週末オススメ本ミシュラン
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「成長戦略」が日本を破壊させると一刀両断
体制側になびく経済学者が多いなかで、一貫してアベノミクスをきちんと批判している学者がいる。菊池英博氏だ。私は彼の本が大好きで、ほとんどを読んでいるのだが、普段は日本の経済、財政、金融の分析が中心だ。…
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「革命戦士」と呼ばれた男の実像に迫る
昨今「プ女子」といわれるプロレス好き女性効果などもあり、プロレスブームが再燃しているという。だが、本書で描かれるプロレスは終始男だらけの世界だ。登場する女性は、プロレス団体の事務員程度という男くささ…
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若いモノがいたずらに悲観している場合ではない
1945年8月15日に、戦争責任は自らにもあると考えて「朝日新聞」に辞表を出した著者は今年100歳。現役のジャーナリストだ。 「戦争をやるときは敵国を欺くけど、自国民も2倍も3倍も欺く。戦争と…
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職業外交官の姿勢が問われている
外務省の韓国語研修のキャリア外交官で、2010~12年に駐韓大使をつとめた武藤正敏氏の回想録だ。韓国におもねるのでもなく、嫌韓に陥るのでもない、バランスのとれた韓国論だ。 両国の食文化に関す…
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なぜ、企業は労働者を酷使するのか
とても質の高い日本経済論だ。恐怖をあおるでもなく、極論を展開するでもなく、日本経済に起きていることを淡々と解説していく。難しい経済理論は登場せず、数学もまったく使われない。出てくるのは、歴史的事実と…
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ヘイトスピーチの醜悪さと「事件簿」を網羅(選者・中川淳一郎)
2013年の流行語大賞トップ10になった言葉「ヘイトスピーチ」の現状を報告する書だ。街頭で人種差別的発言を繰り返しデモを行う人々や、ネットでも同様の発言をする人々を著者は追う。ヘイトスピーチをする主…
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公明党「平和の党」虚偽表示の歴史
公明党には、もう、ウォー・パーティー、つまり「戦争の党」とルビを振らなければならない。自民党と連立政権を組んで、憲法違反の安保法制を成立させようとしているのだから「平和の党」を名乗るのは虚偽表示だろ…
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はたしてこの方法で安倍政権に対抗できるか
小泉純一郎政権、安倍晋三第1次政権などの内閣官房副長官補(事務次官級、防衛省出身)をつとめた柳澤協二氏は、安倍政権が強行しつつある集団的自衛権行使がとんでもないものであると厳しく批判する。 「…
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この本をネタに居酒屋で話をしたらきっと楽しい
少し科学をかじった人でも、びっくりするような数字をまず掲げる。そして、なぜそうなっているのかという謎解きを最新科学で解説していくというのが、本書の基本的な仕掛けだ。 例えば、「太陽の中心を出…
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ITにおいても産地と生産者の確認は必要
昨今、野菜や肉などは「生産者の顔が見える」ことが重視されているが、日々ヘビーに使っているツールの開発者ってどんな人々なのか――そこに切り込んだのが本書である。 国内で5000万人以上が使って…
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対米屈従の首相と基地マフィアの実態
「戦後70年止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」が開かれた5月17日付の「沖縄タイムス」に求められて私は次のメッセージを寄せた。 「アメリカの議会で、安倍首相はなぜ英語で演説したのか? 究極…
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見通しの正しさが年末には証明されているはず
池上彰氏の「知らないと恥をかく世界の大問題」シリーズは、これで6冊目になる。これだけ長く続いても、内容がマンネリ化しないのは、池上氏が時代の半歩先を読む類いまれな洞察力を持っているからだ。ちなみに既…
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本土の人間が「沖縄だからいいや」と差別している
いままで読んだ沖縄の本のなかで、この本は、私の心に一番響いた。理由は3つある。 1つは、著者自身が「在日沖縄人」と呼ぶ沖縄生まれ本土育ちであることだ。私も30年以上、毎年沖縄に通い詰め、「心…
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佐高信「この5冊で政治の危うさが見えてくる」
■「天人」後藤正治著 たとえば猪瀬直樹や沢木耕太郎のように三島由紀夫にひかれる人間は私の肌に合わない。それは「朝日新聞」のコラム「天声人語」(略して「天人」)の筆者として知られる深代惇郎も同じ…
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失明しながら世界的格闘家を倒した日本人
前回紹介した「百田尚樹『殉愛』の真実」にいたく感動し、突如として私の中で「ノンフィクションブーム」がやってきてしまった。1992年に発売されて「暴露本」と全米を震撼させた「マイケル・ジョーダン激闘の…
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米巨大企業の毒牙に蹂躙される日本の農業
「モンサント」マリー=モニク・ロバン著 村澤真保呂ほか訳(作品社) 昨年11月の沖縄県知事選挙で現知事の翁長雄志の応援をした菅原文太は、那覇の集会で、「政治の役割は2つあります。ひとつは国民を…
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プーチンは自分より強い者とは戦わない
■「嘘だらけの日露近現代史」倉山満著 ロシア国家とロシア人の特徴をとらえた好著だ。特にプーチン論が秀逸だ。1999年12月31日、半年の任期を残してエリツィン大統領が辞任し、プーチン首相を大統…
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草食男子は正しい“自分がスルーされない戦略”
■「99.996%はスルー」竹内薫/丸山篤史著 情報が洪水のように氾濫している。よく言われる話だが、本書によると、その増加ペースが半端でない。99年から2000年にかけての1年間の情報量は、有…
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すべての仕事をする人に「プロの姿勢」を教える名著
■「百田尚樹『殉愛』の真実」角岡伸彦+西岡研介+家鋪渡+宝島「殉愛騒動」取材班・著 故・やしきたかじんさんを献身的に看病し続けた妻・さくらさんのことを、百田尚樹氏が聖母のごとく描いた「殉愛」は…