著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

強いストレスが急激にがんを進行させたのではないか

公開日: 更新日:

「ストレスとがんの関係」についてたずねられると、Y医師のことを思い出します。

 東日本大震災の発生(2011年3月11日)から3カ月後だったと記憶しています。被災した病院に勤務するY医師が私を訪ねてきました。

 Y医師は、津波で亡くなったご遺体の検案を毎日行い、夜はお酒を飲まないと眠れない日が続いたそうです。病院の1階は完全に破壊され、人工透析もできなくなり、悲惨な状況が続いているとのことでした。

 Y医師が私を訪ねてきた主な目的は医師派遣の依頼でした。

 Y医師はもともと頑強な体格で、この時は元気そうに見えましたが、苦労が重なってか、少し小さくなった印象を受けました。1時間ほど話して帰られましたが、それがY医師とお会いした最後でした。

 それから1年後、Y医師の訃報が届きました。スキルス胃がんで亡くなったというのです。

 私は愕然としました。考えてみれば、お会いした時、Y医師の胃にはすでにがんができていたのでしょう。あれから、体調がすぐれないことがあっても、検査する暇もなかったのではないでしょうか。そして、あの大震災のストレスが、急激にY医師のがんを進行させたのではないかと思いました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末