韓国カジノ産業と大阪IR 歴史、特徴そして今後の展望は

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 日本初の統合型リゾート(IR)として注目されている大阪IRは、2030年秋ごろに開業予定だが、隣国の韓国は、ひと足先にソウル空港に近い仁川エリアに韓国2つ目の統合型リゾート「インスパイア」をモヒガン・インスパイア・エンターテインメント・リゾートが2024年3月5日にグランドオープンさせ、早くも話題となっている。

 日本と韓国の両国では、カジノを含んだ複合観光施設を促進する中、両国のアジアの経済や観光業において、さらに重要な役割を果たすと予想されているのはご存じだろう。

 そこで今回、双方のカジノ関連の歴史を踏まえ、その特徴と今後の展望を探ってみようと思う。

韓国のカジノ産業の歴史とIR事業

 韓国のカジノ産業の始まりは1960年代にさかのぼる。

 当初、韓国人(居住者)もカジノを利用できたが、ギャンブル依存症などの社会的問題を考慮し、韓国政府はすぐに自国民の入場を禁止し、現在も韓国政府による自国民へのカジノ規制は厳しく、国内に点在する18カ所のカジノ(2024年3月現在)のうち、韓国国民が入場できるのは、経済再建を目的に2000年に開業した江原ランド(東部・江原)のみとなっている。

 外国人観光客にとって、韓国カジノの魅力の一つは、最小賭け金額がマカオやシンガポールのカジノに比べて低く設定されていることだ。

 3万円〜5万円程度の軍資金で、資金の減りを抑えるウィナーズ法などの戦略を使うことで、初心者でもバカラやルーレットなどの本格的なテーブルゲームを楽しむことができるだろう。

 カジノ産業の歴史は古いものの、韓国初のIR施設「パラダイスシティ」の開業は2017年で、シンガポールやマカオに比べると比較的遅いIR事業の参入だ。

 24年現在、韓国国内のIR施設は今回オープンした「インスパイア」を含めて2つのみだが、他にも様々な地域でIR施設の新設計画が進行しているようだ。

大阪IRの現状とその内容は?

 2023年4月、大阪市の人工島「夢洲」に日本初となるカジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致することが正式に決定された。
 大阪府・市は2029年の開業を目指していたが、政府による計画認定の遅れから、現在のところ2030年の開業の見通しを示している。

「結びの水都」をコンセプトとする施設内にはカジノの他に、世界的な展示会や見本市を開催できる国際展示場や大型シアターなどのエンターテインメント施設、日本の魅力を伝える複数の施設、多様なニーズに対応した3つのホテル(総客室数2,500室)など魅力的なノンゲーミング施設が整備される予定となっている。

■カジノからノンゲーミングへのシフト

 韓国と日本では、ギャンブルに対する否定的なイメージが強く、統合型リゾート(IR)と聞くと主にカジノを想像する傾向があるが、IRは本来、カジノを含む複合施設であるということを忘れてはいけない。

 先進のゲーミング都市であるラスベガスは、かつては収益の大半がギャンブルから得られていたが、現在、主な顧客層は若年世代にシフトし、彼らはカジノ以上に飲食や宿泊施設、エンターテイメントに多くの支出している。そのため、ラスベガスでは、カジノに依存しないノンゲーミング収益を重視するビジネスモデルがすでに成功し始めているようだ。

 また、アジア最大のカジノエリアであるマカオも近年、カジノの収入に依存しない方針を打ち出しており、ノンゲーミング収益に力を入れている。

 このようにIR先進国の事例を踏まえると、韓国や日本のIR成功の鍵は、単にカジノ収益に頼るのではなく、観光の魅力を高めることに重点を置くことが重要だと思われる。

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