寿命とコレステロール 高コレステロールが寿命を延ばしている可能性も
戦後、日本人の寿命はどんどん長くなり、今では世界一の長寿国になっています。読者の皆さんもよくご存じでしょう。背景のひとつに、栄養状態の改善があることは間違いありません。
栄養状態の改善を示すひとつの指標として、コレステロール摂取の増加があります。以前、取り上げたように、脳出血による死亡が減ったというのはまず間違いないでしょう。さらに、前回見たように、がんが減った可能性もあります。
個別の病気として候補に挙がるのはそれくらいですが、実際にコレステロールと寿命の関係を見た研究結果は、「コレステロールが低い」人のほうが寿命が短いという意外な事実を示しています。
この関係は複数の日本人を対象にした研究で示されています。そのうち私が関わった自治医大のコホート研究の結果では、総コレステロールが「140mg/dl未満」では、「140~200mg/dl」の人に比べて、男性で1・38倍、女性で1・42倍死亡が多いという結果です。逆に総コレステロールが「240mg/dl以上」の人では、男性で1・21倍高い傾向が見られたものの、女性では0・93倍とはっきりした死亡の増加が示されませんでした。