明日を拓くエネルギー読本
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「東電原発裁判」は市民による「現代の東京裁判」
今年6月、画期的な裁判が始まった。福島原発事故から6年以上も経過し、初めて行われた事故責任を問う刑事裁判である。 福島原発事故は、膨大な放射能をまき散らして大地や水を汚染し、今もなお続く避難…
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本当に重大なことは議題にしない日本の政治文化
ドイツと日本は、人口や経済規模、産業構造、歴史など多くの点で似ており、しばしば比較される。そのドイツは脱原発したのに、なぜ日本にはできないか。誰もが思う疑問だ。本書はその「回答」の一つかもしれない。…
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6年間ほぼ原発ゼロの現実の直視を
3・11福島第1原発事故を教訓に脱原発を選択する国が相次ぐなか、肝心の事故を引き起こした当事国の日本が原発に固執している。しかしその内実は、出口の見えない福島第1原発の廃炉や汚染水問題をはじめ、急増…
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顔の見える「志金」で地域の課題解決
アベノミクスでは何十兆円という桁違いの大きなお金が「金融緩和」される一方で、わずかな資金が足りずに倒産に追い込まれる中小企業もある。 私たちの暮らしでも切っても切れないお金には2つの種類があ…
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「下り列車」に乗り換えて見えてくる幸福なニッポン
東芝、タカタ、神戸製鋼、日産と不祥事が続き、高品質なものづくりで世界をリードしてきたはずのニッポン株式会社の屋台骨を揺るがしている。大企業だけでなく、「堅い仕事」の代名詞であるお役所も、モリカケ問題…
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おなじみのバナナは代替種のクローン!!
昨年から今年にかけて、北海道のジャガイモが不作でポテトチップスが品薄になったことは記憶に新しい。台風による一時的な影響だったが、本書で紹介される食糧危機はそんなものではない。 19世紀にアイ…
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原発1号機の冷却失敗は氷山の一角
2011年3月11日の事故発生から福島第1原発の免震重要棟に陣取り、死を覚悟しつつ事故を収束させた故吉田昌郎所長は、海外からも「フクシマ50人のリーダー」と称えられたヒーローとなった。想定外の全電源…
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クルマを不便にし、道路を暮らしの空間に
仕事柄、全国各地の地方都市をよく訪れるが、その地の風土の面白さの前に「廃れ感」が気に掛かる。金太郎アメのようなファストフード店やコンビニに消費者金融が並び、そのスキマを時間貸し駐車場とシャッター街が…
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自らの選択を肯定することが幸せに
今、デンマークが熱い。 玩具のレゴやチボリ公園は以前から有名だが、今や「世界でもっとも幸福な国」として注目を浴びる。税金は高いが、社会的にも平等で階層がほとんどなく「アメリカよりもアメリカン…
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当代一線の論者が原発問題群の「今」を一望
日本の原子力政策は、いろいろな問題をごまかし後回しにしてきた「出来の悪い小学生の夏休み最終日」状態だった。そこに福島第1原発事故が起きて、カオスの2乗のようになっている。 本書は「教科書」と…
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「1%」の人々が気候変動の危機を食いものに
福島第1原発事故が起きた2011年に、著者の前著「ショック・ドクトリン」が邦訳された。「火事場泥棒の資本主義」という意味だ。人々が大災害や危機に遭って呆然と立ち尽くしているスキを狙って、「1%」の独…
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原発立地による地域経済への恩恵は「神話」
世界最大の原発が集中する新潟県の柏崎刈羽原発。新潟はいくつもの意味で、福島と「一つの組み紐」のように絡まり合ってきた。 いずれも東京電力のエリア外にもかかわらず原発が集中し、首都圏への電力供…
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安倍は「ストーカー男」のように原発に執着
原発投資を失敗した東芝が上場廃止から解体に向かいつつある。福島第1原発事故を起こした東京電力は事実上破綻し国有化された。原発事故の避難者は置き去りにされ、20兆円から70兆円もかかる「廃炉」はおろか…
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“住宅貧乏”から抜け出す法
全身に使い捨てカイロを貼った裸の男が真冬の雪の中に出ていく写真に、いきなり驚かされる。日本の住宅の現実は、そういう状態だと著者は指摘する。この写真に限らず、副題に「省エネ住宅のプロも陥る25の勘違い…
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8年以内に化石燃料車は世界中で一台も売れなくなる
ギョッとするタイトルだが、目次を見るとエネルギーの未来像を描いた本だと分かる。電気のデジタル化、スマートメーター、分散化、オフグリッド、電気自動車(EV)、IoTなどなど。 従来、こうしたジ…
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「想定外」を受け止め、希望の連帯へ
ますます先が見通せない今日、明日を見通すための最初の一冊として「変態する世界」を取り上げたい。エロを期待した諸兄には残念だが、本書の「変態」とはカフカの「変身」(メタモルフォーゼ)と同義だ。 …