がんと向き合い生きていく
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血液を調べてがんの状態を知る新しい検査法について考えたこと
一般的にがんの診断は、腫瘍ができている箇所からその組織を生検(バイオプシー)し、病理専門医が顕微鏡で見て行います。 最近、そうした組織からがんを診断する方法のほかに、血液や尿など(リキッド=…
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AIによる胃内視鏡検査は患者に「不安」を残すのではないか
先日、ある病院で行われているAI(人工知能)を搭載した胃内視鏡検査をビデオで拝見させていただきました。 内視鏡検査中、胃の中に小さな隆起が映された時、術者がAIを起動させると「がんの確率85…
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ジャングルでの孤独な潜伏生活を支えた素朴な宗教心とは
今からおよそ50年前の1972年2月、グアム島のジャングルに約28年間潜伏していた残留日本兵の横井庄一さん(97年没)が帰国しました。 最近、横井さんが帰国後に入院した際のカルテが見つかった…
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抗がん剤には柑橘系の果物を食べない方がいいタイプがある
「担当医に『次の治療から、当日はグレープフルーツを食べるのはやめてください』と言われました。普段からグレープフルーツはほとんど食べませんが、冬はミカンを食べることが多いのです。ミカンは大丈夫なのでしょ…
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薬でがんは予防できるのか アスピリンは大腸がんを抑制する
明けましておめでとうございます。今年は、昨年と違って明るい年であることを祈っています。 さて、薬でがんの発生を低下させる、あるいは防ぐことはできるのでしょうか? 私事を申し上げて恐縮…
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来年へ向けてオミクロン株に対する備えは大丈夫なのか
令和3年、私が楽しかったことは、この12月で2歳になったたったひとりの孫(男の子)に動画で会えること、そしてメジャーリーグで二刀流を成功させた大谷翔平の活躍くらいだったように思います。 コロ…
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子宮頸がんワクチン接種の「積極的勧奨」再開で考えたこと
子宮頚がんは子宮の入り口にできるがんです。90%以上がヒトパピローマウイルス(HPV)によるとされ、性交で感染することが分かっています。HPVに感染してからがんになるまでは数年から数十年と考えられ、…
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「中皮腫」の治療は免疫チェックポイント阻害薬が活躍する時代へ
運送業をしているBさん(58歳・男性)は、健康診断の胸部X線検査で「肺が少しスリガラス様に曇っている」と指摘され、来院されました。胸部CT検査を行ったところ、胸膜が肥厚し、一部は小さな腫瘤様に見え、…
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がん検査「CT」「MRI」「PET」はそれぞれわかることが違う
「がんの検査で、CT、MRI、PETはどう違うのですか?」 先日、患者さんからこんな質問がありました。今回はこれらの検査について簡単に説明します。 CT(コンピューター断層撮影装置)、…
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在宅勤務は社会の分断を招き人と人の関係が薄くなるのではないか
Aさん(50歳・男性)は初夏のある朝、混んだ電車に乗ったところ、ひどいめまいと嘔気に見舞われ、途中下車しました。すぐに内科を受診し、頭のCT検査を行ったのですが、脳腫瘍などはなく、医師から「めまいの…
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胃がんの妻を支えていた旦那さんに思いも寄らない出来事が…
主婦のOさん(56歳)は、進行した胃がんで腹水があり、がん性腹膜炎となった状態で他院から紹介されてきました。 食事はか細いようで、お腹だけが膨らんでいます。小柄で、あまり話されず、何となく上…
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テレワークの普及はがんリスク上昇につながってしまうのではないか
先日、かつて一緒に働いていた看護師のAさんにお会いしました。以前と変わらず早口で、よくしゃべります。 ◇ ◇ ◇ ね~、聞いて聞いて。うちのダンナ、コロナで会社に行かずに在宅勤務…
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免疫低下でリスク上昇…「帯状疱疹」新ワクチンの副反応は?
リウマチで某病院に通院している妻の友人が、新しい帯状疱疹ワクチンの予防接種を勧められ、打った方がいいかどうか悩んでいると聞きました。1回2万2000円と結構高額ですし、2~6カ月以内にもう1回接種す…
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「全身がん」でも長生きする人がたくさんいるのはなぜか
先日、友人のRさん(64歳・男性)から電話がかかってきました。前立腺がんで全身骨転移があり、治療を受けています。 Rさんによると、右大腿にチクチクした痛みが2日ほど続いた後、水疱が出てきたそ…
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抗がん剤がネックになり介護老人施設に入所できない患者も
Sさん(79歳・男性)は肺がんで手術後に抗がん剤を内服し、呼吸器外科病棟を退院することになりました。 しかし、ひとり暮らしです。筋力が落ちていてふらつきがあり、すぐに自宅に帰るのは無理と考え…
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可能性があったはず…「縦隔腫瘍」だった若者をいまも思い出す
約35年も前のお話です。当時23歳だったFさん(男性)は、就職した会社の2年目の健診で胸部X線に異常影を指摘され、胸部外科に来院されました。X線検査の写真では、前縦隔(心臓の前、両側肺の間)に径8セ…
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深夜に搬送された病院で「7万円の病室しか空いていない」と言われ…
「先生、お金はいくらかかってもいいですから……治してください!」 紹介されてきた患者の母親が、食い入るように私を見つめてこう口にしました。それを受け、私は「治療は一番良い方法を行っています。お…
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信頼のおけるかかりつけ医を見つけられれば患者は安心できる
Aさん(43歳・男性)は悪性リンパ腫を患いましたが、幸いなことに初回治療でリンパ腫が消失。その後、半年ほど外来で6回の抗がん剤治療を受け、大きな問題なく終了しました。 その際、担当医とこんな…
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コロナ患者を診ているがん専門医からの便りで考えたこと
ある病院でがん診療をしているA医師から、こんなメールが届きました。 「先生! 30代の男性が車の中で亡くなっていたのが見つかり、PCR検査で陽性でした。男性の妻は感染して入院中で、NHF(ネー…
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空腹ホルモン「グレリン」はがん治療と大きく関係している
28歳で独身のDさん(男性・病院事務)はアパートで一人暮らしをしています。身長167センチ、体重98キロ、BMIは35(22を標準とし、25以上が肥満、18.5未満が低体重とされる)と、かなりの肥満…