シネマの本棚
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「われらが背きし者」ロシアにおける「近代派」と「土着派」の相克
ソ連邦が崩壊し、自由市場体制に移行してもなおロシアは深い謎の国。いや、冷戦時代のような明白な対立構図が見えないとよけいに謎めいて感じるのかもしれない。 そんなロシアの変幻イメージにあふれるの…
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ベストセラ― 編集者パーキンズに捧ぐ
「編集者は書かない。だから作家は編集者を恐れるし、頼りにするんだ」 学生時代、末席につらなった某文芸誌の編集部で聞かされた言葉だが、その心は「編集者は作家と狎れ合うな。作家に緊張と信頼を与える…
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「ティエリ・トグルドーの憂鬱」仏極右政党・国民戦線の躍進の背景
フランス人といえば「夏のバカンス」を何より大事にする。それというのも伝統的に労組が強く、国民の大多数が「公務員並み」に守られてきたおかげだ。しかしそれがこの四半世紀、グローバル化の波に洗われて急速に…
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ソング・オブ・ザ・シー 情緒と幻想的物語が魅力
「アニメは日本の文化」などという言葉が最近はむなしい。宮崎アニメは他国での評価も高いし市場の成功も確実だが、絵柄ひとつでもアニメにはもっと広い可能性があるはず。現に十数年前に公開されたフランスの「ベル…
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戦う相手はネット右派言論と内部圧力
テレビのニュースアンカーは世論への影響力で権力者に最も煙たがられる「権力の監視人」。だがネット右派全盛の現代は、監視人が逆にネットから監視される時代でもある。その実例を描くのが先週末封切りの映画「ニ…
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酒とクスリで自滅死した歌手 エイミー・ワインハウスの悲哀
弱冠19歳でアルバムデビューしたときから「まるで65歳のような圧倒的表現力」と周囲を驚かせたジャズ歌手エイミー・ワインハウス。幾人も男をかえ、薬におぼれながらも優れたアルバムを作り、ジャズ以外でヒッ…
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堅物が支えた映画ビジネス ハリウッドがひれ伏した銀行マン
冒頭、老紳士の顔が映る。謹直な顔立ちに柔和な笑み。表情がいい。近ごろとんと見かけない、自分の人生に十分満足している男の顔。――こうして始まるのが今週末封切りの「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」だ。 …
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映画「ホース・マネー」 親愛と哀惜呼ぶ移民たちの世界
季節が暑さに向かい始めると、夜ふけの公園では仲間と騒ぐ若者たちと老いたホームレスの姿が目立つようになる。布団代わりの段ボールで寝入る姿になにか哀しい親しさを覚えるのは自分も老いたからだろうか。 …
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監督はスノーデンが見込んだ反権力の映画人
インターネットが権力に抵抗する民衆の魔法の鏡のように言われた時期がある。「アラブの春」のころだが、果たしてその後はどうか。むしろネット時代の民衆はさらに徹底した監視下なのではないか――。 そ…
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人生の方がボクシングに似ている どん底の“ヒーロー物語”
あらゆるスポーツの中で最も悲劇的なのはボクシングだ、と言ったのは米国の女性作家ジョイス・キャロル・オーツ。今週末封切りの「サウスポー」はこの言葉をハリウッド流に描くとこうなるという見本のようだ。 …
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未曽有の失敗作に終わった「栄光のル・マン」のメーキング
粗野なのに繊細、無学なのに明敏、陽気なのに孤独。スティーヴ・マックィーンはそんな矛盾した魅力を放つ映画スターだった。 今週末公開の「スティーヴ・マックィーン その男とル・マン」はそのエッセン…
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パレスチナの“壁”の中の戦時下の日常「オマールの壁」
20世紀後半以来の世界の現代史上で最も悪名高いふたつの「壁」。ひとつは長く東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」。もうひとつがヨルダン川西岸にイスラエルが勝手に建てた「パレスチナの壁」だ。現在都内公開…
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米報道界の実話を描く「スポットライト 世紀のスクープ」
ジャーナリズムの世界から気骨が失われて久しい。安倍政権のマスコミいじめのはるか前から、大手報道機関のふがいなさは繰り返し指摘されてきた。 しかし、だからこそ世間はジャーナリズムには再起を期待…
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覆面芸術家・バンクシーをセレブ扱いする“見せ物”社会
有名アーティストのドキュメンタリーというと美術館の展示室のビデオみたいなものを連想する向きが多いだろうが、この映画は「有名」の意味をふと考えさせるところがミソ。先週末から公開中の「バンクシー・ダズ・…
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「砂上の法廷」無表情なキアヌには格好の役柄
いきなりで恐縮だが、キアヌ・リーブスを大根役者と思っている人は少なくないだろう。 出演作も「マトリックス」か「スピード」シリーズの印象が強く、要は非現実的なSFか爆走アクション専門。その理由…
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「マジカル・ガール」乱歩ファン監督の罪と狂気の物語
欧米の大学で日本研究を教える教授たちに会うと決まって出るのがアニメとマンガの話。彼らがオタク趣味だというのではない。日本研究科に来る最近の学生の関心がアニメばかりで、文学はおろか技術や経済にさえ興味…
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見えない「あした」だけを見続けるボクサー・ジョーの「今」
題名を見ただけで見たくなる映画。来週末封切りの「ジョーのあした」は、まさにその典型だろう。監督は阪本順治。かつて赤井英和主演の「どついたるねん」で初監督を果たした人気映画人だが、その彼がこれまで私的…
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「ディーパンの闘い」異境で経験する移民たちの絶望と孤独
中東難民問題の急展開に欧州が揺れている。特に理想の福祉社会といわれてきた北欧諸国の偏狭ぶりには優等生のみみっちい正体を見たようで鼻白んだ向きもあるだろう。そこへ公開されるのが来週末封切りの仏映画「デ…
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「ドリームホーム 99%を操る男たち」住宅バブル崩壊を描くハリウッド映画
社会派の映画というと辛気くさくて押し付けがましい話かと思ったら大間違い。来週公開の「ドリームホーム 99%を操る男たち」を見て、なるほど現代アメリカの社会派はこんな具合かと改めて納得した。 …
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「パディントン」戦時中のロンドンから疎開した子どもの姿が映画のヒント
今年最初の1本は来週末封切り予定の「パディントン」。ダッフルコートと赤い帽子の子ぐまキャラが人気の、英国児童文学の映画化作品だ。 あれ? “シネ本”ってドキュメンタリーやマイナー映画専門じゃ…