数字が語る医療の真実
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【かっけ】国内試験は麦・パン食+肉増量で患者数ゼロに
海軍軍医の高木兼寛は犬の実験に先立って、囚人を対象にした実験を行っています。陸軍が「監獄での麦飯の導入後のかっけ減少」をもとに、麦飯によりかっけを減少させたことと関係しているかもしれませんが、よくわ…
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【かっけ】ニワトリの実験で否定されたタンパク質不足説
海軍軍医・高木兼寛が犬で実験を行った3年後の明治22年、西暦でいえば1889年、かっけ研究のためにインドネシアに派遣されたオランダの衛生学者・エイクマンが、新たな発見をします。 玄米に替えて…
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【かっけ】森鴎外から先駆けること3年 高木兼寛が動物実験
森鴎外が「同じ船の兵士を2群に分けて臨床試験を行わなければ、かっけが食事による栄養不足(高木兼寛はタンパク質不足説を唱えていた)によるものかどうか、結論を出すことはできない」と指摘したのは明治22年…
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かっけの撲滅に奮闘した医師 麦飯採用で陸軍が「変身」
海軍軍医の高木兼寛が海軍でかっけの撲滅に奮闘していたころ、陸軍でもかっけと闘う医師がいました。大阪陸軍病院院長の堀内利国です。彼は当初、かっけを伝染病と考え、患者の隔離により撲滅しようとします。しか…
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米食と麦食の比較試験必要 「かっけ」研究と森鴎外の反論
前回、かっけの原因として「米食」の「タンパク質不足仮説」を唱える海軍軍医・高木兼寛に対する反論を紹介しました。そうなると、当時の陸軍軍医・森鴎外を取り上げないわけにはいきません。 小説家・鴎…
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まっとうな批判による健全な議論で「かっけ」撲滅が停滞
日本で明治時代に起きた「かっけ」論争の続きです。 日本海軍の軍医だった高木兼寛と同時代の医者の王道は、東京帝国大学医学部からドイツへ留学して、ドイツ医学を学んで日本に帰ってくるというものでし…
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「かっけ」は日本海軍が行った世界初の臨床実験だった
多くのかっけ患者を出した日本の軍艦「龍驤」が日本に戻った後、今度は戦艦「筑波」が航海に出ることになっていました。海軍軍医の高木兼寛は、「このままの食料で航海に出ればまたかっけが多発する。しかし、タン…
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日本海軍でかっけ集団発生 解決のキッカケは間違った仮設
日本海軍の軍艦「龍驤」のかっけの集団発生を調べてみると、品川を出港、南米のカラオを経てハワイへ行くまでの間に138人の患者が発生しているのに対し、ハワイ以後は一人もいないことがわかります。この事実は…
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【かっけ】原因不明でありながら治療法が先に確率
明治時代に猛威を振るった「かっけ」ですが、当時は原因不明で治療法のない病気で、多くの人が命を落としていました。 しかし、原因が究明される以前にかっけは克服されます。病気の治療法が分かった後で…
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かっけと栄養 幕末から明治にかけ猛威を振るった
今回からは話題を変えて、栄養に関わる歴史的な事件についてです。「かっけ」という病気をご存じでしょうか。詳しくは知らなくても名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。膝頭をトンカチで叩いて診断する病…
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魚の脂とコレステロール 心筋梗塞などの合併症予防に効果
「日本人が長生きなのは魚を食べるからだ」という説があります。魚、特に海の魚に多く含まれる「EPA」(エイコサペンタエン酸)、「DHA」(ドコサヘキサエン酸)に代表されるオメガ3系脂肪酸がコレステロール…
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卵も脂の多い肉も そればかり食べなければ毎日でもOK
「コレステロールの数値が高い」といわれると、まず「食事に気を付けなくては」と思われるかもしれません。しかし、実はコレステロールの値と食事の関係ははっきりしません。 食事から摂取されるコレステロ…
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寿命とコレステロール 高コレステロールが寿命を延ばしている可能性も
戦後、日本人の寿命はどんどん長くなり、今では世界一の長寿国になっています。読者の皆さんもよくご存じでしょう。背景のひとつに、栄養状態の改善があることは間違いありません。 栄養状態の改善を示す…
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コレステロール摂取量が多いとがんになりやすいは本当?
今回はコレステロールとがんの関係について紹介しましょう。 コレステロールは動物性脂肪のひとつです。食生活の西欧化により、コレステロールを含む動物性脂肪の摂取が増えています。それに伴ってがんも…
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日本人の脳卒中 患者数は大幅減でもなぜ脳出血が多いのか
脳卒中と言ってもいろいろあります。大ざっぱに分ければ、血管から出血する「脳出血」と、血管が詰まる「脳梗塞」の2つがあります。日本人の脳卒中は、ここ数十年で大幅に減少したとはいえ、いまだ脳出血が多いと…
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脳卒中とコレステロール 高い方がいい? 低い方がいい?
日本食が西洋化する以前の、卵や牛乳、獣の肉を食べない、コレステロールの少ない食事では脳出血が多かったのですが、西洋化した現代ではどうなのでしょう。 これについても、2009年に茨城の住民を対…
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和食の弱点 コレステロール不足が脳出血を招く
先週、和洋折衷の食事が一番と言いました。しかし、和食、洋食には、それぞれにいいところと悪いところがあります。 西洋文化が入る前の日本食の最大の弱点は、「動物性タンパク質と脂肪が不足していた」…
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少しずつ、イロイロがいい 日本人の食事は栄養的に世界一
診療中、患者さんから「食事はどんなことに気を付ければいいでしょう」「何を食べたらいいでしょう」「食べないほうがいいものはありますか」というような質問をたくさん受けます。しかし、個別の状況では、なかな…
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甲状腺がん検診 生死に関係ない潜在がんが極めて多い
甲状腺がんは前立腺がんと並び、最も進行が遅いがん。早期発見そのものの意味が最も疑問視されるがんです。病院で死亡した患者の解剖によって前立腺がんが20%以上に発見されるのと同様、生死に関係のない潜在が…
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肺がん検診の「CT検査」はハイリスク群向け
肺がん検診は、誰にでもお勧めできるというわけではありません。一般に行われている検診は、「胸部X線」と「痰」の検査の組み合わせです。この方法では肺がんの死亡率が減るかどうか、はっきり示されていません。…