孤独のキネマ
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「さよなら子供たち」ナチス占領下のフランスの実情を描く
ルイ・マル監督が自ら脚本を書いた自伝的作品。第44回ベネチア国際映画祭金獅子賞などを受賞。先週、DVDとBDが発売された。 1944年、ナチス・ドイツに占領されたフランス。クリスマス休暇を終…
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「しとやかな獣」ネコババ、妾、ヤリマンが描く倫理観崩壊
新藤兼人の脚本を「洲崎パラダイス赤信号」「幕末太陽傳」の川島雄三監督が映画化したブラックコメディーの傑作。 10月の蒸し暑い日、マンモス団地に住む前田時造(伊藤雄之助)は息子の実(川畑愛光)…
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「日本の黒い夏-冤罪」 松本サリン事件の冤罪描く問題作
オウム真理教の幹部7人が死刑を執行された。本作は彼らが起こした松本サリン事件(1994年)で犯人扱いされた河野義行氏をモデルに冤罪の恐怖を描いた問題作。 95年6月、高校で放送部に所属するエ…
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「小林多喜二」特別高等警察に虐殺されたプロレタリア作家
特別高等警察(特高)に虐殺されたプロレタリア作家・小林多喜二の生涯を描く。先週、DVDが発売された。 貧農の家に生まれた多喜二は伯父の厚意で小樽高等商業(現・小樽商科大)に進学して拓銀に就職…
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「天狗党」 日本人はだまされやすい民族であることを痛感
幕末に暴れ回った水戸天狗党と彼らに関わった男の生きざまを描く。先週、KADOKAWAからDVDが発売された。 常陸国の百姓・仙太郎(仲代達矢)は租税の減免を願い出たことで代官の怒りを買い、百…
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「セルピコ」 腐敗警官どもに1人で立ち向かい孤立していく
「十二人の怒れる男」「未知への飛行」などの社会派監督、S・ルメットがメガホンを取った問題作。今月29日にKADOKAWAからBDが発売される。 ニューヨーク市警の刑事セルピコ(アル・パチーノ)…
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戦争映画「フューリー」 激闘するシャーマンvsタイガーI型
戦争映画ファンには戦車が出てくると大興奮する人がいる。本作はそんなマニアにオススメ。6月22日(金)・23日(土)の23時から飯田橋ギンレイホールでオールナイト上映される。「戦争のはらわた」(デジタ…
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「ある殺し屋」時系列を崩した裏切りのいきさつが面白い
市川雷蔵が殺し屋を演じる。 小料理屋を営む塩沢(雷蔵)はケチな美人局(つつもたせ)に因縁をつけられてこれを撃退。「強い男が好き」というズベ公の圭子(野川由美子)は勝手に塩沢の家に居候する。実…
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「駅馬車」銃撃戦で味付けをした人間再生の痛快ドラマ
スカッと爽やかな映画を見たい――。こんなときにオススメなのが本作。ジョン・ウェインの代表作であり、西部劇の不朽の名作だ。 19世紀終わり。アリゾナ州からニューメキシコ州ローズバーグに向かう駅…
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「誰も知らない」大人がセックスすれば子供が苦しんで死ぬ
是枝裕和監督の「万引き家族」がカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞。先週「幻の光」「歩いても 歩いても」など彼の7作品がBDで発売された。そのひとつが本作。柳楽優弥が14歳でカンヌの主演男優賞を受賞…
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悪質タックルで思い浮かべた「ミリオンダラー・ベイビー」
日大アメフト部の激烈タックルは監督の指示だったとか。この仁義なき戦いで思い浮かべたのが本作だ。アカデミー賞の作品賞と監督賞など4部門で受賞した。 ロスでボクシングジムを赤字経営するフランキー…
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「ジャージー・ボーイズ」 TOKIOに通じるロック界の堕落論
「TOKIO」の山口達也が不祥事を起こし、グループの存続に関わる大問題となった。この騒動で思い出したのが本作。実在した音楽グループの繁栄と衰退を描いている。 1961年、米ニュージャージー州の…
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「エクソシスト」 飲み会でファック・ミー!と叫んだあの時代
1970年代はある映画がヒットすると同じジャンルの作品が次々と生み出される時代だった。本作は「オーメン」(76年)や「サスペリア」(77年)の先駆けといえる。 イラクで遺跡を発掘しているメリ…