感染症別 正しいクスリの使い方
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【細菌性食中毒】整腸剤は問題ないが下痢止めを使うと回復が遅れる
今回は夏場に多い細菌性食中毒の治療についてお話しします。 よく見られる吐き気や嘔吐、下痢などの症状は、細菌自体によるものではなく細菌の出す毒素である場合が多く、毒素に対して抗菌薬を使っても症…
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【細菌性食中毒】カンピロバクターは少ない菌量でもヒトに感染する
今回は、細菌性食中毒の中でも近年、発生件数が最も多いとされている「カンピロバクター食中毒」についてお話しします。 カンピロバクターによる食中毒は年間約300件、患者数2000人程度で推移して…
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【細菌性食中毒】高温でも死滅しないウェルシュ菌が2日目のカレーで増殖
前回に続き、夏場に多い細菌性食中毒についてお話しします。 今回は「ウェルシュ菌」という細菌です。あまり聞き慣れない菌名かもしれませんが、ウェルシュ菌は、土壌や水中、健康な人や動物の腸内など自…
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【細菌性食中毒】皮膚に常在する黄色ブドウ球菌は増殖の際に毒素を発生
食中毒は年間を通して発生しています。冬場はノロウイルスなどのウイルス性の食中毒の発生が多く、春や秋には自然毒による食中毒が多く発生します。 梅雨(5~6月)と夏(7~9月)は湿度や気温が高く…
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【子供の夏風邪】プール熱の原因ウイルスは塩素で不活化するが…
「咽頭結膜熱」はアデノウイルスが引き起こす風邪のひとつです。プールでの接触などによって感染が広まるケースが多いため、日本では「プール熱」とも呼ばれています。例年、6月ごろから感染が増え始め、7~8月を…
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【夏風邪】十分な免疫を獲得していない子供が多くなっている可能性も
夏に流行する感染症の原因として、「エンテロウイルス」と「アデノウイルス」という2種類のウイルスが知られています。手足口病とヘルパンギーナはエンテロウイルス属のコクサッキーウイルスが原因で発症し、アデ…
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【梅毒】新たな薬によって1回の注射だけで治療が可能になった
「梅毒」は梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こる感染症です。性行為により、粘膜や皮膚の小さな傷から感染します。感染すると、性器や肛門、口にしこりができたり、全身に発疹が現れたりしますが、いっ…
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【膣カンジダ】40%が1年以内に再発し市販薬も使用できる
「膣カンジダ」とは、膣内の常在菌であるカンジダという真菌の異常増殖によって起こる膣炎です。性感染症と勘違いされがちですが、健康な人の皮膚や腸内、粘膜にも常在菌として存在しているカンジダ菌が異常繁殖する…
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【淋病】これまでの抗菌薬が効かない薬剤耐性淋菌が増えている
淋菌感染症は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による感染症で、性器クラミジア感染症と並んで患者数が多い性感染症です。 淋菌は主に男性では尿道炎、女性では子宮頚管炎を起こしま…
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【クラミジア感染症】複合感染が多く一度の治療で済む抗菌薬の選択が重要
クラミジアは日本で最も感染者数の多い性感染症です。原因菌はクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)という病原体で、性行為によって女性の子宮頚管や男性の尿道などに感染し炎…
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【帯状疱疹】抗ウイルス薬が有効も発症72時間以内でなければ期待できない
水ぼうそう(水痘)を発症し、治癒した後でも、水痘・帯状疱疹ウイルスは終生その発症者の知覚神経節に潜伏感染し続けます。そして数年から数十年を経て、精神的ストレス、体力の低下、糖尿病など他の疾患の合併で…
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【水ぼうそう】小児が感染したとき解熱にアスピリンを使ってはいけない
水ぼうそう(水痘)は、水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染(初感染)したときに発症するウイルス感染症です。感染力が極めて強く、空気感染することも知られています。 免疫がなければ感染後2週間程度…
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【狂犬病】島国の日本は“清浄国”だが世界では毎年5万人超が死亡
去る4月、「狂犬病」が話題になりました。ウクライナから日本に来た避難者が帯同したペットの犬に対し、農林水産省が狂犬病対策をすることを条件に検疫施設での待機期間を大幅に短縮したのです。 通常で…
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【B型肝炎】がん発生抑止のために行う2つの抗ウイルス治療
B型肝炎ウイルス(HBV)は、全世界で約3億5000万人が感染していると言われ、そのうち日本では約130万~150万人(100人に1人)が感染していると推定されています。現在も年間約1万人の新規感染…
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【ボツリヌス症】毒素が持つ麻痺作用を利用して治療薬としても使われる
前回、ボツリヌス症についてお話ししました。ボツリヌス菌が食品などの中で産生する毒素によって、吐き気、嘔吐、視力障害、言語障害、嚥下困難などさまざまな症状がみられる病気です。 この毒素は、神経…
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【ボツリヌス症】缶詰やビン詰なとの保存食品でも安心できない
「ボツリヌス症」という病名を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか? よく話題になるのは、乳児がハチミツを食べ発症するタイプと、大人が食中毒として発症するタイプです。 原因となるボツリヌ…
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【オウム病】「鳥との接触があったかどうか」が参考になる
「オウム病」は、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)という細菌の仲間による感染症です。オウム病クラミジアはインコやハトなど鳥の体内に生息し、糞と共に体外に排泄されます。糞が乾燥す…
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【マイコプラズマ肺炎】マクロライド系抗菌薬が有効も耐性菌が問題に
引き続き、肺炎球菌やインフルエンザ菌といった一般細菌による肺炎とは別の「非定型肺炎」についてお話しします。今回はそのひとつ「マイコプラズマ肺炎」を取り上げます。 マイコプラズマという微生物に…
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【レジオネラ肺炎】病原菌の特定には「水」に関する情報が重要
肺炎の原因菌として、肺炎球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ菌などさまざまな細菌が知られています。これら一般細菌による肺炎とは別に「非定型肺炎」というものがあるのをご存じでしょうか? その原因になる細…
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【重症熱性血小板減少症候群】マダニの活動が盛んになる季節は細心の注意を
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」とは、2011年に初めて特定された新しいウイルス(SFTSウイルス)による感染症です。2009年に中国で症例が報告されて以降、日本では2013年1月に海外渡航歴…