ホリケン調査隊が行く ちゃんと調べてある本
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「サピエンス異変」ヴァイバー・クリガン=リード著、水谷淳ほか訳
広大なスケールの一冊である。800万年前の人類の祖先の「足」についての考察が重ねられる。われわれ人類は、サバンナでの採集狩猟生活が長く、そのときにいまの体形が形成されたという話から始まる。 …
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「平将門と天慶の乱」乃至政彦著
日本中世史ブームといわれる中での、平将門の新書である。ただ将門は、中世の人ではない。平安時代でも前半の人だ。将門が死んで、30年してから紫式部が生まれている。 平将門の生涯が描かれる。原資料…
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「高田馬場アンダーグラウンド」本橋信宏著
高田馬場について書かれている。 高田馬場は少し怪しい街である。 池袋と新宿・歌舞伎町の間にあるため、そのバックヤードのような役割を担っているのだ。私も住んでいるから知っている。そのア…
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「ジョー・グールドの秘密」ジョゼフ・ミッチェル著 土屋晃、山田久美子訳
読み終えて、しばらく放心した本は久しぶりである。 ジョゼフ・ミッチェルというのはアメリカの著述家。元新聞記者で、1938年から雑誌「ニューヨーカー」のスタッフライターとなった。 80…
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「三条実美 維新政権の『有徳の為政者』」内藤一成著
幕末・明治に活躍した貴族「三条実美」の伝記である。 その名はもちろん知ってはいるが、彼の生涯をまとめて振り返った書物を読むのは初めてだった。家格の高い貴族の出身であり、倒幕勢力によって「担ぎ…
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「だから殺せなかった」一本木透著
鮎川哲也賞の優秀賞を受賞した小説である。 犯罪に巻き込まれた人、関わった人たちをしっかり追う物語である。それぞれの人生を追う形で一気に読み進んでしまう。謎解きをメインにした本格派ではない分、…
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「『砂漠の狐』ロンメル」 大木毅著
ロンメルとは、ヒトラーにも寵愛されたドイツの軍人である。 ナチス・ドイツ下において圧倒的な人気を誇った。北アフリカでの戦線を率いて「砂漠の狐」と呼ばれ、敵将からも恐れられ尊敬されていた。 …
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「野の春 流転の海 第九部」宮本輝著
宮本輝の長編小説である。連載開始は1982年だった。37年かけて完結した最終巻だ。著者の父をモデルにその後半生を描いた作品である(創作部分もそこそこあるようだ)。 この小説の凄さは、読み出し…
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「独裁の中国現代史」楊海英著
今や経済大国となった現代の中国について書いてある本である。 面白い。 「項羽と劉邦」の物語や「三国志」が面白いように面白い。研究者による中国現代史であるが、「独裁者」について書かれてお…