がんと向き合い生きていく
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思いもよらない些細な出来事が患者の沈んだ気持ちを変える
主婦のBさん(68歳)は卵巣がんと診断されてから15年になります。最初の手術をしてから5年経過したところで腹膜に再発し、この時は死の恐怖からとても落ち込みました。抗がん剤治療で一時は良くなっても、そ…
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ゲノム医療の進展で個々に最適な治療法が選択される時代がさらに進む
がんの治療は長年、「手術」「放射線治療」「薬物療法(抗がん剤)」とされてきましたが、ここ1、2年でこれに「免疫療法」が加わって4本柱になりました。 先日、ある病院で医師たちがカルテを見ながら…
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「効かなくなったら抗がん剤は中止する」そんな文書に落ち込む患者もいる
「気持ちが落ち込んでいる患者の話を聞いて欲しい」 卵巣がんが再発したAさん(54歳)の担当医であるB医師から、こんな依頼を受けました。 Aさんはがん性腹膜炎で腹水がたくさんたまっている…
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「いつまでも 生きている気の 顔ばかり…」人間はそれでいいんだ
肺がんが発覚したRさん(58歳・男性)は、1回目の抗がん剤治療が効かず、医師から「もしかしたら3カ月の命かもしれません」と告げられました。日頃から「いつ、死がやって来ても悔いはない」と覚悟を決めてい…
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「覚悟はできている」と考えていた患者が3カ月の命だと告げられて考えたこと
不動産業を営むRさん(58歳・男性)は、喫煙歴40年になります。家族からも同僚からも「肺がんになっても知らないよ」と何度も注意されましたが、「どうせ、俺はがんか心筋梗塞で死ぬ。たばこなしの人生なんて…
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93歳のおばあさんが治療した分だけ長く生きた意味
38歳の孫娘とその夫、ひ孫にあたる小学校1年生のT君と一緒に暮らしている93歳のおばあさんがいます。孫娘は近所のスーパーで働き、夫は単身赴任中で月1回だけ家に戻ってきます。 おばあさんは、午…
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男性医師の心ない一言に「屈辱」を感じる女性患者は少なくない
高校の同級生だったK君からしばらくぶりに電話があり、こんな相談をされました。 「30歳になる娘が、近くの医院で乳がんの疑いがあるから専門の病院を受診するように言われたんだ。妻も乳がんだったから…
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甲状腺がんでの放射性ヨード内服治療は隔離して行われる
会社員のDさん(47歳・女性)は、5年前に前頚部のしこりを認めて甲状腺がんと診断され、A病院の耳鼻科で甲状腺全摘の手術を受けました。 その後、症状はなく元気に過ごされていましたが、2年前に両…
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がん治療を受ける病院はどう選べばいいのか
専業主婦のNさん(55歳)はおりものに血が混じることがあり、近所の婦人科を受診。下腹部のエコー検査で「子宮体がん」が疑われ、手術が必要とのことで大きな病院を2つ提示されました。 両方ともがん…
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多発性骨髄腫には治療をせずに経過観察で済むタイプがある
印鑑販売業のYさん(60歳・女性)は、健診で「貧血があるので医療機関を受診するように」と指示されました。しかし、昨年も同様の指摘をされながらとくに大きな問題はなかったため、放置していました。 …
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抗がん剤治療は外来での実施が増えている
会社員のYさん(38歳・男性)は、某がん拠点病院で「大腸がん」(S字状結腸がん)の手術を受けました。この時、すでに両肺に小さな転移を認めていたため、医師から「手術後に点滴による抗がん剤治療が必要」と…
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骨肉腫の多くは手術と化学療法で治癒するようになった
高校生のM君(17歳・男性)は、サッカーが好きな少年でした。試合中に左下腿に痛みを感じ、最初は打撲だろうと思っていました。それが2週間経っても良くならず、骨にヒビが入っているのではないかと思って自宅…
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セカンドオピニオンで「担当医が酷い」と訴える患者も
「どうしても相性が悪い」「感情的なしこりがある」「酷いことを言われた」……。 がん治療を受けている患者さんの中には、今の担当医との関係に悩んでセカンドオピニオンに来られる方がいらっしゃいます。…
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種類がさまざまな「小児がん」大学病院だからといって診療できるとは限らない
元癌研究会付属病院院長だった西満正氏は、「いたいけな小児の癌を治す道 早く見つけん高齢者癌よりも」と詠みました。この世で最も残酷で悲しいのは、若い人の死・子供の死であると思います。 小児がん…
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5年目で悪性リンパ腫再発を繰り返しても20年で完治させた患者がいる
悪性リンパ腫にはたくさんの種類があります。質が悪くて治療しても不幸な結果になることが多いものや、治療しないで自然経過を見てもよいものなどさまざまです。 日本人に最も多いのは「びまん性大細胞B…
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患者だけでなく一緒に暮らす家族にもケアは必要
Zさんの夫(52歳)は悪性リンパ腫が再発し、化学療法を繰り返していました。担当医からは「治療で腫瘤が一時的に縮小しても、すぐに大きくなってくる。この病気は完全に消失しないことには厳しい」と言われてい…
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がんに加え「エイズの疑い」も告知され空気が凍りついた
およそ10年前のことです。頚部、腋下のリンパ節が腫大した会社役員のDさん(56歳・男性)は、N病院で頚部リンパ節生検を行い、翌週に検査結果の説明を受けることになりました。A担当医からは、前もって本人…
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「余命1カ月」と記された書類にサインをさせられた患者
Fさん(56歳)は膵臓がんと診断され、手術を受ける予定でBがん専門病院に入院しました。しかし、手術直前の検討会で「病気の進行が速いため手術は無理」と判断されて退院となり、以後は内科外来に通院となりま…
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本人に隠すのは昔の話 「がん告知」は時代によって変わる
昔から、がんは「がん=死」のように恐れられ、その告知については「死を知らせることは残酷である」と考えられてきました。20世紀の大半、1985年ごろまでは「がんという病名は知らせない」とされ、がんであ…
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大丈夫にみえた患者さんが「おかしい」と連絡が入った
私の失敗談をお話しします。7~8年ほど前、元アナウンサーのYさん(63歳・男性)が、膵臓がんの疑いにより消化器外科で全身麻酔での手術を受けました。ただ、開腹してみるとがんは腹膜まで広がっていて、切除…