週末オススメ本ミシュラン
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「非常識に生きる」堀江貴文著/小学館集英社プロダクション
この本は、一見、非常識な生き方を勧めるような印象の構成になっているが、内容は指導者に必要とされるヒトとモノとの付き合い方についての定石が記されている。 ヒトとの付き合い方について指導者は大方…
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「大阪ミナミの貧困女子」村上薫、川澄恵子著/宝島社新書
本書は、大阪ミナミの夜の街で働く女性たちのルポルタージュだ。夜の街は、コロナ禍で最も深刻な影響を受けた業界であるにもかかわらず、その惨状が報じられることは、ほとんどない。報じても、世間の同情を集める…
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「忖度しません」斎藤美奈子著/筑摩書房
先ごろ亡くなった半藤一利はじめ、保阪正康や内田樹の言説に違和感を消せないのは、彼らが一様に天皇制肯定から出発しているためである。とりわけ平成の天皇を「リベラルな天皇」として評価する。 それに…
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「東電福島原発事故 自己調査報告 深層証言&福島復興提言:2011+10」細野豪志著、開沼博編、林智裕・取材/構成徳間書店/1700円+税
東京電力福島第1原発事故から10年、事故後内閣府特命担当大臣として原発事故や除染などに携わった細野豪志氏が多くの関係者と会い、当時何が起こっていたかを対談形式で深掘りする。最終的には「科学が風評に負…
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「負けない交渉術」大塚弘昌著/朝日新聞出版
訴訟社会の米国で、弁護士として修羅場の交渉の経験を積んだ大橋弘昌氏(ニューヨーク州弁護士)による実践的な指南書だ。評者が外交官時代に出会った交渉の達人の技法とも通じるところがある。 大橋氏は…
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「2040年の未来予測」成毛眞著/日経BP
未来予測、特に長期の予測は、本当に難しい。経済や社会に関する幅広い知識が必要だし、深い洞察力が不可欠だからだ。著者の本業は科学技術だから、その分野の予測は説得力がある。例えば6Gのスマホだ。私は、5…
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「菅義偉の正体」森 功著/小学館新書
「いかに信念のない政治家が多いことか」 菅首相が著者にそう語ったという箇所を読んで私は大笑いしてしまった。自分のことはわからないと言われるが、これはひどすぎる。 菅が「いかに信念のない…
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「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン著 久山葉子訳 新潮新書/980円+税
スウェーデンのベストセラー作家で精神科医によるスマホの危険性を説いた本だ。人類はこれまでの99・9%の時間を狩猟と採集に費やしてきたという。その長い時間をかけて少しずつ進化していったのだが、スマホが…
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「陰謀の日本近現代史」保阪正康著/朝日新書
昭和史研究の第一人者である保阪正康氏による日刊ゲンダイの人気連載「日本史縦横無尽」を加除修正、編集し、まとめられたのが本書だ。 歴史は陰謀と結びついている。評者も外務官僚時代、さまざまな陰謀…
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「逆・タイムマシン経営論」楠木建、杉浦泰著/日経BP
本書は、「同時代性の罠」に陥って経営判断を誤らないように近過去に学ぼうと提言する経営書だ。同時代性というのは、世の中を虜にするブームのことだ。その弊害は、私自身も強く感じていた。 本書でも取…
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「大資本はなぜ私たちを恐れるのか」武建一著/旬報社
現在、日本の企業の内部留保は475兆円もある。竹中平蔵らが唱導する新自由主義によって企業の自由勝手度が強まると共に法人税の相次ぐ引き下げの結果である。しかし、何よりも労働組合の結集体である連合が、ま…
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「日本の外からコロナを語る 海外で暮らす日本人が見たコロナと共存する世界各国の今」 下川裕治責任編集/メディアパル/1300円+税
新型コロナ以降、海外在住日本人のツイッターやニュースサイトへの寄稿を目にすることが多くなった。また、米英在住医師が日本の対応について苦言をテレビで述べるさまなどを見てきた。 アメリカ在住の野…
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「いまこそ『社会主義』 混迷する世界を読み解く補助線」池上彰、的場昭弘著/朝日新書
コロナ禍が世界的な規模で資本主義に大打撃を与えている。経済成長が止まり(部分的には衰退が起きている)、国家間、地域間、階級間、ジェンダー間の格差が拡大している。 アメリカやヨーロッパでは、社…
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「新型コロナ 自宅療養完全マニュアル」岡田晴恵著/実業之日本社
私は、テレビやラジオで何人も感染症の専門家に会うが、一番信用しているのは、岡田晴恵教授だ。言っていることが科学的だし、何よりこれまで未来をピタリと言い当ててきているからだ。 11月14日にテ…
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「安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル」村山治著/文藝春秋
「検察庁法改正案に抗議します」という笛美の抗議文がツイッターに投稿され、それが拡散して、“官邸の守護神”と呼ばれた黒川弘務を検事総長にする「改正」が阻止されたのは今年の春だった。 いま、河井克…
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「民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日本近代」藤野裕子著/中公新書/820円+税
江戸時代の百姓一揆、明治時代以後の「新政反対一揆」「関東大震災時の朝鮮人虐殺」など、民衆が暴れた背景について多数の文献から論じる。のっけから意外だったのが、豊臣秀吉の「刀狩り」では、すべての武器が取…
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「民主主義とは何か?」宇野重規著/講談社現代新書
宇野重規氏(東京大学大学院教授)は、日本学術会議の会員に推薦されていたにもかかわらず、菅義偉首相によって任命を拒否された6人に含まれていたために脚光を浴びた学者だ。政府の政策に批判的見解を表明したこ…
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「経済のカラクリ」神崎兵輔著/祥伝社新書
「なぜ日本人の賃金は下がったのか」「なぜサブスクが急増しているのか」。本書は、経済にまつわる53の疑問に、4ページという短い文章で次々に答えていくショートショート型の解説書だ。 私は経済をなり…
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「国対委員長」辻元清美著/集英社新書
これは裏方の立憲民主党国会対策委員長としての活動録だが、辻元にはやはり表舞台での質問こそがふさわしい。 2015年に安全保障法制という名の戦争法が問題となった。これは憲法違反だと9割の憲法学…
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「ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論」小林よしのり著/扶桑社/1200円+税
「週刊SPA!」で毎週のようにコロナ騒動に対して舌鋒鋭く「アホか」とゴーマンかまし続ける小林よしのり氏。本書は同連載と書きおろしに加え、これまで同氏がブログで述べてきたことを紹介し、テレビに登場するコ…