文庫で読む 食べ物をめぐる物語
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「ふたたびの虹」柴田よしき著
小料理屋や喫茶店のカウンターの中に入ったことがある人なら分かると思うが、カウンターの中からは客一人一人の様子が意外なほどよく見える。人間観察の格好の実践場でもあり、長年その経験を積めば、名探偵顔負け…
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「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」友井羊著
スープというと、前菜とメインのあいだをつなぐ添え物といったイメージだが、その昔、黒くて堅いパンをおいしく食べようと工夫したところからスープは生まれたのだという。つまり立派な料理である。本書のシェフの…
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「タルト・タタンの夢」近藤史恵著
3年前に放映されたNHKの朝の連ドラ「まれ」は、世界一のパティシエを目指す女性が主人公だったが、結婚した主人公が失敗して落ち込む息子に、アップルパイの失敗から生まれたリンゴの焼き菓子「タルト・タタン…
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「ミミズクとオリーブ」芦原すなお著
食べ物を扱ったミステリーは多い。たとえば、ロアルド・ダールの「おとなしい凶器」や「味」などは、食べ物ミステリーの教科書ともいうべき傑作だが、本書は同じ食べ物が登場するミステリーといっても、いささか変…
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「昨夜のカレー、明日のパン」木皿泉著
木皿泉とは、和泉務と妻鹿年季子の夫婦による2人1組の脚本家。テレビドラマ「すいか」で話題を呼んだが、本書は著者の初めての小説。食べ物や料理を中心に書かれたものではないが、要所要所に出てくる食べ物は、…
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「和菓子のアン」坂木司
「デパ地下」がブームになったのは21世紀に入ってからのことらしいが、いまやすっかり定着し、マカロンやラスクなどなどのスイーツも、デパ地下を通じて有名になったといわれている。本書は、デパ地下に出店してい…
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「あまからカルテット」柚木麻子著
「女の友情はハムよりも薄っぺらい」という言葉があるが、果たしてそうか。アラサーともなると、未婚、既婚、子供のあるなしといった、ライフステージの変化によって関係が疎遠になることもあるようだが、それは男だ…
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「誰かが足りない」宮下奈都著
誰にも、とっておきのレストランというのがあるのではないか。大事な人と貴重な時間を過ごすのにうってつけの店。本書の舞台は、ある町のとてもおいしいと評判のレストラン「ハライ」。それぞれ事情は異なるものの…
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「ランチのアッコちゃん」柚木麻子著
ある調査によれば、勤め人の男性のランチ代は541円、女性は512円。また、弁当持参率は男性が32・5%、女性が48・9%。男女ともに、外食あるいは弁当を買うならワンコイン、できれば弁当持参で昼食代を…
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「彼女のこんだて帖」角田光代著
連日の猛暑にいささかうんざり気味の今日この頃だが、こう暑くなると、そーめんのようなさっぱりしたものを食べたくなる。一方で土用の丑の日のように、あえてうなぎで精を付けようというのもこの季節ならでは。そ…
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「キャベツ炒めに捧ぐ」井上荒野著
近年はコンビニや弁当屋に押されて、総菜専門店を見かけることが少なくなった。それでも魅力的な総菜屋も多く、本書に登場する店も、毎日、1升炊きの大きな釜が3つ稼働しているというからけっこうな繁盛ぶりだ。…
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「あつあつを召し上がれ」小川糸著
食の好みが合うことが付き合うことのひとつの決め手になるという人がいるかと思えば、食の好みは正反対だけどうまくやっているというカップルもいる。 本書収録の「親父のぶたばら飯」の主人公の恋人は前…
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幽霊の心をほぐす「ばんめし屋」の料理
この10月に移転予定の築地市場には、市場で働く人たちのために深夜から早朝にかけて営業している食堂がある。築地ならではの逸品に加え、深夜・早朝の食堂には独特の雰囲気があり、好んで出かける人も多いようだ…
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霊たちに体を貸してつくる料理は極上の味わい
「おもてなし」という言葉の語源には、「モノを持って成し遂げる」というのと「表裏がない」、つまり、裏表なく相手を迎えるという2つの意味があるという。誰かのために料理をつくるというのはまさにおもてなしで、…
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規則に縛られる給食に挑む腕利き調理師
日本における給食は、明治時代に貧困児童を対象にして昼食を供したのが始まりとされている。現在では貧困やネグレクトによって親から食事を与えられずに、給食が唯一の食事になっている子どもも少なくないという。…
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あったか朝ごはんが背中を押して…
世界遺産である元興寺の旧境内を中心とする「ならまち」は、平城京以来の長い歴史を有し、江戸から明治にかけての町家の面影をいまに伝える町並みが広がり、タイムスリップしたかのような錯覚に陥ることも。本書の…
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無気力な中年男が人生最後の食事を頼まれ…
食事のとき、これはうまいとかまずいとか何げなく言ってしまうが、本書に登場する13歳の英樹は生まれつき難病にかかっており、彼にとっての食事とは「体のために栄養を取り入れる行為」である。だから、「うまい…
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暖かなまなざしで描くハートウォーミングな物語
「おむすび」と「おにぎり」の違いは何か? 通説では、東日本ではおにぎり、西日本ではおむすびとされることが多いようだが、実際にはそう截然と分けられるわけではなく、地域によっては形状で呼び分けているところ…
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うだつの上がらない男が隠れた才能を発揮
縄文人の主食はクリ、クルミ、ドングリといった堅果類だった。縄文時代の始まりは約1万5000年前。稲作が始まったのは3000年前。つまり、ドングリはコメよりはるかに長い期間、日本人の食を支えてきたので…
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芭蕉と俳句を愛する人が集う弁当屋
食べ物に関する物語といっても、食べ物のことだけが書かれているわけではない。それぞれ、食べ物×□といった具合に工夫を凝らしている。本書の□は俳句。そして食べ物はお弁当。「お弁当×俳句」という、一見奇な…