五木寛之 流されゆく日々
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連載10498回 口笛を吹きつつ夜を <3>
(昨日のつづき) ふり返ってみると、この半世紀以上いろんな雑文を書き殴ってきた。放言、独言も多い。そんな自分の仕事の足跡を、私はこれまでほとんど振返ってみたことがない。<その時 その場所で>という…
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連載10497回 口笛を吹きつつ夜を <2>
(昨日のつづき) 夜中に口笛を吹いてはいけない、とは、子供のころによく言われたことだった。 「なぜ?」 ときき返すと、いけないものはいけない、と怖い顔をしてにらまれた。 いけないと言われ…
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連載10496甲回 口笛を吹きつつ夜を <1>
かつて、と言っても1950年代、イギリスにAngry Young Menと呼ばれた作家たちが登場した。 コリン・ウィルソンやアラン・シリトーらの一群だが、ジョン・オズボーンの戯曲『怒りをこめてふ…
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連載10495回 痛みについて考える <5>
(昨日のつづき) 痛む脚を引きずりながら帝国ホテルへ。 きょうは集英社の『小説すばる新人賞』の選考会に出なければならない。 右手に提げた候補作の束が、やたらと重い。なにしろ500枚前後の作…
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連載10494回 痛みについて考える <4>
(昨日のつづき) 半場道子さんの『痛みのサイエンス』(新潮選書)の第一章は、痛みの歴史から始まる。 ギリシャ・ローマの話から『ガリヴァー旅行記』、そして『三国志演義』に見る痛みと、痛みの展望が…
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連載10493 痛みについて考える <3>
(昨日のつづき) 『慢性痛のサイエンス』(半場道子著)の序を読むと、ほう、と目のウロコが落ちるようなことが書いてある。 まず「慢性痛は急性痛が長引いたものではない」 私は急性痛が長引いたも…
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連載10492 痛みについて考える <2>
(昨日のつづき) 『痛みについて考える』というタイトルの連載をゲンダイ紙上で始めた初日、同じゲンダイの健康特集で『慢性疼痛』に関する記事が掲載されたのには驚いた。偶然の一致だが、それだけ「痛み」に…
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連載10491 痛みについて考える <1>
きょうも痛む脚を引きずりながら歩いている。 左脚のふくらはぎ、膝、太腿などが動かすと痛むのだ。片脚を引きずるようにして歩くようになってから、3年近くがたつ。 戦後70余年、一度も病院に行った…
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連載10490回 大変動の時が近づく <5>
(昨日のつづき) あんたが縁起でもない文章を書くからいけないんだよ、と見当ちがいの批判を受けた。 北海道はじめての震度7の地震である。 ニュース番組のドローンで撮影した山崩れの映像を見て、…
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連載10489回 大変動の時が近づく <4>
(昨日のつづき) 世の中が大変なことにならなくても、こちらの一身上に大変なことが起こるかもしれない。 「さくらももこさん、残念だったね」 「早過ぎる去り方ですよね。人はいつ何が起こるか、わから…
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連載10488回 大変動の時が近づく <3>
(昨日のつづき) 強力台風の来襲でマスコミは大騒ぎだ。テレビの張り切りようもすごい。 こうして眺めていると、ジャーナリズムとは、つくづく罪深い仕事だと思われてくる。 国民の不幸や人々の苦し…
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連載10487回 大変動の時が近づく <2>
(昨日のつづき) 新聞や雑誌、テレビなどで、現状の分析や将来の予測などが大きく扱われる。未来予測の新書なども良く売れているようだ。 これまで将来の予測といえば、かなり先の未来について語られるこ…
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連載10486回 大変動の時が近づく <1>
地球温暖化の問題が全世界を騒がせたのは、いつの頃のことだっただろうか。 なんとなくずいぶん昔だったような気がする。ひとしきり騒いで、それからいつのまにか忘れられたような感じになっていた。 し…
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連載10485回 新しい本が出ました <5>
(昨日のつづき) 「イツキさんが、新しい本が出ました、なんて言っても余りピンときませんね」 「なぜだい」 「2、3年に一冊、新刊を出す人ならともかく、イツキさんは2、3カ月に一冊ぐらいの割り合い…
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連載10484回 新しい本が出ました <4>
(昨日のつづき) このところ妙な天候が続いている。テレビをつけても、やたらと天気に関するニュースが多い。 地球環境の変化が騒がれたのは、どれくらい以前のことだったのだろう。なんとなく忘れられて…
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連載10483回 新しい本が出ました <3>
(昨日のつづき) 『哲学に何ができるか』(抄)の内容紹介の続きである。廣松渉さんとの対話を一冊にまとめたこの本は、目次だけ眺めるといかにも難しそうに見えないこともない。 第二章『同時代の哲学』で…
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連載10482回 新しい本が出ました <2>
(昨日のつづき) 廣松渉との共著『哲学に何ができるか』(世界書院)の話の続きである。 この本は朝日出版社から刊行されたあと、かなりたって中公文庫に収録された。解説は笠井潔さんが書いてくれた。文…
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連載10481回 新しい本が出ました <1>
人が書いた本の紹介ばかりしていないで、自分が出した新刊のことを書いてください、と担当編集者に言われた。 ほめるにしても、けなすにしても他人の本については書きやすいのである。それが自分の本となると…
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連載10480回 最近読んだ本の中から <5>
(昨日のつづき) また台風がやってきた。日曜日には鹿児島で講演しなければならない。はたして土曜日の飛行機がちゃんと飛ぶのかどうか気がかりである。 それにしても、地震、津波、台風、豪雨と、なんと…
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連載10479回 最近読んだ本の中から <4>
(昨日のつづき) 『無葬社会』(鵜飼秀徳著/日経BP社)について再び書く。<彷徨う遺体 変わる仏教>という副題のついているこの本は、何度読んでもすこぶる刺激的だ。 団塊の世代という巨大な集団が一…