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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

NHK「魔改造の夜」に見る“ものづくりニッポン”の底力と可能性

公開日: 更新日:

 20日と27日、2週連続で「魔改造の夜」(NHK・BSプレミアム)の新作が放送された。

 魔改造とは「リミッターを外し、大人げないパワーのモンスターに改造する行為」だ。これまでポップアップトースターで食パンを高く飛ばしたり、太鼓を叩くクマのおもちゃに瓦割りをさせたりしてきた。第5シリーズの今回は「ネコちゃん落下25m走」と「電気ケトル綱引き」だ。

 前者は、歩くネコのおもちゃを6メートルの高さから地上に落とし、さらに25メートル先のゴールまで走らせるというもの。落下しても壊れない構造と、着地後すみやかに自走するシステムを持つスーパーネコちゃんの開発に挑むのは技術系有名企業3社だ。

 競技が始まる前、各社への1カ月半にわたる密着ドキュメントが流されるが、これがすこぶる面白い。方針の検討に始まり、設計、試作品作り、テストを繰り返す。何度も壁にぶち当たるのだが、独自の発想と技術力で突破していくのだ。

 また、「電気ケトル綱引き」も同じ3社が競い合った。ケトルが噴き出すわずかな蒸気をエネルギーにして綱引きをする怪物マシンたち。中には思うように動かず落胆するチームもあった。魔改造倶楽部顧問の伊集院光が「悪夢を見ていい場所で見られてよかった」と励ましていたが、各社とも「ものづくりニッポン」の底力と可能性を十分に感じさせてくれた。

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