少しずつ、イロイロがいい 日本人の食事は栄養的に世界一
診療中、患者さんから「食事はどんなことに気を付ければいいでしょう」「何を食べたらいいでしょう」「食べないほうがいいものはありますか」というような質問をたくさん受けます。しかし、個別の状況では、なかなか容易に答えられないのが現実です。
ただ、日本の一般的な状況ということであれば話は別です。日本は今や世界一の長寿国ですが、その背景の一つには「健康に良い食事」を取っていることが挙げられます。つまり、平均的な日本人の食事や栄養は、世界で一番ということかもしれません。世界は日本の食事を見習って、もっと健康に……と考えたりしているのです。
寿司が世界的にブームになっている背景には、寿司がうまいというだけではありません。「健康に良い」というイメージが大きく関わっています。ただ、現実には寿司ばかり食べていれば健康になれるわけでなく、寿司を含めた日本食全体が良いのです。だから、日本食の中の何が良いかという質問は、実は適切ではありません。
その「全体的な日本食の良さ」とは、どういうことなのでしょう。一言でいえば「和洋折衷」ということになるでしょうか。あるいは「何でも食べる」というふうに言ってもいいかもしれません。幕の内弁当を思い浮かべてみましょう。少しずついろいろな食材が入っています。この「少しずつ」「いろいろ」というのが日本食のいいところです。
ただ、幕の内弁当には少し西洋の要素が足りないかもしれません。これに洋食の料理が加われば、和洋折衷の健康に良い日本食というイメージです。ただイメージであって、毎日、幕の内弁当だけを食べればいいというわけではないので、ご注意を。