後悔しない認知症
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体験した「エピソード記憶」の喪失を食い止める方法はある
たとえば、「ハワイに行ったのを覚えているよね」という子どもの問いかけに「忘れた」と無表情の親が答え、「はじめての海外旅行のことも覚えていないのか……」と子どもは落胆する。似たような経験を持つ子ども世…
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必要なのは「記銘→再認→再生」を繰り返すトレーニング
「あれ、そうだっけ?」という親に対して「いま、言ったばかりだよ」と子どもがあきれ顔でため息をつく。また一緒にテレビを見ているシーンでは「この人は誰?」と親が何度も尋ね、「その人の名前は昨日教えたでしょ…
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親にボケ防止習慣の無理強いすると逆にストレスになる
私の知人が自分の高齢の母親について興味深い話をしてくれた。95歳になる母親は彼の住まいから電車で10分ほどの場所で一人暮らしを続けている。週に1回、日曜日に彼は母親宅を訪れるのだが、ひとつだけ注意し…
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前頭葉が萎縮してまっても人間の脳には「予備力」がある
「いまの親のあるがままを、悲観せずにまず受け入れること」 何度も述べているが、高齢の親の認知症に対して、子どもはこれを忘れてはいけない。子どもの悲観の原因は「物忘れがひどい」「記憶力が衰えた」…
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高齢者が高血圧や高血糖の薬を飲み続けるのは考えもの
「近ごろ、認知症のせいか、ボーッとして血圧の薬を飲むのも忘れてしまっている」 高齢の親を持つ子どもさんから、こうした心配の声が聞かれる。 最近は各自治体で後期高齢者検診が実施されている…
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臨床的にも有効 自分で生きることが認知症の進行を遅らせる
「母親に介護施設に入ってもらおうかと……」 知人の男性がそんな悩みを打ち明けてきた。彼の母親は現在87歳。10年前に夫を亡くして以来、東北の田舎町で一人暮らしを続けている。地域の保健所で定年ま…
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キレやすい親には肉食などのタンパク質を取らせること
最近「セロトニン」という言葉がテレビの健康番組、雑誌の健康特集などにたびたび登場する。セロトニンは神経伝達物質のひとつで、それが豊富なときは緊張状態が和らいだり、明るく前向きな気分になったりする。そ…
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認知症の進行と関係 聴力と視力の衰えには積極的な対応を
「コミュニケーションの機会を増やし、情報の入力と出力を途切れさせないこと」 このコラムではたびたび述べてきているが、認知症の症状の進行を遅らせるためには、これを忘れてはならない。高齢者の場合、…
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快感が忘れれらず…買い物依存症の老親は愛情に飢えている
高齢の親が、家で不足してもいないものを買ってきてしまうことはないだろうか。購入品は麺つゆ、卵、ひげ剃り用の替え刃など、人によってマチマチだが、なかには、石油ストーブを買い込んでしまう高齢の女性もいた…
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高齢の親の「対象喪失」状態を軽く考えてはいけない
認知症と診断されるかどうかにかかわらず、高齢者はそれまでの快活さを忘れ、急に塞ぎ込んでしまうことがある。たとえば、仲の良かった同世代の友人が亡くなったりすると、そうした状態に陥ってしまう。長年可愛が…
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反論はしない 親の自慢話に「またその話?」は絶対に禁句
「いや、実はね……僕がね」 酒席などで上機嫌になった上司や取引先の人間がそう切り出して、得々と自慢話を始めることがあるだろう。それもいつも同じ話である。聞くほうは「へー」「なるほど」などと合い…
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記憶障害は2種類 進行を遅らせるには「口に出す」機会を
「ウチのおふくろ、オレの結婚式のことはよく覚えているくせに、昨日の夜、何を食べたかは覚えていない」 高齢の親を持つ子どもなら心当たりがあるはずだ。加齢による記憶の変化の代表的な例である。認知症…
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感情的な叱責はもってのほか 大切なのは認知症の親への敬意
「なんか親が子どもに戻っているような気がする」 認知症あるいは軽度認知障害(MCI)と診断された親に対して、子どもはそう感じることがある。物事の理解力が低下したり、言われたことを忘れてしまった…
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男性ホルモンが関係 認知症対策としての「色ボケ」の効能
「うちのオヤジ、色ボケでしょうか?」 50代半ばの知人が嘆く。とはいっても、その表情から深刻さはうかがえない。聞けば、かなりセクシー度の高いキャバクラで78歳の父親と遭遇したというのである。彼…
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「死にたい」という親に「そんなこと言うな」は禁句です
「早くお迎えがきてほしい」 「生きていてもしかたがない」 高齢者の中にはしばしばこんな言葉を口にする人がいる。こう言われるのは、子どもにとってはつらいことだ。もともと物事に対して悲観的な…
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怒りっぽくなるのは「性格の先鋭化」という老化現象です
高齢の親を見て「最近、怒りっぽくなったな」と感じることはないだろうか。地下鉄の駅、スーパーあるいは街頭で激高する高齢者をしばしば見かける。観察してみると、怒りの原因はささいなことがほとんどだ。そうし…
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「想定外」が効果的 数独より海外旅行が前頭葉を刺激する
「脳を使い続ける」「親の脳を悩ませる」ことが、認知症の発症、進行を遅らせるために有効であることは臨床経験の豊富な医師のおおむね一致した意見だ。だからこそ、認知症の高齢者、その予備群ともいえる中高年の子…
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前頭葉の老化による高齢者の頑迷さにどう立ち向かうか
「人のいうことを聞かなくなった」 高齢の親を持つ子どもがよく口にする言葉だが、たしかに高齢者の特徴のひとつが「頑迷」である。「頭が固くなる」といってもいいだろう。 これは認知症と診断さ…
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周囲の対応で変わる 都会と田舎で認知症の進行が違うワケ
「田舎と比較すると都会の認知症患者は進行が速い」 長年、多くの認知症の患者さんを診てきたが、そのことを実感した。都会、とりわけ「山の手」と呼ばれるエリアでは症状の進行が速いのだ。私はかつて同時…
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「危ないから」「病気だから」と行動を制限してはいけない
「できることが少し減るだけ」 高齢の親が認知症と診断されたとしても、子どもはこう冷静に受け止めることが大切だ。むやみに悲観したりあわてたりする必要などない。 もしかすると現役バリバリだ…