北上次郎のこれが面白極上本だ!
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「追憶の東京」アンナ・シャーマン著 吉井智津訳
河竹黙阿弥が書いた「慶安太平記」は、江戸時代初期、幕府転覆を企てた丸橋忠弥の物語だが、その忠弥の生きていた時代には目白から江戸城の屋根が見えたという。なぜ目白かというと、この町の金乗院に丸橋忠弥の墓…
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「八月の銀の雪」伊与原新著
地球の中心には、鉄でできたコアがある。そのコアは2層になっていて、外側は高温で金属がどろどろに溶けている。その内側は固体の球になっている。地球の中にある、もうひとつの星だ。これを1936年に発見した…
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「心淋し川」西條奈加著
人情小説に善意あふれる人間が多く登場するのは、社会の底辺で生きる人々がみな、善人ばかりという理由ではけっしてない。そうして助け合わなければやっていけないからである。そういう悲しく、厳しい現実を背景に…
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「ストーンサークルの殺人」M・W・クレイヴン著、東野さやか訳
ブラッドショーがホテルのバーで酔っぱらいに絡まれるシーンがある。ブラッドショーは窓のそばの席に座り、ノートPCでゲームをしていた。そこに男たちが絡んできて、1人が彼女の口にビールの瓶を押しつける。中…
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「自転しながら公転する」山本文緒著
牛久大仏が見える町に住む都を主人公にした長編だ。32歳の彼女は東京で働いていたのだが、親の介護のために故郷にUターンして、いまはショッピングモールのアパレルショップで働いている。回転寿司屋で働く貫一…
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「競馬にみる日本文化」石川肇著
いやはや、面白い。舟橋聖一、菊池寛、吉屋信子、吉川英治ら作家たちがどのように競馬と親しんだのか、そのエピソードがてんこ盛りだ。さらに、その合間を縫うように、日本最初の競馬ミステリーが、大庭武年の「競…
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「夜の声を聴く」宇佐美まこと著
うまいなあ、宇佐美まこと。ストーリーの先が読めないから、どんどん引き込まれていく。とってもスリリングだ。 「月世界」というリサイクルショップがある。ヘンな名前であるのは、ダンスホールだったとき…
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「ムシカ 鎮虫譜」井上真偽著
ヘンな話だ。虫たちが人を襲ってくる。ところが、音楽が聞こえた途端、その虫たちの動きがピタッと止まるのである。虫たちの怒りを鎮める音楽があるというのだ。 日本では、小さくて獣とも魚とも呼べない…
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「ちえもん」松尾清貴著
18世紀後半の周防国で生まれ、長崎で活躍した回船商・村井喜右衛門の、波乱に富んだ半生を描く歴史小説である。 当時の海村では、家を継ぐ長男以外は、余計者であった。ごくつぶしであった。彼らは、生…
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「インビジブル」坂上泉著
昭和29年の大阪を舞台にした長編である。主役は、大阪市警視庁の巡査新城洋と、国警大阪府本部警備部の守屋恒成警部補。この「大阪市警視庁」と、「国警大阪府本部」をまず説明する。 日本を占領したG…
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「アンダードッグス」長浦京著
いきなり、だ。車の前に男が飛び出してきて、えっと思うと、その男の後頭部が爆ぜる。どこからか銃弾が飛んできたのだ。こういうアクションシーンが頻出する。息つく暇なく連続するから、スリリングだ。 …
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「コンビニ兄弟」町田そのこ著
「テンダネス門司港こがね村店」という副題の付いた連作集である。このタイトル+副題だけで、だいたいの内容が推測できる、と言われるかもしれない。コンビニを舞台に「さまざまな人間模様」を描く連作集でしょ、と…
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「口福のレシピ」原田ひ香著
原田ひ香の料理小説には定評がある。「ランチ酒」「まずはこれ食べて」など、いつもおいしそうだ。 本書にもたくさんの料理が登場する。たとえば、タケノコと山盛りの野菜の天ぷらを食べるシーン。コツは…
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「二百十番館にようこそ」加納朋子著
就活に失敗した青年がいる。それだけならいくらでも取り戻せるが、青年はやる気を失い、部屋に引きこもってネットゲームをするだけ。しかも何年も。これでは親も怒りだす。 というわけで、離島の館に放り…
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「どっちが殺す?」M・J・アーリッジ著 佐田千織訳
とんでもないヒロインの登場である。背が高く、筋肉質で、引き締まったたくましい体をしている。革ジャンをまとい、ヘルメットをかぶってバイクにまたがるカッコいいヒロインだが、同時に自らの体にムチを振るう男…
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「チーム・オベリベリ」乃南アサ著
オベリベリとは、現在の帯広である。この地を開墾した明治の晩成社の活動の日々を描いた長編で、この晩成社は実在した開拓団だ。晩成社の依田勉三、鈴木銃太郎、渡辺勝も、すべて実名で登場している。帯に「リアル…
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「永田キング」澤田隆治著
「スポーツ漫才で一世を風靡した男の物語」との副題が付いた本だ。 興味深いのは、大衆芸能史を描いた本であると同時に、時代との関連をきちんと描いていることだ。たとえば、関東大震災で壊滅的打撃を受け…
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「法廷遊戯」五十嵐律人著
すごいな、一気読みだ。 何よりも素晴らしいのは、新鮮であることだ。どこかで読んだことのあるような、という既視感がまったくない。生まれて初めて読む小説であるかのように、初々しく、真摯で、読むこ…
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「大江戸火龍改」夢枕獏著
夢枕獏は、その作品の多くが長大なシリーズもので、しかも多くが続刊中。「陰陽師」のように、長大なシリーズものでも単発作品として読むことのできる作品もあるけれど、続きものは完結してから読みたいと思う読者…
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「夢でもいいから」亀和田武著
無名時代の三谷幸喜のカラオケを聞いただけで、コイツ天才だと直感したときのこと。デビュー直後にインタビューした尾崎豊のこと。三茶で飲んでいたらコント赤信号の小宮孝泰が現れて、親戚のオジさんが川崎長太郎…