五木寛之 流されゆく日々
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連載11895回 私のグルメ三点セット <5>
(昨日のつづき) 私がよく口にするものの一つが餃子である。水ギョーザ、焼きギョーザ、蒸しギョーザなどの三点セットの中では、やはり月並みだが焼きギョーザだろう。 かつて満蒙開拓団の送りこまれたあ…
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連載11894回 私のグルメ三点セット <4>
(昨日のつづき) そうだ、私たちの世代にとって欠かせない食べものの一つが漬けものである。 漬けものは、最近では食卓の脇役中の脇役といった感じになってきた。 しかし、かつて漬けものが主役であ…
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連載11893回 私のグルメ三点セット <3>
(昨日のつづき) 小学生の頃の私の好物の一つが、中国式の饅頭だった。「まんじゅう」ではなくマントウだ。 ピョンヤンの街に住んでいた頃、日曜日になると父親が、 「アレを買ってこい」 と、い…
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連載11892回 私のグルメ三点セット <2>
(昨日のつづき) 昔、私の書いた雑文が、その年のエッセイ選集かなにかに収録されたことがある。 さぞかし人生の深淵を描いた名文かと思ったら、 『カレーライスの夏』 という、どうでもいい雑文…
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連載11891回 私のグルメ三点セット <1>
つれづれなるままにテレビの画面をサーフィンすると、必ず何局か食べものの絵がでてくる。日によっては、もっと多いときもある。 「日本人は食い物にしか興味がないのか」 と慨嘆していらっしゃる評論家が…
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連載11890回 偏見メガネの独り言 <5>
(昨日のつづき) 全国的な俳人の集りがあるから、そこで何か喋れ、といわれた時には、さすがに図々しい私も躊躇した。 俳人というのは、作家よりはるかに理論派が多い。素人の私が下手に気のきいたつもり…
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連載11889回 偏見メガネの独り言 <4>
(昨日のつづき) 子供のころ、俳句を作ったことがある。まあ、俳句というより「俳句らしきもの」といったところだろう。 五、七、五の定型に言葉がはまっていれば大威張りといった遊びだ。 父親が日…
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連載11888回 偏見メガネの独り言 <3>
(昨日のつづき) 6月18日の産経新聞の朝刊に、動物行動学者の竹内久美子さんが、『メスのリーダーが成り立つ条件』という文章を寄稿されていた。 私は竹内行動学の素朴なファンなので、とても興味ぶか…
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連載11887回 偏見メガネの独り言 <2>
(昨日のつづき) きょうスーパーでミカンを買って、キャッシュで支払おうとしたら、店員さんが、 「パネルにタッチしてください」 と言う。 「いや、現金だよ」 「だから――」 と、相手が…
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連載11886回 偏見メガネの独り言 <1>
兼好法師だか誰だったか忘れてしまったが、昔の有名なエッセイストが、こんな事を言っていた。正確な引用ではないが、おおむねこんな話である。 <事業で成功しようと思うなら、この世の中が一変することもある…
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連載11885回 時代とズレた生き方 <5>
(昨日のつづき) 年寄りは昔ばなしをしたがるものだ。 聞かれてもいないのに、自分の若い頃の出来事や、やたら昔の人名などを持ち出したりする。 旧友同士がお互いに古い記憶を語り合うのは勝手だ。…
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連載11884回 時代とズレた生き方 <4>
(昨日のつづき) うつりゆく時代にシンクロして生きることは、それほど難しいことではない。 人並みの運動神経がありさえすれば、誰にでもできることである。 むしろズレることのほうが、はるかに難…
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連載11883回 時代とズレた生き方 <3>
(昨日のつづき) ときどき若い人たちと、まったく同じような服装の同年配者に会うことがある。 帽子からリュック、靴まで、今ふうというか若者の恰好だ。 それなりに似合ってはいるけれど、なんとな…
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連載11882回 時代とズレた生き方 <2>
(昨日のつづき) 5、6年前までは、自分が時代とズレていることが気になったものだった。 意識してもしなくても、その世代的ズレは日々リアルに迫ってくる。 私が新聞や雑誌で最近ふえてきたヨコ組…
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連載11881回 時代とズレた生き方 <1>
時代はすごい速さで変化していく。 世の中が変るのは当り前だが、最近はそのスピードがメチャクチャ速いのだ。 「そうですかねぇ」 と、若い友人が首をかしげて、 「時代が速く変化するというより…
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連載11880回 一にケンコー、二にゲンコー <5>
(昨日のつづき) 小説雑誌はなやかなりし頃は、当時の流行作家に原稿を書かせるのは大変だった。 ホテルや社の個室に押しこめて、いわゆるカンヅメ状態にして書かせるのは定番だが、そこから抜け出してい…
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連載11879回 一にケンコー、二にゲンコー <4>
(昨日のつづき) 私が『小説現代』の新人賞をもらって、原稿が雑誌に掲載されたのは1966年の春である。 原稿はエンピツ書きだった。 書いては消しゴムで消して書き直し、一字一字、律義な読みや…
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連載11878回 一にケンコー、二にゲンコー <3>
(昨日のつづき) かなり以前のことになるが、通信販売で、こんな目録が送られてきたことがあった。 <有名作家の直筆原稿/書き込み、校正赤字アリ。状態良好、価格○○○円。希少価値> そして生原稿…
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連載11877回 一にケンコー、二にゲンコー <2>
(昨日のつづき) <一にケンコー、二にゲンコー> とは、作家として期待されながら、病に倒れたIさんが葉書に書いて送ってくれたフレーズである。 病床からの便りだっただけに、切実感があった。 …
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連載11876回 一にケンコー、二にゲンコー <1>
半世紀あまり、<日刊ゲンダイ>の読者兼筆者としてすごしてきた。 最近のゲンダイ紙は、以前よりはるかに充実してきている感がある。 お世辞ではなく、読むべき記事が多いのだ。<90歳の壁>をこえた…