《内川聖一の巻》球界屈指の好打者が尻込みしたブーイングの中でのヒーローインタビュー
僕は記者に頼んで、何とか1日だけ記事を出すのを待ってもらい、オープン戦の最終戦終了後、その場にいる選手たちに工藤監督が「今季は内川がキャプテンになる」と通達しました。「選手が知らない情報を、メディアを通じて初めて聞くのは良くない」というのが工藤監督の方針だったので、せめて一軍に帯同する選手たちに通達する時間をつくったわけです。
秋山監督時代の2012年には、こんなこともありました。敵地での西武戦で、ホークスの投手が相手打者に頭部死球。試合には勝ったものの、ヒーローインタビューを受けた現監督の小久保は大ブーイングを浴びました。その翌日は内川の活躍で勝利となりましたが、試合終了後から、前日の怒りが冷めやらぬ西武ファンはブーイングの嵐でした。
内川は「田尻さん、オレこんな中に出て行くの嫌だよ」とちゅうちょし、僕は「そう言うても今日はどう考えてもおまえしかおらんし……」と説得。そこに前日、大ブーイングを浴びた小久保が来て、「おう、行ってこい。長いプロ野球人生、こんなブーイングの中でヒーローインタビューを受ける機会なんてないぞ。記念や」とニッコリ笑顔。どんな投手も苦にしない内川も、ブーイングにはお手上げだったようです。
次はメッツの千賀滉大の回です。