「ラストマイル」首位返り咲き「スオミの話をしよう」伸び悩み…映画も“浮動票”が観客動員の決め手
映画興収ランキングは映画界の通信簿。映画を見る人は参考にするし、製作者・俳優は一喜一憂する。
最新のランキングから2本の映画の話をしよう。
満島ひかり主演の「ラストマイル」が公開5週目にして首位に返り咲いた。入れ替わるように長澤まさみ主演の「スオミの話をしよう」は2週目で1位から3位に陥落。9月27~29日の週末ランキングでも「スオミ──」は前週の3位から5位に落ち「ラスト──」は1位をキープしている。
今年の実写版映画ナンバーワンの声も出始めている「ラスト──」の安定した人気を象徴する1位奪還。三谷幸喜と長澤がタッグを組んだ「スオミ──」の人気は不安定さが目立つ。
「三谷作品だけに期待大で、公開前から何週にわたり1位をキープするか話題でしたが、1週で首位の座を明け渡した。一度落ちると再浮上は難しい。それ以上に“ラスト──”の勢いが止まらない」(映画関係者)
2018年公開の“カメラを止めるな!”がジワジワと観客動員が止まらなかった現象と似ている。公開2週目にして順位を落とした三谷作品。公開前からフジが過去の作品を連日放送して盛り上げていた。何度見ても「面白い」と改めて三谷ワールドに酔いしれた人も少なくないが、最新映画には結びつかなかった。
映画も選挙と似て浮動票が観客動員の決め手になる。支持政党、支持候補者のいない人が持つ浮動票。映画に置き換えれば好きな作品、監督、俳優のいない人たちの取り込みがヒットのカギを握る。
特定の好きな映画のない人が映画を見るきっかけは「話題だから」「面白いと聞いた」で映画館に足を運ぶ。「ラスト──」は浮動票の人たちが増え続け観客動員につながった。