五木寛之 流されゆく日々
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連載10598回 去りゆく人びとの影 <4>
(昨日のつづき) 先週末は『中央公論』誌の締め切りだった。<一期一会の人びと>という連載の国内篇の4回目である。 一期一会、という言葉は、一生に一度の出会い、というだけの意味ではない。生涯ただ…
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連載10597回 去りゆく人びとの影 <3>
(昨日のつづき) ふと気がつけば、かつて一緒に麻雀をしたり、旅をしたりした仲間たちのほとんどが世を去ってしまった。 「お淋しいでしょう」 と、憂い顔で気づかってくれる人が少くないが、これが案…
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連載10596回 去りゆく人びとの影 <2>
(昨日のつづき) 故・長部日出雄さんとの最初の出会いは、吉行淳之介さんとの対談の場だった。 当時、吉行さんは「週刊アサヒ芸能」で、連載対談をやっていたのだ。<吉行淳之介の軽薄対談>とか、そんな…
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連載10595回 去りゆく人びととの影 <1>
つぎつぎと訃報が相いつぐ。 堺屋太一さんが亡くなった。私は堺屋さんとは一面識もないが、「団塊の世代」という言葉の生みの親だということは知っている。「団塊の世代」。敗戦後の1947年から49年あた…
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連載10594回 人生後半の問題点 <4>
(昨日のつづき) 最近、ネガティヴな未来予測の本を上回る勢いで、<楽観的世界観のすすめ>的なポジティヴ本が読まれているらしい。 念のために話題の本を2、3冊読んでみた。なるほど、物の見方にはい…
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連載10593回 人生後半の問題点 <3>
(昨日のつづき) 関東地方の雪も、心配していたが、テレビで騒いでいたほどでもなかった。昔は急な坂道がアイスバーンになってスリップする車が続出した冬もあったのだが。 池江選手の白血病のニュースに…
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連載10592回 人生後半の問題点 <2>
(昨日のつづき) 人は人生の後半期において、さまざまな問題点に直面する。文字どおり正面から向かい合うのだ。 「人生とは何か」 「自分の人生に意味はあったか」 「これからどう生きるか」 な…
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連載10591回 人生後半の問題点 <1>
昔は孫の自慢と病気の愚痴が、老人の専売特許のようにいわれていた。 いまでもそうかもしれない。しかし孫や家族の自慢は少くなってきたようだ。孫から自立した老人が増えてきたのだろう。家族制度の様式が変…
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連載10590回 圧倒的な画業に驚く <5> ─山口晃『親鸞全挿画集』─
(昨日のつづき) かつて挿絵のある小説を通俗小説、絵のない活字だけの作品を芸術小説、と分ける見方があった。 林達夫さんは、かねがねその話を笑い話にしておられた。 林さんからは、古今の名作と…
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連載10589回 圧倒的な画業に驚く <4> ─山口晃『親鸞全挿画集』─
(昨日のつづき) 『親鸞』の連載中、さまざまな反響があったことは、作者冥利につきると言っていい。 これほど執筆中に大きな読者からのリアクションがあったことは、私としてもはじめての経験だったのであ…
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連載10588回 圧倒的な画業に驚く <3> ─山口晃『親鸞全挿画集』─
(昨日のつづき) 永井荷風の小説を例にあげるまでもなく、新聞連載小説は挿画の魅力とともにある。私も読者の一人として、少年の頃に日々の新聞の連載小説とその挿画を楽しみにしてきた。『親鸞』の連載中は、…
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連載10587回 圧倒的な画業に驚く <2> ─山口晃『親鸞全挿画集』─
(昨日のつづき) この挿画集の冒頭に、三人の親鸞の姿が出てくる。一枚目はしばしば目にする正面向きの坐像である。これまで流布している親鸞像は、かなり気難しげな、癇のつよそうな初老の男性の姿であるが、…
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連載10586回 圧倒的な画業に驚く<1> -山口晃『親鸞全挿画集』-
とんでもない本が誕生したものである。 画家・山口晃さんの『『親鸞全挿画集』』を手にして、おどろくべき画集が出たものだと圧倒される思いがした。 なによりも、その画集のヴォリュームが凄い。「量が…
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連載10585回 『作家のおしごと』とは? <5>
(昨日のつづき) 『作家のおしごと』とは、かなりフザケた題名だが、中身は少々固すぎたかもしれない。もっと面白半分に作ったほうが良かったような感じもする。 今朝の朝日新聞に、半5段の広告が出ている…
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連載10584回 『作家のおしごと』とは? <4>
(昨日のつづき) (昨日のつづき) こんどの本の内容を少し紹介させてもらうことにする。 第1部と第2部に分かれていて、最初のほうが<モノローグ>となっている。これまでずっとやってきた自分の仕…
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連載10583回 『作家のおしごと』とは? <3>
(昨日のつづき) きょうは京都。午後の新幹線で京都へ着き、イオンモールの大垣書店へ。今回は日帰りなので大変だ。八条口は、以前はちょっと淋しい場所だったが、ひさしぶりに来て驚いた。超近代的な巨大ビル…
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連載10582回 『作家のおしごと』とは? <2>
(昨日のつづき) 『作家のおしごと』・実践篇のなかの対談の部に収録したのが、村上春樹さんとの対談だ。 これは1983年におこなったものである。いまから36年前の春のことだから、まだ私が40代の終…
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連載10581回 『作家のおしごと』とは? <1>
こんど『作家のおしごと』という、いっぷう変った本を出した。版元は東京堂出版である。 東京堂は神田の老舗で、創業百数十年という古い歴史をもつ書店である。書店を経営するかたわら、数多くの書籍を営々と…
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連載10580回 「こころ」と「からだ」の関係 <5>
(昨日のつづき) きょうは九州芸術祭文学賞の選考会が日比谷の松本楼であるので、早起して候補作を読む。12篇の地区優秀作が本選に出てきて、その中から1篇が選ばれ『文学界』に掲載されるのだ。 この…
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連載10579回 「こころ」と「からだ」の関係 <4>
(昨日のつづき) 私は知識人ではない。本は沢山読むのだが、思想とか哲学とかいった分野の本は苦手だ。 私が知ったかぶりで喋る知識の断片は、すべて耳学問である。活字から学んだものではない。 し…