数字が語る医療の真実
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子宮がん検診の生涯リスクが100から14に激減との報告も
子宮がん、特に子宮の入り口にできる子宮頚がんは日本の若年層で死亡率の増加がみられ、対策が最も重視されるがんのひとつです。対策のうち、大きな柱のひとつである子宮頚がんワクチンが、副作用の騒動で積極的な…
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「前立腺がん検診」の効果
がん検診にはあまり分がないと思われる前立腺がんですが、それでもその効果を検討するランダム化比較試験が複数行われています。今日はその結果を紹介しましょう。 これらの研究をまとめた2013年に報…
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前立腺がんはがん検診に向いていない
この連載を読んでいる人は男性が多いでしょうから、乳がんでなく、男性のがんについて取り上げてほしいという意見もあるでしょう。そこで今回は、前立腺がんです。 前立腺がんは、高齢者により多く、最も…
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がん検診を過小評価させる意外な理由
がん検診の効果を判定するために、「検診を受けないグループ」と比較するわけですが、実はこの検診を受けないグループというのが、一般的な人たちとは異なることがしばしばあります。 がん検診の研究に参…
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がん検診の4つの行く末
なんとなくテレビを見ていたら、無名のお笑い芸人さんが、「健康に気をつけるかどうか」と言われたときに、「私は健康に気をつけない」というネタをやっていました。 その芸人さんが言うには、「健康に気…
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乳がん検診2つの害 「偽陽性と被ばく」どう考えるべきか
マンモグラフィーによる乳がん検診により、「乳がん死亡が減ることを示す研究がある」一方で、「その効果は小さく、質の高い研究に限ればはっきりしない面もある」というのが現状です。 その小さな効果に…
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マンモグラフィーの乳がん死に対する効果の本当のところ
以前紹介した乳がん検診についてのデータは、9つの研究を統合したランダム化比較試験のメタ分析という質の高いものでした。しかし、実際にはその9つの研究の質にはばらつきがあり、5つの研究は研究手法上に問題…
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マンモグラフィーによる乳がん死亡は0.07ポイント減るに過ぎない
前回、マンモグラフィーによる乳がん検診で、乳がん死亡が100から81にまで減ると書きました。100から81を引いて19%減るというわけです。しかし、この「19%減る」というのは効果の一部しか表現して…
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乳がん検診は年齢が高いほど効果がある
これまで、長々と“理屈”を中心に紹介してきましたが、今回からは、がん検診にかかわる具体的な“数字”を紹介していきます。まずは、がん死亡の減少がランダム化比較試験のメタ分析で示されているがん検診のひと…
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がん検診の効果は何で検討すればいいのか
がん検診の効果をキチンと検討するのは意外と難しいということをお伝えしてきましたが、これまで取り上げてきた問題点を一気に解決する手段があります。それが、この連載でも何度か取り上げた「ランダム化」と「適…
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がん検診を自ら進んで受ける人は「もともと健康」だ
がん検診で見つかったがんは、がん検診による早期発見や早期治療の効果がまったくないとしても、早く見つかった分だけ“見かけ上がんの死亡率が下がる”ということを説明してきました。 こうした因子に加…
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がん検診で見つかりやすいがんは進行が遅い
がん検診についてよく聞かれる質問のひとつに、「何年おきに検診を受ければいいですか?」というものがあります。自治体で行われているのは、年1回というがん検診がほとんどです。「来年も受けなくてはダメでしょ…
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がん検診が過大に評価されるカラクリ
がん検診の害の問題についてばかり取り上げてきました。そこには「害の問題は分かりにくく、隠されやすい」という背景があります。 逆にがん検診の効果については、「分かりやすく、過大に評価されること…
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助かるのであればがんは「遅く」見つかった方がいい
「できるだけ早く見つけて、早く治療したほうがいい」――。これが、がん検診のコンセプトです。しかし、今回は「結果が同じなら、できるだけ遅く見つかったほうがいい」という話をしましょう。 「遅く」とい…
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早期発見のがんほど、メリットを実感しにくい
がん検診の負の面を伝えるのは難しいものです。 結論から言いましょう。がんは早期で見つければ見つけるほど、メリットを実感しにくく、失うものも大きくなります。 もちろん、がんを早期発見し…
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がん検診は受けた方がいいのか
「進行がん」や「末期がん」のことばかり取り上げてきましたが、「早期に見つけて早期に治療すれば、そんな心配をしなくてもすむのではないか」と思われる方も多いでしょう。そこで、がんを早期に見つけて早期に治療…
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診断と治療は正しいのに がん早期発見が害になる“過剰診断”
がん検診の害として、「がんでないものをがんと診断してしまう危険」や「治療の副作用」というものは分かりやすいと思います。しかし、がんの診断が正しく、がんに対する治療の害がないとしても、早期発見のために…
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末期がんの治療の「平均的効果」と「個別効果」
これまで取り上げてきた末期のがん患者に対する治療の効果についてまとめてみると、以下のようになります。 ●年間の薬剤費が数千万円に達するような抗がん剤は、末期のがん患者の生存期間を平均3カ月くら…
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欧米で人気 「尊厳療法」の効果と日本での反応
欧米で有効性が広く認められている終末期の治療として、「Dignity Therapy」(尊厳療法)というものがあります。終末期の患者がこれまでの人生を振り返り、残される人に対するメッセージを届ける治…
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終末期の点滴は有害無益か
末期のがん患者は徐々に食事がとれなくなっていきます。そんなとき「点滴」は真っ先に考える治療法でしょう。 実際の末期がん患者に対する診療の現場でも、患者さんの家族が「点滴をしてもらえませんか」…