感染症別 正しいクスリの使い方
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【外傷】幅広く細菌を殺す抗菌薬は重症以外では避ける必要がある
擦り傷や切り傷など、ケガをした時に抗菌薬は飲みませんよね? 多くの場合、自分で対処したり、医療機関を受診しても傷の処置をするだけで良くなることがほとんどだと思います。 しかし、傷口が化膿する…
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【急性中耳炎】中等症以上では抗菌薬の投与が推奨されている
急性中耳炎は、急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴う場合があります。主に幼児に多い疾患ですが成人でも発症するケースがあります。 合併症のない急性中耳炎に対し、軽症例では3日程度…
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【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】リウマチ熱の予防のため抗菌薬が使われる
前回、「風邪に抗菌薬は効かない」というお話を取り上げました。ただし、上気道の感染症の中でもA群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎には抗菌薬が必要ともお話ししました。 急性咽頭炎は自然軽快するこ…
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【風邪】効かない抗菌薬を安易に使うと耐性菌の出現につながる
ご存じの方も多いと思いますが、風邪のほとんどはウイルス感染ですから、抗菌薬(抗生物質)は効きません。抗菌薬は細菌感染には効果がありますが、ウイルス感染には一切効果がないため、ほとんどの風邪には必要な…
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【風疹】赤ちゃんを守るために周囲のワクチン接種が大切
風疹は発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性の疾患で、別名「三日はしか」とも呼ばれます。 基本的には予後良好な疾患ですが、風疹の最大の問題は、妊婦が感染することによって風疹ウイルスが…
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【HPVと子宮頚がん】ワクチンで防げる病気「VPD」から命を守る
「ワクチン忌避」という言葉をご存じでしょうか? 自身や子供にワクチンを打つことを躊躇したり、拒否したりすることを指す言葉です。 新型コロナワクチンを打つ打たないといった議論で、最近はワクチンが…
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【HPVと子宮頚がん】かつて70%超だったワクチン接種率は0.3%まで激減
子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頚部にできる「子宮頚がん」に分類されます。子宮頚がんは、子宮の入り口の子宮頚部と呼ばれる部分に発生し、子宮がんのうち約7割程度を占めます。 …
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【ノロウイルス】脱水症の対処は経口補水液を活用 常用はNG
ノロウイルスには、直接有効な抗ウイルス薬はなく、基本的には症状に応じた対症療法を行うことになります。特に下痢や嘔吐に伴い脱水症状を起こすケースが多く、子供や高齢者の脱水症は致命的になるリスクもあるた…
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【ノロウイルス】嘔吐物の処理は次亜塩素酸ナトリウム溶液で対応
ご家族がノロウイルスに感染された場合、嘔吐物の処理には注意が必要です。嘔吐物の中には大量のウイルスが存在し、感染源となるからです。 今回は嘔吐物などの処理方法について説明します。まず、ノロウ…
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【ノロウイルス】アルコール消毒では不十分 流水手洗いが重要
今回はノロウイルス感染症の「感染対策」についてお話しします。 新型コロナウイルスのパンデミックにより、いまや日常的に行うようになったアルコール消毒ですが、消毒に用いる70%エタノールは幅広い…
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【ノロウイルス】ワクチンも治療薬もないため対症療法が行われる
食中毒の年間患者数の約半分は「ノロウイルス」によるものです。うち約7割は11~2月に発生していて、この時季の感染性胃腸炎の集団発生例の多くはノロウイルスによると考えられます。 感染経路として…
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【肺炎】ニューキノロン系抗菌薬は結核を否定してから使う
前回、「ニューキノロン系抗菌薬が結核の治療にも使われることがある」というお話をしました。 ニューキノロン系抗菌薬は肺炎や尿路感染など多くの感染症に用いられる薬です。多く用いられるということは…
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【結核】耐性菌の出現を防ぐため複数の抗結核薬を併用する
「結核」は結核菌という細菌に感染することで発症する病気です。空気感染、飛沫感染といった経路により感染します。肺に感染して症状を引き起こす場合が多いので、咳や痰が主な症状として知られています。 …
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【ピロリ菌】除菌には複数の薬を併用するため副作用に注意
「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)という名称の細菌をご存じの方は多いのではないでしょうか? ピロリ菌は胃の表層を覆う粘液の中にすみつく細菌で、感染したまま放置しておくと、慢性胃炎や胃・十…
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【顔面神経麻痺】頭痛から数日後に左目が閉じられなくなり…
前回、末梢(まっしょう)性顔面神経麻痺(まひ)である「ベル麻痺」と「ラムゼイ・ハント症候群(ハント症候群)」について簡単に触れました。今回は私の体験を詳しくお話しします。 昨年、私が発症した…
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【顔面神経麻痺】ヘルペスウイルスの再活性化による末梢性タイプが多い
「顔面神経麻痺」は、顔面の筋肉を動かす神経に麻痺が生じる病気です。中枢性のものと末梢性のものに分けられ、中枢性のものは脳卒中などが原因となり発症します。 一方、末梢性のものは主にヘルペスウイル…
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【インフルエンザ】子供には使わない方がいい解熱剤がある
インフルエンザの治療薬といえば「タミフル」(一般名オセルタミビル)をイメージする方が多いのではないでしょうか。 かつて、このタミフルを服用した10代の患者さんがベランダから飛び降りたり、踏切…
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【インフルエンザ】高齢者施設ではワクチン接種で82%の死亡を阻止
インフルエンザワクチンを接種する季節の真っ最中です。日本における季節性インフルエンザは、例年1~2月に流行のピークを迎えます。ワクチンは効果が表れるまで2週間程度かかるので、12月中旬までにワクチン…
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【腸管出血性大腸菌】抗菌薬の早期使用は日本と欧米で見解が異なる
気温が高い夏から秋にかけては細菌が増えやすいため、細菌性食中毒の発生件数が増加します。しかし、気温の低い季節でも発生は見られますので注意が必要です。原因となる細菌は数多く知られていますが、その中でも…
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【マクロライド系抗菌薬】肺炎だけでなく呼吸器疾患や耳鼻科でも使われ「耐性菌」が増加
前回、百日咳とマクロライド系抗菌薬について取り上げました。今回はマクロライド系抗菌薬について少し詳しくお話しします。 マクロライド系抗菌薬は、放線菌が産生する抗生物質で、ペニシリンに続き肺炎…