五木寛之 流されゆく日々
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連載11057回 「鬱」をどう考えるか <6>
(昨日のつづき) 話をもとにもどします。放談ですからどこまでもコースアウトすることを承知でつきあってください。 さて、後年になって私はゴーリキーの風変りな中篇を読みました。「トスカ」というのが…
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連載11056回 「鬱」をどう考えるか <5>
(前回のつづき) 「え? いまどきゴーリキーですか」 と、ロシア文学関係の評論家から呆れたような顔をされたことがありましたが、それが最近の一般的な見方かもしれません。 たしかにゴーリキーはソ…
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連載11055回 「鬱」をどう考えるか <4>
(昨日のつづき) ところで「鬱」とは少しちがったニュアンスで、「愁」という語があります。「旅愁」「哀愁」などの「愁」です。 これも心がしみじみと透明に沈む感じですが、暗いイメージはありません。…
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連載11054回 「鬱」をどう考えるか <3>
(昨日のつづき) 年が明けてから北陸は大雪に見舞われています。「鬱」の考証はひとまずおいて、金沢の「雪吊り」の件にもどりましょう。 「雪吊り」は、「ユキツリ」と読みます。「ユキズリ」ではない。ず…
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連載11053回 「鬱」をどう考えるか <2>
(昨日のつづき) 「鬱」という字を眺めてみると、いかにも厄介な感じがします。なによりも字画が多いし、どこか暗い感じがある。 しかし「鬱」を辞書で引いてみますと、その第一義は「しげる」「こんもりと…
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連載11052回 「鬱」をどう考えるか <1>
鬱は力である。 私はそう思います。「鬱」は生きるエネルギーであり、パワーである。そう信じて今日までやってきました。 「鬱」という字が常用漢字に採用されたのは、かなり前のことです。それまでは新聞…
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連載11051回 嵐の前の静けさか松の内 <5>
(昨日のつづき) 新型コロナの新規感染者の数字がハネあがっている。2度目の緊急事態宣言が、はたして有効かどうか。 米国ではとんでもない事態がおこっているらしい。ワシントンの連邦議会にトランプ支…
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連載11050回 嵐の前の静けさか松の内 <4>
(昨日のつづき) 昨日、「数え年なら90歳だぞ」と、若い編集者に威張ったら、 「数え年って何ですか」 と、きき返された。 そうあらためてきかれると、心もとなくなってくる。後で広辞苑を引い…
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連載11049回 嵐の前の静けさか松の内 <3>
(昨日のつづき) 米国のコロナ感染者数、2063万9219人。死者、35万1580人。 とほうもない数字だ。人口のちがいはあっても、わが国の感染者24万9000人、死者3700人弱とくらべると…
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連載11048回 嵐の前の静けさか松の内 <2>
(昨日のつづき) 正月は私にとって、すこぶる気の重い時期である。その最大の問題は年賀状だ。 世間には毎年とどく賀状を楽しみにしておられるかたもいらっしゃることだろう。そういうかたは、ご自分もち…
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連載11047回 嵐の前の静けさか松の内 <1>
コロナの嵐の中に新年が明けた。 米国の感染者は2000万人を超え、死者の数も35万人に達する勢いである。 それでもおおかたの予測では、今年の5月頃には鎮静化するということらしい。それぐらい楽…
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連載11046回 コロナの一年をふり返る <6>
(昨日のつづき) どうやら新しい鎖国がはじまったようだ。 政府は変異種コロナの予防のために、全世界からの新規入国を禁止。 新しい年を迎える間際に、新造ワクチンと変異コロナの激闘が開幕する。…
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連載11045回 コロナの一年をふり返る <5>
(昨日のつづき) 「来年はどうなるんでしょうね」 と、いった質問をしばしば受けることがある。 「マサカ、マサカの連続だと思うよ」 「先行きが見えないということですか」 「だって、毎年、年末…
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連載11044回 コロナの一年をふり返る <4>
(昨日のつづき) 毎日のニュースを見ていると、エッ、と驚くことが山ほどある。 なんとなくわかってはいるが、あらためて数字で示されるとショックを受けるのだ。 厚生労働省によると、 「高卒で…
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連載11043回 コロナの一年をふり返る <3>
(昨日のつづき) コロナの一年をふり返る、どころではなくなってきた。 欧州もアメリカも、ワクチンだのみでは済まなくなってきた様子。 しかし、連日の感染者数の増加にもかかわらず、街には人があ…
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連載11042回 コロナの一年をふり返る <2>
(昨日のつづき) 師走を迎えてもコロナの勢いはおとろえない。それどころか欧米をはじめ、世界各地では第3波、第4波が猛威をふるっている様子。 きょうの朝刊では、英国での変異種コロナの拡大がそろっ…
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連載11041回 コロナの一年をふり返る <1>
2020年も、あますところ10日あまりとなった。 冷静にふり返ってみると、今年は未曽有の一年だったと言えるかもしれない。 よくリーマンショック以来の、とか、そんなふうに表現されたりする。はた…
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連載11040回 アクセルとブレーキ <5>
(昨日のつづき) この数年、ずっと左脚の痛みに悩まされてきた。膝関節の軟骨がすり減っているのは加齢のせいで、仕方がないと諦めている。数年前に受けた診断では、変形性股関節症ということだった。どちらに…
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連載11039回 アクセルとブレーキ <4>
(昨日のつづき) 古い資料を整理していたら、車を運転していた頃の昔の写真が沢山でてきた。 ヨーロッパを車で横断したときのスナップなどもある。ローマからイスタンブールへ車を走らせるテレビ番組のス…
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連載11038回 アクセルとブレーキ <3>
(昨日のつづき) きょう12月15日の新聞朝刊各紙は、<Go To トラベル 全国停止>の大合唱だ。 1面トップの大見出しは、敗戦の日の新聞を連想させる迫力。 それまで全開にしていたアクセ…