五木寛之 流されゆく日々
-
連載10818回 私の体験的養生訓 <8>
(昨日のつづき) ここで再び嚥下の問題にもどる。 物を飲み込むという行為は、ふだん私たちが何気なくやっている動作である。いちいち意識して飲みくだしている人は少い。 しかし、ここに大きな陥…
-
連載10817回 私の体験的養生訓 <7>
(昨日のつづき) 私が健康について書いたり喋ったりするのは、自分の体験からの個人的感想にすぎない。 医学ではエビデンスという客観的証明がなによりも大事にされる。代替療法と称される中医学およびわ…
-
連載10816回 私の体験的養生訓 <6>
(昨日のつづき) ふたたび嚥下について書く。 誤嚥のおそろしさについては、何度も書いてきた。喉にモノをつまらせて亡くなる人も少くないが、いま論じているのはそれではない。 誤嚥によって肺炎に…
-
連載10815回 私の体験的養生訓 <5>
(前回のつづき) 朝、いくつかの錠剤を一気に飲む。大した薬品ではない。八味地黄丸とか、わかもととか、ビオフェルミンなどの昔からのサプリメントである。 これも全部まとめて口に放り込むと、水で飲み…
-
連載10814回 私の体験的養生訓 <4>
(昨日のつづき) 左脚の不具合いは今年になってますます進行してきたようだ。 この調子では年末ぐらいには歩行困難という事態におちいりかねない。なんとか少しでも好転する道をみつけなければ。 病…
-
連載10813回 私の体験的養生訓 <3>
(昨日のつづき) 大相撲初場所の2日目、たまたま白鵬が見事に敗れるところをテレビ中継で見た。 ひところの遠藤ブームが去ったあと、前頭筆頭に落着いている遠藤が、ものの見事に横綱白鵬を投げとばした…
-
連載10812回 私の体験的養生訓 <2>
(昨日のつづき) 東洋医学にせよ西洋医学にせよ、大部分の対策は薬品である。最近では驚くような劇的な効果を発揮する新薬も次々と開発されてきており、話題になってきた。 戦後のペニシリンの登場は劇的…
-
連載10811回 私の体験的養生訓 <1>
高齢者(一般・低所得者)の自己負担医療費が1割であることで助かっている人々は少くない。 しかし最近、いろんな人から、不安の声を聞くようになった。平成26年4月以降に70歳になる場合は、2割負担に…
-
連載10810回 時代のテストステロン <5>
(昨日のつづき) 「戦争がパンとサーカスの<サーカス>にあたるという説はなんとなくわかるけど、実際にはどういうふうに展開されるわけ?」 と、友人のQ君が首をかしげる。 「戦争したくないという…
-
連載10809回 時代のテストステロン <4>
(昨日のつづき) 東京オリンピックは、令和最大のサーカスだ。その祭りの終った後はどうなるか。 平凡な日常への回帰は、もうないだろう。刺戟に刺戟を重ねて、なかば麻痺した国民感情は、さらなる刺戟を…
-
連載10808回 時代のテストステロン <3>
(昨日のつづき) <パンとサーカス>というのは余りにも有名な言葉だが、よく言ったものである。 問題の中心に注目されずに、人びとの関心をちがう方向にむける。民衆は常にお祭り好きなものなのだ。 …
-
連載10807回 時代のテストステロン <2>
(昨日のつづき) 以前、メガビタミン主義というのが注目を集めたことがあった。アメリカからやってきた流行である。 ビタミンCを中心に、さまざまなビタミンを超大量に摂取するという健康法だ。私は若い…
-
連載10806回 時代のテストステロン <1>
正月気分も昨日で終った。きょうからはこのコラムを皮切りに、いろんな連載の原稿の締め切りが待っている。さあ、働かねば。 机に向かって原稿用紙に文字を書く。いまや石器時代の作業のようだ。野坂昭如、井…
-
連載10805回 令和元年の年の暮れ <5>
(昨日のつづき) 本年、最後の原稿となった。 大きな事故なく一年を過ごせたのは、読者をはじめ「ゲンダイ」各位のバックアップのおかげである。あらためて御礼を申上げたい。 私自身も、左脚の不調…
-
連載10804回 令和元年の年の暮れ <4>
(昨日のつづき) 今年の週刊ジャーナリズムの話題は、健康と終活だった。 飲んではいけない薬の品名にドキリとした読者も少くないことだろう。 死の問題は、死そのものの考察よりも、相続とか死後処…
-
連載10803回 令和元年の年の暮れ <3>
(昨日のつづき) 最近は門松というものをあまり見なくなった。戦前、戦中は普通の家の玄関先には、必ず門松が立っていたものである。 〽年の始めのためしとて 終りなき世の目出たさを と…
-
連載10802回 令和元年の年の暮れ <2>
ここ数年、マスコミの世界にも大きな変化が顕在化した。大手新聞社の新聞発行部数も年ごとに減少の方向をたどっている。週刊誌も話題になるわりには低調だという。 活字文化そのものに大きな変化の波が押…
-
連載10801回 令和元年の年の暮れ <1>
また今年も暮れる。毎年のように同じ感慨を抱きつつ一年を過ごしてきた。 香港やパリではデモが渦巻いた年末だったが、この国では皇室ブーム、ラグビーブーム、そしてオリンピックブームと、催事の連続のうち…
-
連載10800回 再度、方言について <5>
(昨日のつづき) 先日、福岡へ行ったとき、小学生に方言で道をたずねたら、けげんな顔をされた。 「そこに行くのなら、この道がいいと思います」 と、歯切れのいい共通語で答えられて、あらためて時代…
-
連載10799回 再度、方言について <4>
(昨日のつづき) 前にも何度も書いたことだが、私が若い頃、『三大方言作家』とからかわれた仲間がいた。 寺山修司と立松和平と、私の三人である。この「大」というのは「ビッグな」という意味ではない。…