 韓国映画界の鬼才がひとりで挑んだ反原発映画
「キネカ大森」(東京都品川区)にスッ飛んで行った。韓国映画界の鬼才、キム・ギドク監督(写真=AP)が手掛けた福島の原発事故を題材にした「STOP」を見るためである。この監督は、現代社会に対する問題意識…
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ジャニーズきっての主演作数 岡田准一と映画の“相思相愛”
映画界のゴールデンウイークは盛況だった。昨年実績を上回るシネコンが続出した。牽引したのは、「美女と野獣」や「名探偵コナン から紅の恋歌」だ。ただ、お馴染みの作品ばかりで、実のところ意外性はない。 …
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骨太な1本 オトナのGW映画は「バーニング・オーシャン」
実話の映画化作品は面白い。とくにそれが存分にお金をかけた米映画のスペクタクル娯楽作となると、迫力の度合いも増して魅力満載となる。米国近海に浮かぶ石油掘削基地で起きた爆発事故を描く「バーニング・オーシ…
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日プロ大賞の重要な意味 低予算映画にもスポットライトを
第26回日本映画プロフェッショナル大賞(略称・日プロ大賞)の授賞式が先週13日、テアトル新宿で開催された。これは、筆者が1992年から主宰している映画賞で映画ファンを中心に徐々に認知されてきた。 …
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涙なしでは…「わたしは、ダニエル・ブレイク」が描く貧困
昨年、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを受賞した英・仏・ベルギー合作の「わたしは、ダニエル・ブレイク」がヒットしている。現在、都内2館、全国18館で公開中だが、興行収入は5000万円に届き…
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評価ポイントは3つ 「キングコング」新作はここが面白い
「キングコング 髑髏島の巨神」が好調だ。すでに興行収入12億円を超え、最終で20億円突破が確実になった。大ヒット続出のアニメーションが席巻する春興行の中、この成績は大健闘である。 戦前の古典的…
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ふんどし一丁で鹿の生肉を…韓国映画で異彩を放つ國村隼
韓国映画が熱い! といっても、ピンとこない人も多いだろう。韓流ブームの停滞とともに、日本における韓国映画の存在感も一時ほどではなくなった。しかし、その風向きが少し変わりつつある。現在、ミニシ…
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チンピラ役が絶妙だった渡瀬恒彦さん 時代の雰囲気を表現
チンピラ役がよく似合う俳優だった。先週亡くなった渡瀬恒彦さんのことをそのように言うと意外な顔をされる。20代はもちろんのこと、30代、40代でもそう。その世代の人たちは性別関係なく、首をかしげるのだ…
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映画「チア☆ダン」にヒント 教師・天海祐希に見る指導力
旬の若手女優の筆頭である広瀬すず主演の映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」に、意外な見どころがあった。学校の部活などで、今必要とされている教師の指導力を問う作品だ…
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日本アカデミー賞に異変 人気と質を備えた邦画作品の台頭
今月3日に放映された日本アカデミー賞授賞式の視聴率が、12.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。昨年は10%台だったのでまずまずの結果だろう。豪華俳優陣が一堂に会すなど見どころはいくつもある…
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社会派貫く「相棒」最新作 マンネリ補って余りある迫力
先週公開された「相棒―劇場版Ⅳ―首都クライシス 人質は50万人!特命係最後の決断」が大ヒットだ。4作目にして、シリーズ歴代最高のオープニング成績というから驚く。 中身にマンネリ感は否めない。…
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「新東宝」70周年 娯楽に徹した映画魂は現代でも通用する
かつて新東宝という映画会社があった。東宝の争議をきっかけに、1947年に同社を離れた映画人たちが立ち上げた(新東宝という社名は翌年に命名された)。1961年に解散したが、発足から数えて今年は創立70…
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5本目の興収10億円超え 東映実写が「キセキ」の快進撃
東映が、久しぶりに一矢報いた。邦画大手3社の新作が激突した先週末、東映配給の「キセキ―あの日のソビト―」が、抜きんでた。最終の興収で15億円近くまで見込まれるというから、ちょっと驚いた。 昔…
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愚連隊映画で本領 「ネチョネチョ」は松方弘樹の名セリフ
東映で一時代を築いた映画スターたちは、何か大きな運命の糸に操られているのだろうか。2014年の末、高倉健さん、菅原文太さんが相次いで亡くなり、それからほぼ2年後、松方さんが旅立った。 松方さ…
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持ち味を発揮 綾瀬はるかの胸元から見る「本能寺ホテル」
意外ながらも、冗談ではなくうれしい一光景を見た。先週公開された「本能寺ホテル」での綾瀬はるかの巨乳ぶりだ。彼女の巨乳が有名かどうかは知らないが、今作ではその持ち味がいかんなく発揮されている。オヤジ目…
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「この世界の片隅に」キネ旬ベスト・テンで1位獲得のワケ
ちょっとした驚きである。昨年公開の日本映画を対象とした「キネマ旬報ベスト・テン」で、ヒット中の「この世界の片隅に」がベストワンに輝いた。アニメーションのベストワンは宮崎駿監督の「となりのトトロ」以来…
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荒ぶる魂と優しさ 俳優「根津甚八」の尽きぬ魅力とは?
生前の偉大さが、あまり伝わっていないのではないか。年末に亡くなった根津甚八さんのことである。根津さんといえば、ある時期という限定的な期間になるが、萩原健一や水谷豊と同格、あるいはそれ以上の存在感を見…
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2016年の振り返り ベストアクター&アクトレス5人を発表
2016年の映画界を俳優から振り返る。主演助演は問わず、ベスト5を選んだ。 1位 高畑充希/恋愛映画「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」の彼女は実にはつらつたる姿態がまぶしく、いまを最も輝かし…
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メガヒット「君の名は。」 本当の偉業は“世界で興行20位”
今年の映画界の話題は、やはり「君の名は。」のメガヒットに尽きる。すでに興収205億円を超え、邦画では歴代2位、洋画を合わせても歴代4位の成績を記録。さらに驚くなかれ、上映は来年の春ごろまでの大ロング…
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なぜ最後の「鬼平犯科帳」は映画ではなかったのか?
先週末、テレビで「鬼平犯科帳」を見た人も多かったのではないか。地上波最後の“鬼平”という触れ込みであったが、素晴らしい出来栄えで、鳥肌が立った。視聴率も良かったと聞く。 特に後編は秀逸だった…