がんと向き合い生きていく
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「爪が黄色い」患者さんを検査すると肺に胸水が見つかった
「頚部とわきの下が黒くなった」 そう訴える55歳の男性(会社員)が来院されました。痛みはないとのことですが、黒くなっているところの一部は線状になって色素沈着がありました。夏の間、特別に日焼けし…
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新型コロナに対応する医療者の「燃え尽き症候群」が心配
「燃え尽き症候群」(バーンアウト)とは、国語辞典によると、「燃え尽きること。心身のエネルギーが尽き果てること」とあります。 聖路加国際病院の松尾貴公医師(感染症科)らは、この4月にCOVID―…
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便の検査で血が混じったら「どこからの出血なのか」が問題
私が小学生の頃、先生から便をマッチ箱に入れて学校に持ってくるように言われ、便の検査が行われました。当時は、寄生虫を調べるためで、寄生虫かその卵がいた場合、それを駆除する薬を飲まされたと記憶しています…
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とどめ刺す「セカンドオピニオン」はより苦しみを与えるのでは
53歳のKさん(男性)は「セカンドオピニオン」として、診療情報提供書を持参して来院されました。初めてお会いしたのですが、痩せていて元気がなさそうに見えます。 紹介状には次のように書かれていま…
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ケンカして「退院」を告げられた膵臓がんの患者の胸の内
以前、ある病棟を回診した時にこんな出来事がありました。 私はカルテを確認してから男性の4人部屋に入り、一人一人に「どうぞ頑張ってください」と声をかけました。3人の患者さんは、それぞれニッコリ…
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相談センターで「不安になるのは無理もない」と言われ…
Sさん(58歳・女性)は進行した婦人科がんで、これまで3年間、同じ病院で5回、入退院を繰り返し、現在も通院中です。そんなSさんがこんなお話をしてくれました。 ◇ ◇ ◇ ◇ 手術後…
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膵臓がん 切除は無理でも放射線の「術中照射」で無事に退院
八百屋を営んでいるKさん(65歳・男性)は、父親が胃がんで亡くなったこともあり、がんを気にして毎年、健診を受けています。 長年、朝のコーヒー、晩酌、たばこを欠かさない毎日を送ってきました。コ…
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新型コロナの影響でがん検診を受ける人が大幅に減っている
毎日、まだまだ暑い日が続いています。 新型コロナウイルス流行の影響で、多くの方と同じように私の親戚・知人、都会で働いている人たちは、実家に帰省することもなく9月に入りました。 顔を合…
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勉強を欠かさなかった先輩医師は"霊水"を信じたのだろうか
以前のことになりますが、某大学医学部のS教授の友人が膵臓がんの末期状態で入院されました。S教授は私に会いに来られびっくりするような相談をされたのです。 「このまま抗がん剤が効かなくなって、命が…
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新型コロナ時代の病院はお見舞いに出向くのも簡単ではない
肺がんで入院している上司を見舞おうと、GさんはM病院を訪れました。しかし、病院玄関でコロナウイルス感染症対策のために厳重な管理が行われていたため、受付の様子を見ただけで帰ることにしました。 …
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肺がんの患者が目を輝かせながら話す姿を見て考えたこと
Nさん(65歳・男性)は進行した肺がんで、Aがん専門病院に通院されていましたが、自宅が私の勤務している病院に近いとの理由で転院を希望して来院されました。 最初の診察で、Nさんと私はこんな話を…
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難病の患者も心の中では「本当は生きたい」と叫んでいる
地球の温暖化で、南極、北極の氷は解け、豪雨による川の氾濫、山崩れ……わが物顔で地球を開拓してきた人間には「自業自得」が待っていたのかもしれません。 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの方は…
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コロナ感染の克服と経済再生のカギはPCR検査を多く行うこと
連日、午後になると東京、大阪、名古屋をはじめ、日本国内の新型コロナウイルス感染者発生数の発表があります。その増加ぶりに驚き、市中感染が増えてコロナ感染第2波が来ている状況なのではないか……。コロナ感…
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看護師の忙しそうな態度を見てひどく傷つく終末期患者がいる
終末期患者の多い病棟で、以前こんな出来事がありました。 当時63歳のNさん(男性)は、大腸がんの手術後に肝臓と肺への転移が見つかり、がん性腹膜炎で腹痛がある終末期の患者さんです。ある日の朝、…
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オンライン診療だったら大変なことになっていたかもしれない
東北在住でリンゴ農園を経営されているSさん(59歳・男)は私の遠い親戚です。10日ほど前、胃がんの手術が終わって退院したとの電話がありました。 「ありがとうございます。うまぐいって良かったじゃ…
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心配症の前立腺がん患者を安心させた担当医とのやり取り
Kさん(74歳・男性)は5年前、検診で前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA値(正常値4ng/ミリリットル以下)が「4・2」と異常を指摘され、某病院の泌尿器科を受診したところ前立腺の生検でがんが見つか…
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乳がんは骨転移だけであれば命に関わらないことも多い
友人の医師からこんな電話がかかってきました。 「知り合いのGさんについて、相談に乗って欲しいのです。『全身がん』と言われて悩んでいるようです。本人から電話させますからよろしくお願いします」 …
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肺がんで亡くなった祖母の手にはめられた白い手袋には紐がつながれていた
Fさん(45歳・女性)はすでにご両親を亡くされていて、夫とは5年前に離婚。いまは小学2年生の息子と2人暮らしで、自宅近くのスーパーに勤めています。 そんなFさんが住んでいるアパートから徒歩1…
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新型コロナ禍であらためて考えるべき「在宅介護」の現状
この6月、日本緩和医療学会から「新型コロナウイルス感染症が拡大しているこの時期にいのちに関わるような病気で入院中の患者さんのご家族にお伝えしたいこと」と題するリーフレットが送られてきました。内容をピ…
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コロナ渦中に亡くなったがん患者への対応で考えさせられる「ご遺体の尊厳」
ある日の夕方、自宅に帰ってパソコンを見ると、メールが2件届いていました。 1件目は友人の医師、I先生からでした。 「入院していたがん患者さんが亡くなられた。葬儀屋さんが来てくれて、ご遺…