文庫あらかると
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「パルプ」チャールズ・ブコウスキー著、柴田元幸訳
家賃滞納で立ち退きを迫られている私立探偵のニックの事務所を飛び切りの美女が訪ねてくる。「死の貴婦人(レディ・デス)」と名乗る女は、ハリウッドの本屋に出入りする人物が、本物のフランス人作家・セリーヌか…
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「嵐を呼ぶ女」和久田正明著
金吾は、ある夜、帰宅した定町廻り同心の父・寛十郎から母とは別の女に恋をしてしまったと打ち明けられる。3日後、寛十郎が何者かに殺された。無外流の使い手だった寛十郎だが、抜刀した形跡はなく心臓をひと突き…
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「非常時のことば」高橋源一郎著
人気作家が「ことば」について考えたエッセー。 東日本大震災と原発事故は、戦争以来の災害だった。震災直後、その66年の間で、同じテーマについてもっともたくさんのことばが生み出されたが、それでも…
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「犬はあなたをこう見ている」ジョン・ブラッドショー著、西田美緒子訳
動物行動学の第一人者が、犬の知力や知覚、感情などを解説した動物本。 かつて犬は人間にとって狩りの手伝いや羊の番など「道具」だったが、ペットとなることによって、以前よりも行儀よくすることを期待…
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「世界地図の下書き」朝井リョウ著
雨の夜、両親が乗った車にスリップしたトラックが衝突。孤児となった小3の太輔は、伯母夫婦の家を経て、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らし始める。 太輔の加わった1班は、中3の佐緒里がまとめ…
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「千駄木の漱石」森まゆみ著
文豪・夏目漱石は、明治36年春からの4年足らずを千駄木で暮らした。その間、英語教師として教壇に立ちながら、「吾輩は猫である」「坊っちゃん」など数々の名作を執筆した。当時の漱石の暮らしぶりを紹介しなが…
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「一年有半」中江兆民著 鶴ケ谷真一訳
喉頭がんで余命を宣告された明治の偉人が、遺書代わりに書き残した随筆。 明治34年の春、滞在中の大阪で受診した著者は、医師から切開手術が必要だと言われ、すぐにがんだと察する。半年前からせき込む…
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「庖丁ざむらい十時半睡事件帖」白石一郎著
福岡黒田藩の要職を歴任してきた十時は、隠居して半睡と名乗る。半分眠って暮らすというシャレだ。しかし、2年前に再出仕を命じられ、総目付に返り咲いた。 ある日、半睡は息子・弥七郎の江戸土産の鐔(…
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「自由学校」獅子文六著
昭和の人気作家の魅力が詰まった代表作の復刻。 五百助と駒子は昭和16年秋に結婚。何事にも動じない五百助に大人物の貫禄を感じていた駒子だが、9年経った今は夫が無能なでくの坊にしか見えない。 …
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「とんでもなくおもしろい仕事に役立つ数学」西成活裕著
仕事に生かせる数学的思考法を伝授する講義集。 厳密には数学だけでは実社会への応用は難しいが、数学と物理が融合した「数理科学」なら現実社会の問題をいきなり解決することも可能。例えば、タービンの…
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「おれたちの約束」佐川光晴著
父親の服役で生活が一変、札幌の児童養護施設から中学に通った陽介は、仙台の高校に進学する。入試を2位の成績で合格した陽介は、寮で暮らしながら、東大現役合格を目指し、勉強漬けの日々を送っていた。 …
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「ぶらり昼酒・散歩酒」大竹聡著
飲み歩きの達人が、さまざまな町で気ままな散歩と昼酒をたのしむ極上エッセー集。 5月のある日、七里ガ浜での仕事が終わった。さて、どこに行こうかと考えていると、永井龍男の名作「青梅雨」を思い出す…
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「エドウィン・マルハウス」スティーヴン・ミルハウザー著 岸本佐知子訳
アメリカ文学史上に残る傑作「まんが」を書いた11歳の小説家「エドウィン・マルハウス」の生涯を、同じ年の隣人で友人のジェフリーが描いた、という体裁で書かれた長編小説。 2人の出会いは1943年…
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「心に緑の種をまく-絵本のたのしみ」渡辺茂男著
児童文学者が3人の息子の子育て体験を交えながら、名作絵本45冊の魅力を紹介するブックガイド・エッセー。 3歳間近だった末っ子が、ある日、「家出」を決行、大騒ぎになったことがあったという。それ…
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「メサイア 警備局特別公安五係」高殿円著
超軍縮会議によって各国の軍隊は人口の0・1%に縮小。大量破壊兵器の開発生産も禁止され、戦争は諜報戦へと移行して7年が経った皇暦111年。特秘機関「サクラ」の養成機関で基礎教育を終えた海棠(かいどう)…
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「カテリーナの旅支度」内田洋子著
長年イタリアで暮らす著者が、出会った人々の生きざまを描くエッセー集。 友人のミケーレに誘われ出かけたジェノバの船舶フェアの広大な会場でひときわ大きな声で目立っていた男は、ミケーレの友人でサル…
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「5人のジュンコ」真梨幸子著
2014年2月、淳子は中学時代の同級生・純子が殺人容疑で逮捕されたことを知る。報道によると、純子と接点があった男性が5人も不審死しているという。二十数年前、嘘つきで、自我が強い純子に翻弄され、学校生…
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「九十九怪談 第七夜」木原浩勝著
実話怪談を編んだ人気シリーズ第7弾。 中学生のときに大雨で自宅近くの池が決壊。翌朝、多くの住人たちが池に集まっていた。見物に行くと、水がなくなった池の底にテレビや食器棚、冷蔵庫がトースターの…
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「TAP」G・イーガン著、山岸真編訳
大学教員のクレアに、国家安全保障局時代の元上司から〈銀炎〉患者の分布に変則が見つかったと連絡が入る。銀炎ウイルスの起源はいまだに不明で、感染者の9割が3日以内に死んでしまう。 ノースカロライ…
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「いのちの旅『水俣学』への軌跡」原田正純著
長年、水俣病患者に寄り添ってきた医師(2012年没)によるエッセー集。 水俣病は、実に巨大な奥深い事件で「水俣病に映してみると世の中のさまざまなことが見えてくる」という。ゆえに、これからも研…