そこに昭和がある旅
-
神戸・柳原のレトロな雰囲気に包まれたふぐ屋 店主の根性
店名は「包福」。「かねふく」と読む。看板にルビが打たれている。それでもルビに無頓着な客はいる。 夫婦で来て、どちらかが「つつみふく。そう読むの?」と言う。店主の森清治さん(76)は笑ってすま…
-
和田堀公園の釣り堀は創業70年 「ジョーズ」のハリボテが
昭和の時代、釣りは今よりもっと身近な娯楽だった。その頃の雰囲気を醸し出す釣り堀が、杉並区の和田堀公園にある。 建物の外壁に張り巡らされた赤い角材が目印の「つり堀 武蔵野園」は、入ってすぐにビ…
-
ミニ独立国「ニコニコ共和国」のいま コスモはまだ使える
井上ひさし著「吉里吉里人」に着想を得て、昭和も末、各地で「ミニ独立国」が乱立した時期があった。 関西では「カナソ・ハイニノ国」があったはずだが、その後どうなったのだろう。 とりわけ名…
-
芦屋で創業70年の“大衆食堂”元関取の主が店名に託した思い
昭和を生き抜いた男は暖簾に弱い。いや、恋しいと言ったほうがいいか。暖簾には“人生に疲れた男”の心を揺さぶる力がある。例えば二度と戻れない故郷を思い出させてくれるような。派手な暖簾でなくていい。地味な…
-
愛媛の佐田岬で大苦戦…いよいよ困難になった商人宿探し
かつて大型時刻表巻末にはホテル・旅館一覧が掲載されていた。「素泊まり3500円から」「大浴場あり駅近し」といった一文を手掛かりに、駅で10円玉積み上げピンクの電話のダイヤルを回した記憶をお持ちの方も…
-
「昭和の商店街」ニュー新橋ビルはサラリーマンのオアシス
JR新橋駅西口のSL広場に隣接する「ニュー新橋ビル」は、戦後の再開発事業のはしりとして昭和46年に建てられた。かつてその場所にあったマーケットの店子の多くがテナントに入ったという。 それから…
-
大阪・京橋のAM4時開店の喫茶 ブレンドはゆで卵付き340円
今回のミッションは「昭和のままの喫茶店を探せ」。どこにある? と思案していたら連れの漫画家(72)がひと言。「京橋にある」。根拠は? 「直感でんがな」。かつて彼の直感で万馬券を2度買い、麻雀でヤツの…
-
谷中のパン屋 樹齢100年のヒマラヤ杉を切った店主の胸中
いまから94年前の昭和元(1926)年、ひとりの男が甘味処を始めた。 場所は寺院の密集する谷中。三差路のとがった一角、三角形の鋭角にあることから店名を「みかど」とした。「『三角』じゃおかしい…
-
大阪・鶴橋のコリアンタウンではさまざまな感情が渦巻く
JR大阪環状線の鶴橋駅に着くと、電車のドアが開くなり、焼き肉の香ばしい匂いが出迎えてくれる。夕暮れの鶴橋のプラットホームは人があふれる。 「ええ匂いでんな。わしカルビからいきますわ」 …
-
浅草のキャバレーホステスに人気 純喫茶のピザトースト
いまや昭和の代名詞である純喫茶。その定番の軽食メニューといえばピザトーストだ。 食パンにトマトソースを塗り、サラミやハム、タマネギ、ピーマン、マッシュルーム、チーズなどの具をのせ、トースター…
-
尼崎で創業108年の町中華 知恵絞り出店した初代店主の気概
おおよそ100年前になる。一人の若者が故郷仙台に別れを告げ、神戸に着いた。「生きるため」。東北の若者はひたすら、そう自分自身に言い聞かせる。JRか阪神電車の元町駅から徒歩6分。南に歩くと旧居留地があ…
-
兵どもが夢の跡 福岡・大牟田「三池炭鉱の街」アーケード
コロナのせいで航空券相場も変調をきたしたらしく、以前は羽田から九州へ飛ぶのに福岡行きが熊本や鹿児島行きより高くなることはまずなかったと思うが、この前調べたら、いち早く需要の戻った福岡行きが常に高く、…
-
終電を逃した貧乏学生が朝まで過ごした上野のピンク映画館
上京当時、すでにアダルトビデオは全盛だったが、ピンク映画館もしぶとく残っていた。マンガ喫茶もなかった時代、終電を逃した貧乏学生が朝まで時間を過ごせる場所は、深夜営業のプールバー(ビリヤード場)かピン…
-
屋台店主が寄り集まり 京都に残る「会館」のノスタルジー
それは仕事で京都に出張した日の夜のこと。現地の飲み仲間・K姉に連絡すると「会館につれてってあげる」と一言。会館とはなんぞや? 指示されるままに阪急電鉄の西院駅で待ち合わせ、案内されたのが線路…
-
神戸・三宮の路地 震災に負けない焼き鳥屋女店主の心意気
「あの店は楽しいから」 知人にこう言われ、店を探した。「あの店」は三宮(神戸)にある。阪急でも阪神でもJRでも何でもいいがJR東口からが分かりやすい。 サンキタ通りの東端にその店「いな…
-
元海軍料理人が創業 両国の“中洋折衷”町中華が来年閉店に
絶滅寸前の昭和の飲食業態といえば、純喫茶の他に「町中華」も挙げられるだろう。 ここ数年、ブームになっているが、それは物珍しさからであって、それは数が減っている、いつかなくなるかもしれないから…
-
帯広のばんえい競馬で大負け…スナック街でリベンジを誓う
巨大な馬が鉄ソリを引いて争うばんえい競馬。長く岩見沢、旭川、北見、帯広の4場持ち回りだったが、2007年から帯広のみとなった。私は昔、旭川で観戦したことがあり、マグロ解体ショーを行うなどして集客に努…
-
尼崎の老舗水あめ店とちょんの間 ステテコ姿で歩いた下町
度が過ぎるほど暑い夕刻。連れの漫画家(72)は阪神電車・尼崎駅の改札口(西口)に汗の一滴も見せず現れた。会うなり「ちょんの間がありまっせ」と笑う。ちょんの間? 何のことか? 「水あめ」を売って…
-
神保町の古本屋街巡りのシメに喫茶店 本日の獲物を広げる
東京に出てきた時はすでに平成になっていたが、古本屋はまだ健在であり、その聖地はむろん“神保町”であった。 貧乏な映画好き青年のお目当ては、「矢口書店」で映画本の掘り出し物を探すこと。それから…
-
現存する最古のストリップ劇場「浅草ロック座」には女性客
ストリップといえば、舞台上で本番を行う白黒ショーやまな板ショー、アソコから火や矢を吹く花電車など、見せ物小屋のような陰湿なイメージを持つ人も多いのではないか。記者もそのひとり。今はどうなっているのか…