孤独のキネマ
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「南極料理人」ラーメンが食べたくなる究極の巣ごもり映画
新型コロナで家に閉じこもっていたら、本作を思い出した。南極基地で働く隊員の暮らしこそ究極の巣ごもり生活。料理人の目を通して地の果てで生きる男たちを描いたコメディーだ。 舞台の「ドームふじ基地…
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「ダイ・ハード」“米国買い”の象徴で奮闘する刑事に興奮
日本公開は89年2月。もう31年になる。早いものだ。 ニューヨーク市警の刑事マクレーン(ブルース・ウィリス)はロサンゼルスに到着し、別居中の妻ホリー(ボニー・ベデリア)が勤めるナカトミ・コー…
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狂乱の時代…「バブルへGO!!」 団塊世代は心して見よ!
今から30年前の1990年、バブル経済がはじけた。本作はその時代にタイムスリップして日本の崩壊を食い止めるコメディー。 2007年、母の真理子(薬師丸ひろ子)に自殺された真弓(広末涼子)は財…
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「感染列島」が予見したコウモリの毒性と人工呼吸器不足
志村けん(70)の死は感染症の恐ろしさをまざまざと見せつけた。新型コロナの猛威が強まる中、思い出したのがこの「感染列島」だ。 2011年、東京・いずみ野市の市立病院に急患が運び込まれ、医師の…
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「ラストタンゴ・イン・パリ」中年男と美しい妻の禁断の愛
男女の特異な性愛を描いた衝撃作。 パリで安ホテルを営むポール(マーロン・ブランド)はあるアパルトマンの空き部屋で見学者のジャンヌ(マリア・シュナイダー)と出会い、その場で性交する。ジャンヌは…
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ただの西部劇にあらず ドンパチに隠された「赤狩り」批判
本作は1970年代によくテレビ放映され、筆者は中学時代に見た。その時はただの西部劇だったが、実は政治的テーマを持つ。赤狩りへの批判だ。 主人公は新妻エイミー(グレース・ケリー)と結婚したばか…
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米国版「深夜食堂」ある男の1週間がコミカルでやみつきに
ジム・ジャームッシュはよく分からないけど、この映画はいい。 ニュージャージー州パターソン市に住むバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)は単調な日々を送っている。毎朝、妻のローラ(ゴルシ…
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「ヒトラー~最期の12日間~」妄想と怒声…独裁者の末路
ヒトラーの自決を描く。ブルーノ・ガンツの演技が凄い。 1942年、22歳のトラウドゥル(アレクサンドラ・マリア・ララ)はヒトラー(ガンツ)の秘書採用試験に合格。彼女を主要人物のひとりとして物…
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「ELLE」父親のトラウマを引きずる女 性欲と葛藤する物語
主演のイザベル・ユペールは1953年生まれ。本作の公開時は63歳で、ゴールデングローブ賞主演女優賞に輝いた。レイプの映画でよくぞ頑張った。 ミシェル(ユペール)は離婚歴のあるゲーム開発会社の…
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朴槿恵が危険視…階級闘争を暴力的に風刺した問題作
ポン・ジュノ監督が「パラサイト 半地下の家族」でアカデミー賞を取ったことで改めて注目されたのが朴槿恵だ。大統領時代、この「スノーピアサー」が抵抗運動をあおるとの理由で同監督を文化芸術界のブラックリス…
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80年代は絵空事だったAI殺人ロボットの恐怖を見事に予言
A・シュワルツェネッガーとJ・キャメロン監督の出世作。 2029年、地球では人類VSロボットの戦争が繰り広げられていた。ロボット軍団を追い詰めた指導者の誕生を阻むため、1984年の現代にアン…
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第15回日本アカデミー賞最優秀作品賞「息子」は父親の物語
東京の居酒屋で目標もなく働く哲夫(永瀬正敏)は母の一周忌で岩手に帰省。長男夫婦は一人暮らしの老父・昭男(三国連太郎)を引き取るべきかを議論し、哲夫は父に生き方を批判されてふてくされる。哲夫は帰京し、…
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東出&唐田共演「寝ても覚めても」は大人が楽しむ不条理劇
不倫騒動の東出昌大と唐田えりかが出会った作品。力作なのでこの機会に紹介しようと思い、BDのメーカーにジャケ写を貸してほしいと電話したら、「昨日から貸し出し中止」とのこと。 大阪に住む朝子(唐…
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「ミッドナイト・エクスプレス」世界には魔物がすんでいる
逃亡者カルロス・ゴーン被告が日本で不当な扱いを受けたと訴えている。彼の話から思い出したのが米国人が中国で殺人容疑で捕まる「北京のふたり」(1997年)と本作。先週、ゴーン被告がTVインタビューで妻と…
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「アルゴ」ゴーンの逃走が映画になったらこんな雰囲気に
新年早々、カルロス・ゴーンの逃走劇と米国VSイランの攻撃で大騒ぎだ。そこで思い出したのが本作。第85回アカデミー賞作品賞に輝いた。イランの米国大使館占拠の実話を基にしている。 79年2月、イ…
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初老男の苦悩を描く「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
マイケル・キートンが自己の境遇を演じたと話題になった作品。第87回アカデミー賞作品賞など4部門に輝いた。 俳優のリーガン(M・キートン)は20年前にスーパーヒーロー映画「バードマン」で一世を…
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名作「グリーンマイル」現代のキリストは黒人の大男だった
188分の長尺映画。冬休みに見てほしい。 1932年、死刑囚監房の看守を務めるポール(トム・ハンクス)のもとに黒人のコーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)が送られてくる。彼は幼い姉妹を殺し…
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「カプリコン・1」火星着陸計画で国家が人を抹殺する日
今年7月はアポロ11号の月面着陸から50年の節目だった。本作のテーマは火星着陸だが、公開時にアポロ計画の都市伝説を利用して宣伝していた。本日、BDが発売された。 時代は現代。米国は有人宇宙船…
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「風と共に去りぬ」スカーレットはなぜ捨てられたのか?
来週の日曜(15日)は記念すべき日だ。80年前のこの日「風と共に去りぬ」が米国で公開された。 ストーリーは説明の必要もないだろう。ジョージア州のスカーレットお嬢さま(ビビアン・リー)が南北戦…
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「沈黙」水と油の関係 厳格な姉と性行為を見せつける妹
ベルイマン監督が45歳で撮った暗くて難解な名作。来週DVDが発売される。 蒸し暑いヨーロッパを2人の女が列車の旅をしていた。姉のエステル(イングリッド・チューリン)は翻訳家、妹のアンナ(グン…