「前立腺がん検診」の効果
がん検診にはあまり分がないと思われる前立腺がんですが、それでもその効果を検討するランダム化比較試験が複数行われています。今日はその結果を紹介しましょう。
これらの研究をまとめた2013年に報告された論文では、50、60代の男性を中心(一部70代を対象)に、「前立腺特異抗原」という血液検査によるがん検診の効果を、死亡全体や前立腺がんによる死亡で検討しています。
死亡全体、前立腺がんによる死亡、いずれについても相対危険は1で、増やしも減らしもしないという結果です。統計学的には、100→84に前立腺がん死亡を減らす可能性も残されていますが、100→117に増やす危険もあるとなっています。
この論文では5つの研究が統合されていますが、そのうちヨーロッパで行われた研究では、前立腺がん死亡が100から84に減ったという報告も含まれています。しかし、この研究ですら、前立腺がん死亡の割合で見てみると、検診群で0.44%、検診を受けない群で0.53%と極めて小さいものです。
この結果から言えるのは、少なくとも自治体が税金を投入して前立腺がん検診を勧めるというようなことはすべきでないということでしょうか。そんなお金があれば、別のことに投入したほうがいい。あとは個人個人で検診を受けるかどうかですが、70歳を越えたら受けない、50歳前も避けたほうがいいかもしれません。50、60代でどうかは、まあ好きに決めればいいんじゃないでしょうか。私は受けません。