渡辺裕之さんと上島竜兵さんの思い出…一生懸命で優しい人だった
先週、渡辺裕之さん(享年66)が亡くなったと思ったら、今週はダチョウ倶楽部の上島竜兵さん(享年61)が続いてしまった。
どちらも自死とみられるが、おふたりとも僕にとっては取材でいろいろな思い出があって、非常にショックな出来事となってしまった。
まずは渡辺裕之さん、女優の原日出子さんと1993年に結婚した。ふたりはハワイで挙式したのだが、その当時は芸能マスコミの取材も派手で、テレビ各局やスポーツ紙などは揃ってハワイに出向いて取材した。海を見渡せる絶景のキャルバリー・バイ・ザ・シー教会での挙式はもちろんだが、せっかくハワイに来たのだからと、夜の夫婦のデートシーンも撮りたいとお願いしたところ、渡辺さんは快く「そうですか。では、どこで撮りましょう」と快諾してくれた。ただ、撮影中もカメラを回さない時も、実に照れくさそうにしていたのが印象的だった。生真面目で優しく、何事にも一生懸命な人だった。原さんがそれをうれしそうに支えているというのが、ずっと続いていた感じだ。それだけに密葬を終えた原さんのコメントがつらかった。
「人一倍家族思いで心配性な夫は、先行きの不安を口にするようになり、自律神経失調症と診断され……」
知り合いの映画プロデューサーによると、「ギャラは低いのですが」と出演をお願いしても二つ返事でOKしてくれる、ありがたい俳優だったという。
「シロートじゃないんだから!」もお約束
上島竜兵さんは取材で無理を聞いてもらってばかりだった。局内の部屋でダチョウ倶楽部にインタビューしたことがあり、その途中でディレクターが本当にグツグツ煮えたぎった「おでん」の鍋を出してきて、“お約束のギャグ”を頼んだ。ダチョウの面々は機転を利かせてくれ、「シロートじゃないんだから、本当に沸騰しているのを持ってきてどーする」「無理に決まっているだろう」と言いながら、リーダーの肥後克広が箸でコンニャクをつまんで上島さんの顔に持っていった。「ギャー」と大声を上げる上島さんのタイミングは抜群だった。やはり一生懸命で優しい人だった。
以前、三浦春馬さん、芦名星さん、竹内結子さんの訃報も続いた。やはり自分に近い人、同じ世代の芸能人が自死すれば、悩みの解決に向けた選択肢の中に「自殺」というイメージが残るのではなかろうか。渡辺さんも上島さんも60代。体力、気力も減退してくる頃であり、本人も周囲も気を付けていかなければと改めて思った。
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■厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口
▽いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▽こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▽よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)