がんと向き合い生きていく
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強いストレスが急激にがんを進行させたのではないか
「ストレスとがんの関係」についてたずねられると、Y医師のことを思い出します。 東日本大震災の発生(2011年3月11日)から3カ月後だったと記憶しています。被災した病院に勤務するY医師が私を訪…
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脳梗塞による左麻痺が起こった原因は隠れた膵臓がんだった
Bさん(58歳・男性)は、昨年の会社の健診で肝機能異常を指摘されたのですが、病院を受診していませんでした。以前、脂肪肝と言われたこともあり、きっとそのせいだろうと思っていたことに加え、コロナの流行が…
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われわれが地球で生きていくためにやらなければならないこと
減少傾向にあるものの新型コロナの感染流行がなかなか収まりません。しかも、テレビでは悲惨な戦争の報道が続き、とてもやりきれない思いの日々ですが、久しぶりに心を打たれる映像を目にしました。スウェーデンの…
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個々のがんに合った薬剤「抗体薬物複合体」の開発が進んでいる
がん薬物療法を大まかに説明します。 「抗がん剤」はがん細胞だけではなく正常細胞の核のDNAにもダメージを与えるので、白血球が減るなどの副作用が多く見られます。その後、開発された「分子標的薬」は…
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がんで亡くなった旧友の病気を知っていたら役に立てただろうか
旧友であるM君の奥さんからハガキが届きました。そのハガキには寅さんがカバンを持って歩く姿が印刷されています。そして、こう書かれていました。 「あの世から(帰ってくる)といって永遠の旅に出かけま…
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2羽のツバメは再発を心配するがん患者の心を救ったのか
十二指腸がんで3年前に手術を受けたCさん(70歳・男性)のお話です。 がんはすべて取り除くことができて、担当医は「大丈夫。定期の検査だけはしましょう」と言ってくれています。それでも、手術前に…
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妻には言えても医師には言えない…がん患者の心中
73歳のKさん(男性・定年退職後)は胃がんの手術をしてから2年が経ちました。すでに再発予防のための抗がん剤治療は終わっていて、その後の経過を診てもらうために手術した病院へ3カ月ごとに通院しています。…
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いきなり週単位、月単位と言われても…胃がん患者の心の叫び
ある緩和病棟のベッドのそばにある床頭台の引き出しの中に、こんな書き置きがありました。 ◇ ◇ ◇ ◇ 私は57歳の男性、胃がんです。一人では動けなくなって、病院の緩和病棟のベッドに…
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高いエビデンスがある治療でもすべての患者に推奨できるわけではない
最近、「エビデンス」という言葉が時には医療以外の場面でも聞かれるようになっています。「証拠」や「根拠」といった意味を持つ言葉で、医療では「研究や臨床試験により科学的で客観的な裏付けが取れているもの」…
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「見て」「触れて」「聴く」診断はオンライン診療では難しい
Aさん(63歳・女性)は乳がんの骨転移があり、2年前からB病院で薬物治療を続けていましたが、何かほかに治療方法がないかとC診療所のM医師のもとに夫と一緒に相談にいらっしゃいました。この時は、M医師か…
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悪性リンパ腫と闘う若者は友人の死に泣きながらギターを弾いていた
がん拠点病院では、緩和ケア病棟が設置されている施設も増えていますが、多くの一般病院では「治療」も「緩和」も「看取り」も同じ病棟です。平均の入院期間が今よりもずっと長い時代のある病院でのお話です。 …
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日本が世界に誇る胃がん早期診断は佐野先生の貢献が大きい
1972年ごろ、国立がんセンター(現・国立がん研究センター)には3つの臨床病理室があり、第1の佐野量造先生が主に胃、大腸の消化管がん、第2の大星章一先生が造血器腫瘍、第3の下里幸雄先生が主に肺がんを…
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希少がんのひとつ「小腸がん」はなぜ少ないのか 免疫機能が関係
「胃がんや大腸がんの話はよく聞きます。口腔がん、食道がん、直腸がんも聞いたことがあります。でも、『小腸がん』というのはあまり聞いたことがありません。小腸は長さ5~7メートルもあるそうです。どうして小腸…
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腸内細菌が免疫チェックポイント阻害薬の効果をアップさせる可能性
「腸内細菌叢(腸内フローラ)」と、いろいろながんに対して効果のある「免疫チェックポイント阻害薬(ICI)」との関係が注目されています。がん患者にICIが効くかどうか、患者の便の細菌を調べることで分かる…
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がん薬物治療のパイオニアだった木村禧代二先生との思い出
木村禧代二先生(1919~95年)は、白血病の治療のみならず、がん薬物治療の日本のパイオニアであり、中心人物として活躍されました。 1972年、私は青森県立中央病院の内科に1年半勤務し、国立…
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心配を分かってもらえていない…不安を抱えるがん患者の気持ち
乳がん治療を続けているKさん(63歳・女性)のお話です。 ◇ ◇ ◇ ある日のお風呂上がり、右乳腺に約3センチ大のしこりがあることに気づきました。乳がんではないかと思って、すぐにS病…
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患者にとっては嫌な「骨髄穿刺検査」は一瞬で終わる
私は学生時代、高熱とリンパ節腫大があって白血病が疑われ、入院した時に「骨髄穿刺検査」を受けました。腹ばいになり、上後腸骨棘と呼ばれる仙骨の上部横にある出っ張りのところを局所麻酔して、二重(内筒と外筒…
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本田美奈子.さんの歌を聴いて思い出す「バンダナ贈呈式」
「不要・不急の外出は控える」 これを守って、自宅で物書きをしていたら、ラジオから本田美奈子.さんが歌う「アメイジング・グレイス」が流れてきました。 ◇ ◇ ◇ ◇ やさしい愛の…
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強い抗がん剤は口内炎ができやすい 治療前の口腔ケアが大切
無菌室で闘病を続けている急性白血病の患者Aさん(17歳・女性)は、抗がん剤治療の終了5日後に口唇と歯肉が赤くなり、口内炎がひどくなってきました。下唇を指さして「痛い」と訴えるAさんに、担当医は「食事…
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パンデミック下のがん治療は自己判断で取りやめてはいけない
新型コロナウイルスのオミクロン株は、とても感染しやすいことが知られていて、どこで、どうして感染したのか分からないという方がたくさんおられます。また、重症化は少ないといわれても、連日亡くなる方の報告を…