孤独のキネマ
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ロシアの“最先端ロボット”より笑える「ロボジー」の頑固爺
先週、ロシアで起きた騒動には笑った。子ども向け科学イベントに登場したロボットが、実は人間が入った着ぐるみだったのだ。本作はロボットに入った老人が周囲を右往左往させるコメディー。ミッキー・カーチスが五…
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人の使命感を描くも…「最後の忠臣蔵」ラストの切腹に疑問
14日は赤穂浪士の討ち入りの日。元禄15(1702)年のこの日、大石内蔵助ら四十七士が吉良上野介を討ち果たした。本作は生き残った赤穂侍の物語。池宮彰一郎の小説を映画化した。 討ち入りから16…
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代表作「ラストエンペラー」でB・ベルトルッチ監督を悼む
先週死去したB・ベルトルッチ監督の代表作。アカデミー賞の9部門を受賞した。 ストーリーの解説は必要ないだろう。「清朝最後の皇帝」と呼ばれる愛新覚羅溥儀(ジョン・ローン)が2歳で皇帝に即位し、…
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「ディア・ハンター」ロシアンルーレットを楽しむベトコン
アカデミー賞5部門を獲得。12月14日(金)から4Kデジタル修復版が全国公開される。 ストーリーはご存じの通り。ペンシルベニア州の田舎町に住むロシア系移民のマイケル(ロバート・デ・ニーロ)が…
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「JFK」ケネディ暗殺の“陰謀論” 犯人はオズワルドなのか?
明日は11月22日。「いい夫婦の日」だが、ある人物の命日でもある。55年前、ケネディ大統領が暗殺された。本作は暗殺が陰謀だったとするギャリソン検事の捜査を描いている。 1963年のこの日、ケ…
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「男と女」大人の心を打つ60年代の一途なメンタリティー
作曲家のフランシス・レイ(86)が死去した。本作は彼の出世作だ。 カーレーサーのジャン(ジャン・ルイ・トランティニャン)は息子を寄宿舎に送り届けた帰り道、アンヌ(アヌーク・エーメ)という女性…
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「雁の寺」はミステリー映画 虐待坊主はどこに消えたのか
原作は水上勉の直木賞受賞作。寺に預けられてつらい思いをした実体験をもとにしている。 1933(昭和8)年、京都の寺「孤峯庵」の住職・慈海(三島雅夫)は画家の愛人だった里子(若尾文子)を内縁の…
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「暗殺のオペラ」ムッソリーニと戦った亡父は誰に殺された
B・ベルトルッチの29歳の意欲作。先週、2K修復版ブルーレイが発売された。 イタリア北部の町「タラ」の駅にアトス・マニャーニ(ジュリオ・ブロージ)という青年が降り立った。アトスは亡き父の名で…
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いまだに議論される「シェーン」 ヒーローは死んだのか?
アラン・ラッドの名作。別れのシーンで有名だ。 ワイオミングの開拓地を訪れたガンマンのシェーン(A・ラッド)はスターレット(バン・ヘフリン)と出会い、農作業を手伝うことに。この地にはライカー兄…
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「駅 STATION」高倉健と3人の女が織りなす別れのドラマ
結末を知っていても感動できる映画がある。本作もそうした一本。倉本聰が高倉健の50歳の記念として脚本を書いた。1968~80年の12年間の物語だ。 北海道警の刑事・三上(高倉健)は射撃の五輪選…
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「レザボア・ドッグス」拷問と謎解きが交差する“任侠映画”
29歳のタランティーノ監督を世界に知らしめた傑作。香港映画「友は風の彼方に」のパクリだが、ハリウッドに新風を吹き込んだ。 「ミスターホワイト」「ミスターブラウン」など色で呼ばれる6人のギャング…
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「モーリス」 杉田水脈のLGBT差別に通じる同性愛への偏見
杉田水脈(自民党)のLGBT差別論文で「新潮45」が休刊に追い込まれた。そんなおり、本作がKADOKAWAから初めてブルーレイ化された。男の同性愛の物語だ。英国の上流階級の文化と厳格な身分制度が美し…
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「歩いても歩いても」 希代の名脇役が演じる母の“心の闇”
樹木希林が亡くなった。数々の作品で名演技を残した人だった。本作もそうした一本だ。 お盆が過ぎた夏のある日、横山良多(阿部寛)は妻ゆかり(夏川結衣)とその連れ子とともに実家に帰省する。家では医…
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「狼よさらば」平和主義者の中に眠る“狩猟本能”が目覚める
「丹頂チック」という整髪料がある。ポマードを押し出して髪に塗るもので、筆者の父はこれを使っていつも頭がベトベトだった。1971年、発売元の「丹頂」が突然「マンダム」に社名を変えた。新発売のマンダムシリ…
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「大統領の陰謀」 米国民はニクソンを追い詰めたが…
B・ウッドワードがトランプ政権の暴露本を書いて騒ぎになっている。国防長官のマティスがトランプを「小学5年生程度の理解力」とケナしたそうだ。 ウッドワードは「ワシントン・ポスト」でC・バーンス…
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「ミッドウェイ」勝つはずのミッドウェー海戦でなぜ負けた
太平洋戦争の分岐点となった海戦を描く。 真珠湾攻撃でダメージを受けた米海軍は、次の日本の標的がどこなのかを探っていた。ニミッツ大将(ヘンリー・フォンダ)は日本軍がミッドウェー島を狙っていると…
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「戦争と人間 完結編」 銃撃、強姦…理不尽な日本軍の蛮行
1928年の張作霖爆殺事件から満州事変、日中戦争を描く3部作の完結編。 37年7月、盧溝橋の武力衝突で日中戦争が勃発。日本軍は南京に攻め込み、捕虜と民間人を殺害した。そんな中、国内では伍代産…
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「濹東綺譚」 若い女への情愛に揺れる…“大人のメルヘン”
津川雅彦の死去で真っ先に思い出したのが本作。永井荷風の同名小説をドラマ化した。 昭和初期の東京。作家の荷風(津川)は若い愛人を囲い、バーの女給に手を出して脅されるなど放蕩をくり返していた。そ…
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ボクシング連盟に「ロッキー」の崇高な精神を学んで欲しい
日本ボクシング連盟の内紛を見ていたら、本作を思い出した。日本公開から41年になる。早いものだ。 ストーリーはご存じのとおり。三流ボクサーのロッキー(シルベスター・スタローン)は高利貸の取り立…
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「昼顔」の名をもらい…娼婦を楽しむ美しい貴婦人の二面性
C・ドヌーブが24歳の全裸をシースルーで披露した快作。ブニュエル作品にしては分かりやすい。先日BD&DVDが発売された。 セブリーヌ(ドヌーブ)は医師の妻として上流階級に身を置く美女。不感症…