《藤本博史の巻》球団「怖い人トップ3」だけど、こまやかに気を使う人情家
藤本博史
ヒゲをたくわえ、いかにもコワモテといった風貌。前監督で、現在は球団の特別アドバイザーを務める藤本博史さん(60)はその見た目通り、厳しい面があります。
柳田の項で書いたように、一度やると決めた練習は強引に引きずってでもやらせる。特に怒らせたら怖い。ホークスでは藤本さん、打撃コーチの立花義家さん、投手コーチの高山郁夫さんの3人が、「怖い人物」の3トップでした。
乱闘となると、この3人が真っ先に「おらー!」などと叫んで向かって行こうとする。そうでなくとも、ベンチで相手への文句を言っている。僕ら裏方は割と冷静に試合を見ているので、「この人たち、危ないわあ」と戦々恐々としていたのを思い出します。でも、それも自軍の選手を思ってのことです。
ただ、3人ともガンコではない。メリハリをつけるのがうまく、藤本さんが二軍監督時代、「いっちゃん(一郎なので)、どう思う? そろそろ勝ちに行った方がいいかな」と聞かれたことがあります。僕はあくまで自分の考えだと前置きして、「ウチは三軍がある以上、そこが育成の場になるんで、二軍はある程度は勝たないといけないんじゃないですかね」と言うと、「そうか……。じゃ、勝ちに行くか」と、采配を切り替える。そうした柔軟性も藤本さんの持ち味です。